エンタープライズ:ニュース 2003/05/08 12:55:00 更新


インフォテリアが創業以来初の年度黒字、ASTERIAで成長軌道に

新興のインフォテリアが創業以来初となる年度黒字を達成したもようだ。国内初のXML専業ベンダーとしてデビューした同社だが、2000年には、XML以外のデータやさまざまなプロトコルをサポートするデータ統合のハブを目指して「ASTERIA」を投入し、成長軌道に乗った。

 多くのITプロバイダーが企業のIT投資抑制のあおりを受けて苦しむ中、1998年創業のインフォテリアが業績を伸ばしている。未公開会社のため、業績の詳細は明かさないものの、同社が5月8日に行ったプレス向けブリーフィングによれば、3月末に締めた2002年度は、売り上げが2001年度に引き続き前年度比2倍となり、創業以来初となる年度黒字を達成したもようだ。

 共同創業者で現在も社長を務める平野洋一郎氏は、教育サービスの強化を打ち出すとともに、製品面では、Webサービス標準の継続的なサポートを行いつつ、将来はデータインテグレーションから「ビジネスプロセスマネジメント」(BPM)への領域拡大、XMLベースのフロントエンド(フォーム作成)ツールの投入なども計画していると話す。

pina.jpg

「コンペになれば9割は決まる」と自信を見せる平野社長


 インフォテリアは、国内初のXMLソフトウェア専業ベンダーとして1998年にスタート、「iPEX」を皮切りに「iシリーズ」と呼ばれるXMLツール群を発表した。2000年10月にはRosettaNetやAribaに対応したXMLネイティブのB2B統合サーバとして「ASTERIA R1」を発表したが、2002年6月になると、XMLフォーマットだけでなく、EDIで使われている固定長やCSVフォーマットのデータや、プロトコルもHTTPS、SMTP、FTP、Webサービスと幅広く対応している。

 ASTERIA R1が、RosettaNetやAribaなどですぐに使えるB2Bのターンキーソリューションだったとすれば、インフォテリアが「マルチチャネル」と呼ぶアーキテクチャを採用したASTERIA R2では、異なるデータフォーマットやネットワークプロトコルが混在する企業内や企業と企業に目を向け、そこでのデータ連携を統合するハブを目指した。アイコンをベースとした直観的でプログラミングが不要な設計環境も併せて提供することで、システム連携のためのインタフェース開発期間を大幅に短縮できるという。

 最近、ミドルウェア分野で最もホットな市場として「インテグレーション」が注目されているが、ASTERIA R2は、WebサービスやEAIのプラットフォームとしても利用できるという。

 3月末までの時点で、同社の顧客数は、大手企業を中心に40社を超えたという。業種も官公庁、金融、建設、小売り、サービス、自動車、商社、情報サービス、製造、通信と幅広く、「競合案件では9割を受注している」と平野社長は自信を見せる。

 データのハブを標榜するだけあって、ASTERIA R2の使われ方はさまざまだが、平野氏は、大手都市銀行が為替決済の情報をWebブラウザ経由で取得し、自社のシステムに入力するのを「Webマクロレコーダー」と呼ばれる機能で自動化している事例を紹介してくれた。Webサービスによるインテグレーションのような「スマートさ」はないものの、むしろASTERIA R2らしいユーザーの現実に即した使われ方といえる。同銀行では、ASTERIA R2による自動化によって約15分ごとに為替決済情報を自社システムに反映でき、それだけリスクを軽減できるようになったという。

 今後、インフォテリアでは、ASTERIAの技術者教育に力を入れ、さらに成長に浮力を付けたいとしている。ASTERIAに特化したコースを開設し、年間500人程度の技術者養成を目標に掲げる。入門的なバンズオンコースのほか、実際の用途をヒアリングしたうえでそれに即したコースも提供する。こうしたカスタマイズ型のコースを終了すれば、プロトタイプが出来上がっている仕掛けだ。同時にASTERIAデベロッパーコネクションも立ち上げ、専用サイトでアップデート情報やノウハウといった技術情報も提供していくという。

関連記事
▼競艇情報化センターがジャパンネット銀行口座を利用したインターネット投票を開始
▼ジャパンネット銀行、ASTERIA導入で邦銀初のXML決済サービス
▼インフォテリアが早くもASTERIA R2の新版投入、三菱商事など大手20社が採用

関連リンク
▼インフォテリア

[浅井英二,ITmedia]