エンタープライズ:インタビュー 2003/09/17 15:45:00 更新


Interview:国防総省からの転身ビル・バス氏、Sun社内システムSun Rayを語る

SunNetwork 2003の初日、国防総省から転職して、米Sunの社内ITを担当しているビル・バス氏と、日本からのプレス合同でのインタビューの席が設けられた。

 SunNetwork 2003カンファレンスの初日(米国時間16日)、日本プレス合同によるインタビューが行われた。米国Sun社内のIT担当を行うビル・バス氏と会合し、前職、国防総省からSunへと移った同氏の経歴、そしてSunでの取り組みについてが語られた。

 バス氏は、Sun入社から2003年9月現在まで3年という経歴ながら、前職は国防総省のCIO、それに伴いペンタゴンでソフトウェアに関わる355億ドルの予算と3千万の機器、1600万人のユーザーシステムに関わってきた。Sunへの転身後には、社内で3万5千の機器、ユーザー数4〜5万人のため、ペンタゴンに比べれば規模が小さいという。

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Sun Rayの優位性は、Javaカードの暗号化、クラスタリング、同時アクセス許容量とビル・バス氏


国家機関ではシステム変更にも政治が絡んでしまう

 国防総省で学んだことすべては、Sunで通用すると語るものの、その反面通用しない点といえば、それはテクノロジーではなく人の問題であると語る。強いていえば、ITに投資される予算はプロジェクトごとにかなり異なる点も挙げられた。民間では国家機関と異なり、とても早く事が進む点に好感触のようだ。誤った事態が起きた際、すぐにでも修正可能となるが、国防総省では政治が関わってくるために困難という。

 民間企業では予算の変動が比較的なくせいぜい10%前後、国防総省では急きょ37%削減などと宣告され苦悩の時もあったと語る。国防総省では取り組みにプレッシャーがあったことも事実だという。イラク戦争突入時には、現状プロジェクトはすべて中止、さらに1カ月程度ですべて取り掛からなければならない事態にもなった。

 Sunにおいては、マクニーリーCEOからの要請で社内システムに対する幾つかが挙げられた。コストダウン、セキュリティ確保、使い勝手の容易さの3点だ。これに対し、バス氏の見解はSun RayによるJavaカードとの連携、暗号化がカードによって確保されPKE暗号実装によるセキュリティをも意識されたシステムに自信を見せる。

 社内でのSun Rayの使用率については、社員4〜5万人の中で3万5千人程度の利用が把握されている。これに対し、2万7千〜8千程度のSun Rayが配備されている。中には、エンジニアにおいては業務自体でデスクトップを利用する必要があるため、併用している。

 Windowsターミナルサービスと比べ優位性についても聞いた。ライセンスを抜きにして考えた場合、Javaカードとの連携以外に何があるのかとの点だ。

 バス氏からは、まず最初にJavaカードによる暗号化、CPUごとのアクセス数、そして要となるクラスタテクノロジーがあり、これが国防総省にて99.999%の稼働率を誇り採用したいちばんの理由だという。また、CitrixターミナルにてSun社内でWindowsの検証も行ったところ、400人程度の同時アクセスで不具合が見られ好ましくない結果だったと語る。

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[木田佳克,ITmedia]