エンタープライズ:ニュース 2003/07/03 05:23:00 更新


メトロイーサネットはどこへ向かう? エクストリームCTOが説明

米Extreme Networksの上級副社長兼CTO、スティーブ・ハドック氏がNetWorld+Interop 2003 Tokyoに合わせて来日し、業界全体のメトロイーサネットへの取り組みについて説明した。

 「Ethernet Everywhere」を提唱してきたExtreme Networksの上級副社長兼CTO、スティーブ・ハドック氏がNetWorld+Interop 2003 Tokyoに合わせて来日。同社および業界全体のメトロイーサネットへの取り組みについて説明した。

 メトロイーサネットの実例は、NTT東日本の「メトロイーサ」やNTT西日本の「アーバンイーサ」に見ることができる。イーサネット技術を活用し、専用線やSONET/SDHでは実現しがたかった高速なアクセスを安価に提供できることが最大の特徴だ。そしてIEEEやIETF、MEF(Metro Ethernet Forum)といった複数の標準化団体では、その一歩先を目指してさまざまな仕様の策定に当たっている。

 ハドック氏は一連の取り組みを大きく4つに分類している。1つは、IEEE 802.3ahとEFM(Ethernet in the First Mile)、EPON(Ethernet Passive Optical Network)に代表される「アクセス」。2つめは、MEFが中心となって取りまとめを進めている「サービス」だ。また3つめの「アーキテクチャおよびフレームワーク」では、vLANにvLANを掛け合わせる――Extremeでは“vMAN”と称している――いわゆる「q in q」や802.1ad、VPLS(Virtual Private LAN Service)といった技術を通して、キャリアクラスの拡張性をスイッチに実装させようとしている。最後は「イーサネットのOAM(運用、管理)」だ。ループバックやリンクモニタリングなどを含むこの分野は、実はイーサネットが苦手としてきたところだが、複数のアプローチが試みられているという。

ハドック氏がまとめた標準化動向

ハドック氏がまとめたメトロイーサネットをめぐる標準化動向

 「メトロイーサネットのポイントは、レイヤ2/3スイッチでどれだけ拡張性を実現できるか、またその上で付加価値の高いサービスを提供できるかというところにある。現在もなお進んでいる標準化活動は、こうしたニーズを反映したものだ」(ハドック氏)。

 同氏は、SONET/SDHと比較すると、メトロイーサネットには3つのメリットがあるという。1つは言わずと知れたコストだ。2つめはプロビジョニングで、ユーザーが必要なときにきめ細かく帯域を変更、拡張できる。そして、もともとポイントツーポイント型であるSONETとは異なり、メトロイーサネットはパケットスイッチングをベースとしており、柔軟かつプロトコルの自由が利くこともポイントという。

 米国では数年前、いくつかのサービスプロバイダーが先行してメトロイーサネットサービスを展開しながら、結局は失敗に終わった。ハドック氏はこのことを認めながらも、やはり景気の影響が大きかったと振り返る。そして、「日本では確実に、メトロイーサネットが成功しつつある」と述べた。

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[高橋睦美,ITmedia]