エンタープライズ:ニュース 2003/09/16 19:48:00 更新


基調講演:コンウェイCEO、防弾チョッキでOracleに痛烈な皮肉

米PeopleSoftの「PeopleSoft Connect」が開幕した。見どころは、J.D. Edwardsとの合併後の戦略や製品ライン、そして、PeopleSoftを買収するとして世界中を驚かせた米Oracleへの対応の2点が挙げられる。

 カリフォルニア州アナハイムで9月15日、米PeopleSoftの年次ユーザーカンファレンス「PeopleSoft Connect」が開幕し、世界中から1万人のカスタマーやエンジニアが参加する大規模なイベントとなった。主な見どころは、J.D. Edwardsとの合併後の戦略や製品ライン、そして、PeopleSoftを買収するとして世界中を驚かせた米Oracleへの対応の2点が挙げられる。特に初日の基調講演でクレイグ・コンウェイCEOが見せたパフォーマンスは、Oracleへの皮肉を含むスパイスの効いた内容になった。

people.jpg
防弾チョッキを着て登場したコンウェイ氏と愛犬のアビー。

 コンウェイ氏は、なんと防弾チョッキを身にまとい、さらにアビーという名の犬と一緒に登場した。この犬も防弾チョッキを着ている。

 これには、米Oracleのラリー・エリソンCEOの発言への痛烈な皮肉が込められている。

 エリソン氏は7月初旬に、コンウェイ氏がOracleの提案に防御の姿勢を採っていることを強く批判する際、「クレイギー(コンウェイ氏)は一時期、私が彼の犬を撃ち殺そうとしていると考えていた。私は動物好きだ。もしクレイギー(とその犬)が並んで立ち、私の手元に弾丸が一つあったなら、その弾丸は犬を撃つためのものではない」と発言した。

 基調講演のパフォーマンスはまさに、この発言に対する「お返し」になる。コンウェイ氏は壇上で、「エリソン氏は犬は撃たないと言ったが、彼はすぐ気が変わるので、リスク管理の一環として犬も私も防弾チョッキを着ている」と話した。

 コンウェイ氏は先日「(Oracleによる買収騒動は)終わったも同然」と述べた通り、この日も「現実的に消えている」と改めて合併の可能性を否定した。

 さらに同氏は、OracleはPeopleSoftとJ.D. Edwardsのビジネスを邪魔したかっただけであると説明し、「ERP業界において世界2位のリーダー企業となる“新PeopleSoft”に、それだけ脅威を感じているということ」と、Oracleとの問題を逆手に取って、PeopleSoftの存在をアピールした。

「Oracleが失敗したのは皆さまのおかげ」

 Oracleの買収計画が発表されたとき、Gartnerなどのアナリストがこぞって、「今は(未来が見えない)PeopleSoftを買わないように」といった旨のメッセージを発信していたという。実際に不安を煽られたカスタマーも多かったようだ。

 「だが第2四半期、PeopleSoftの業績はアナリスト予想を上回ったのです」(コンウェイ氏)

 同氏は、これを顧客によるOracle買収の拒否の動きとして捕らえた。「皆さまのおかげでOracleのPeopleSoft買収は失敗したのです」と、来場者に感謝の言葉を述べるコンウェイ氏に、満員の会場から拍手が湧き出た。

 「カスタマーの皆さまが、このままではPeopleSoftがだめになってしまう、今までの投資が無駄になってしまうと思ってくれた。“PeopleSoftを買ってくれなくなる”というわれわれの最大の危機からカスタマーが救ってくれたのです」(コンウェイ氏)

関連記事
▼激震するアプリケーション業界
▼PeopleSoft Connect 2003 Report

関連リンク
▼日本ピープルソフト

[怒賀新也,ITmedia]