エンタープライズ:ニュース 2003/06/27 23:21:00 更新


HP、グリッドコンピューティング用に自社ソフトをオープンソース化

HPはシアトルで開催されたGlobal Grid Forumカンファレンスで、自社のSmartFrogテクノロジーをオープンソース化し、グリッドコンピューティング推進に貢献すると宣言した。(IDG)

 Hewlett-Packardはグリッドアプリケーションを設定するためのオープンソース・ソフトウェアをリリースする予定だ。同社の最高経営責任者(CTO)が、シアトルで6月26日に開催されたGlobal Grid Forum (GGF) カンファレンスにおける基調講演の中で明らかにした。

 「われわれはHPが開発したSmartFrog (Framework for object groups) というテクノロジーをオープンソースコミュニティ、特にGGFに対して提供する」とHewlett-PackardのCTOであるシェーン・ロビソン氏は述べた。

 SmartFrogは英国ブリストルにあるHPの研究所で開発され、University of EdinburghのGridWeaverコンピュータ設定プロジェクトの一部としてテスト中である。「これは、分散アプリケーションの活動状況を記述し、導入し、調整するためのフレームワークだ」とHPの研究所プロジェクトマネジャーであるピーター・トフト氏は基調講演後のインタビューで語った。

 このソフトウェアを使うと、たとえばウェブ・サーバ・ソフトウェアの設定で、必要時に自動的にコンピューティングリソースを取得することが可能になる、とトフト氏。

 HPはSmartFrogをオープンソース化するかどうかは決めていない。SmartFrogには言語、ランタイム実行フレームワーク、そしてSmartFrogで利用可能なコンポーネント一式が含まれる。しかし、トフト氏によれば、ソフトウェアは今年中にリリースされるという。

 「われわれとしては、サードパーティがSmartFrog言語を使ってアプリケーションを記述し、コンポーネントをSmartFrogフレームワークの中でビルドすることに興味を持ってくれることを狙っている」とトフト氏。

 基調講演の中でロビソン氏はグリッド化したOpenViewコンポーネント、「Grid Resource Topology Designer」を披露した。これは、HPのUtility Data Centersでコンピュータリソース管理に使われている。OpenViewはHPのシステム/ネットワーク管理プラットフォームである。

 Topology Designerはグリッド標準を自社のウェブサービス管理フレームワークに組み込もうというもので、ロビソン氏によれば、いずれはOpenViewに統合される予定だという。

 特に商用アプリケーションにおいてグリッドコンピューティングが商業的な成功を収めるためには、管理ソフトウェアがないということは致命的だ、とロビソン氏。しかし、グリッドコンピューティングのベネフィットは非常に大きいので、デベロッパーはいずれ、この問題を解決するだろうという。「グリッドが商用分野で高い関心を集めているのは、分散コンピューティングの世界によってリアルな問題を解決できる可能性を秘めているからだ」と同氏。「グリッドによりサービスレベルを協調させることで、ITはビジネスアーキテクチャを結合させることが可能になる」と同氏は付け加えた。

 HPはGGFにおける影響力を強め、GGF標準を公式にサポートすることで、アカデミック/研究の先に進もうとしていると、あるGGF参加者は述べる。「HPはこのフレームに突然、強力な形で登場してきた。そして彼らははっきりとオープンソースのモデルをサポートしている。これはすばらしい」とロンドンのソフトウェア会社、EnigmatecのCTOであるダンカン・ジョンストン=ワット氏は述べる。

 「グリッドは白衣を着た科学者だけのものではない」と同氏は述べた。

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[Robert McMillan,IDG News Service]

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