エンタープライズ:ニュース 2003/06/13 13:53:00 更新


「妨害行為」許せない――J.D. EdwardsがOracleを提訴

OracleのPeopleSoft買収計画をめぐる騒動がさらにややこしい展開を見せている。PeopleSoftとの合併を望むJ.D. Edwardsが、Oracleを「傲慢で不法で破壊的」と非難、同社と幹部を提訴した。(IDG)

 米J.D. Edwardsは6月12日、Oracleに対して2件の訴訟を起こした。損害賠償と、OracleによるPeopleSoft買収計画の差し止めを求めている。

 コロラド州デンバーに本社を置くJ.D. Edwardsは、同州裁判所にOracleを提訴。OracleがJ.D. EdwardsとPeopleSoftの合併計画を「不法妨害した」と主張、17億ドルの補填損害賠償と金額未特定の懲罰的賠償を求めている。

 J.D. Edwardsはさらに、OracleとPeopleSoftの本社があるカリフォルニア州の裁判所でも、Oracleとその幹部2人を提訴した。訴えられたOracle幹部はラリー・エリソンCEOとチャック・フィリップス執行副社長。J.D. Edwardsは、両Oracle幹部を不法行為と不正事業慣行で追及、Oracleの敵対的なPeopleSoft買収案に対する差し止め命令を求めている。

 J.D. Edwardsが訴訟を起こしたことで、エンタープライズアプリケーション市場の主要ライバルPeopleSoftを買収しようというOracleの試みをめぐる険悪な争いに、また一つ、新たなねじれが生じたことになる。Oracleは先日、PeopleSoftはOracleを提訴する計画を取りやめたと発表していた。

 Oracleは6日、PeopleSoftに対する敵対的買収計画を発表。これはPeopleSfotがJ.D. Edwardsの買収で合意が得られたと発表した数日後のことだった。

 J.D. Edwardsは、OracleのPeopleSoft買収提案の目的はPeopleSoftとJ.D. Edwardsの合併を妨害することだけであり、両社の株主、顧客、従業員、およびITコミュニティ全体にとっての「価値を破壊」するものだと主張している。

 「Oracleがこうした傲慢で不法で破壊的な行為を推し進めるのを、黙って見ているわけにはいかない」(J.D. Edwardsの会長兼社長兼CEO、ボブ・デュカウスキー氏)

 Oracleはこれを受け、PeopleSoftとJ.D. Edwardsは株主を脇に追いやって法廷闘争という道を選んだと批判する声明を出した。「何らメリットのない訴訟ととらえている」と同社。

 データベースベンダーのOracleは、PeopleSoft買収に成功した場合、PeopleSoft製品の販売を中止する計画だしている。また、PeopleSoftのJ.D. Edwards買収計画については、OracleがPeopleSoftの買収を完了し次第、再検討することになるとも話している。

 J.D. EdwardsのOracle提訴発表に先立ってPeopleSoftは12日、Oracleの株式買い付け提案を拒否するよう株主に勧告することを、PeopleSoft取締役会が満場一致で票決したと発表した。OracleによるPeopleSoft株式公開買い付けの提示総額は51億ドル。J.D. Edwardsは、PeopleSoftがこの提案を拒否する判断を下したことに強い支持を表明した。

 金融アナリストは、OracleはPeopleSoft買収に成功してもしなくても得るところがあると指摘する。Oracleの買収提案によって、PeopleSoftとJ.D. Edwardsの今後について、IT購入者の間に不安が芽生えており、これら購入者が、代わりにOracleから製品を購入しようと考える可能性があるからだ。

 J.D. Edwardsはコロラド州提出の訴状で、「Oracleは、J.D. Edwardsとその既存および潜在顧客との有望な関係に干渉する不正行為によって、既に当社に直接的な損害を与えている」と述べている。

 訴状にはさらに次のように記されている。

 「実際、Oracleは買収提案によって2件の反競争的目的を完遂しようと狙っている。一つは、最も身近な競合2社が合体してOracleより大きくなるのを阻止すること。もう一つは、目前に迫ったライバルPeopleSoftを市場から抹殺することだ」

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[Joris Evers,IDG News Service]

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