エンタープライズ:ニュース 2003/03/12 23:14:00 更新


Pentium Mにはまだまだ改善の余地がある――パルムッター副社長

米インテルのモバイル・プラットフォーム事業本部副社長兼事業本部長のダディ・パルムッター氏は、Centrinoラウンチイベント後に開かれた、プレスとのQ&Aセッションで、Centrino/Pentium Mへの疑問に答えた。

 インテルは3月12日、Centrinoのラウンチイベントに出席するため来日した、米インテルのモバイル・プラットフォーム事業本部副社長兼事業本部長のダディ・パルムッター氏を囲んでのQ&Aセッションを開催した。パルムッター氏は、Centrino/Pentium Mの開発を手がけたインテルのイスラエル開発センタの担当部長も兼任している人物だ。

米インテルのダディ・パルムッター氏

米インテルのモバイル・プラットフォーム事業本部副社長兼事業本部長ダディ・パルムッター氏


 Centrino/Pentium Mのスペックに関してはこれまで少しずつ提供されてきたこともあり、将来の技術や製品戦略に関する質問が多くを占めた。

質問 Pentium 4-MとPentium Mでは、実行するアプリケーションによって異なる結果となるなど、アーキテクチャの違いが見られるが?

パルムッター氏 Pentium 4(-M)のアーキテクチャはオフィスアプリケーションやマルチメディアアプリケーション(エンコードおよびデコード)に合わせたもの。Pentium Mのアーキテクチャはオフィスアプリケーション、マルチメディアアプリケーション(デコード、ストリーミング)に向けてチューニングした。マルチメディアのオーサリングなどではPentium 4(-M)のほうが向いている。

質問 ラウンチイベントでは90ナノメートルプロセスで製造した次世代Pentium M(Dothan)のシリコンウエハを見せたが、Dothanではどのような改善が行われるのか?

パルムッター氏 Pentium M改善のためのアイディアはまだまだ豊富にあるが、まだ公表できない。必ずすばらしい製品になるはずだ。より低消費電力になり、より高い周波数で動作し、性能が向上するとだけは言える。

質問 90ナノメートルプロセスでは、リーク電流の増大が消費電力を抑える上で問題になると言われているが、どのように対応するのか?

パルムッター氏 確かに一般的には130ナノメートルプロセスよりも90ナノメートルプロセスのほうがリーク電流は増えるが、動作電圧を下げることでリーク電流は指数関数的に下がるので当面はそれで対応する。将来はリーク電流を下げる、進んだプロセス技術を採用していくことになる。

質問 なぜ90ナノメートルプロセスへの移行を急ぐのか、130ナノメートルプロセスでは今後の性能向上が望めないからなのか?

パルムッター氏 130ナノメートルプロセスでも性能向上は可能だが、新しい技術が使えるのなら、無理に130ナノメートルプロセスを使うよりも新しい90ナノメートルプロセスを使った方が経済的で性能も上げやすいからだ。

質問 Pentium M(開発コード名Banias)には、かつてインテルが計画したがお蔵入りしたTimna(グラフィックスコアとMCHが統合されたプロセッサ)の技術が使われていると言うが、具体的には?

パルムッター氏 BaniasはTimnaを手がけた同じ開発チームが開発したが、Timnaとは異なり、モバイルパフォーマンスに必要なものを念頭にして開発している。より小さく、消費電力を抑えて設計するという経験は生かされている。



関連記事
▼開発責任者が語る、Centrinoの現在・過去・未来
▼Centrino発表――ラウンチイベントでインテルが訴えたかったのは
▼インテル、Centrinoを正式発表

関連リンク
▼インテル

[佐々木千之,ITmedia]