エンタープライズ:ニュース 2003/09/22 22:58:00 更新


日本HPとマイクロソフトが、計画系における64ビットWindows+Itanium 2のパワーを実証

日本HPとマイクロソフトは、Itanium 2サーバに64ビット版Windows Server 2003、64ビットSQL Server 2000、SAP APOを組み合わせたシステムで、2月から進めていたベンチマーク検証の結果を発表した。

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)とマイクロソフトは9月22日、日本HPのItanium 2搭載サーバ「HP Integrity」に、Windows Server 2003(64ビット)、SQL Server 2000 Enterprise Edition(64ビット、SAPアドバンスト・プランナー・アンド・オプティマイザ(SAP APO))を組み合わせたシステムにおいて、SAPの標準ベンチマークで、8CPUのWindowsベースシステムの新記録を達成したと発表した

 今回の発表は、日本HPとマイクロソフトが2月24日に発表した、Itanium 2サーバにおけるWindows Server 2003/SQL Server 2000 Enterprise Editionの動作・パフォーマンスなどの共同検証作業の成果の一つ。

 この検証プロジェクトは、グローバル企業によく見られるように米本社同士の作業をなぞったというようなことではなく、日本HPとマイクロソフト、それにSAPジャパンが協力して実施したもの。Itanium 2サーバと64ビットWindowsベースシステムの機能や性能を日本の顧客にアピールするとともに、システム導入に必要な技術データ/ノウハウを得ることが目標となっている。

 検証プロジェクトは、マイクロソフト調布技術センター(東京)において、HP Integrityサーバrx5670(Itanium 2/1GHz 4way、48Gバイトメモリ)×2台を使用し、同技術センターとHPテクニカルサポートグループ、HP SAPコンピテンスセンターが協力して行った。アプリケーションのSAP APOはSAPのSCM製品で、ベンチマーク対象に選んだのは、需要計画の処理速度を計測するものだ。

 このような計画系のSCMソリューションでは、大量のデータを組み合わせた膨大な演算処理が必要となる。この演算処理を短時間に行えれば、それだけ正確な予測/計画が立てられるわけで、企業の投資意欲も比較的高い分野であるという(マイクロソフト談)。

 SAP APOは、演算処理高速化のため、大量のデータをメモリ上に展開して、時間のかかるディスクI/Oを減らすLiveCacheという仕組みを持っている。しかし32ビットWindows 2000システムでは、物理メモリが最大8Gバイト(Advanced Server以外は4Gバイト)という制限があり、実計算に利用するメモリ領域(ヒープ領域)が2.7Gバイトまでしか取れず、データ/演算処理が大きくなるとディスクスワップが発生してボトルネックとなっていた。企業の現場においては、この問題のために、計画系システムにおいては(ほかのシステムがWindowsであっても)UNIXサーバが導入されていた。

 Windows Server 2003(64ビット)では、利用可能物理メモリが512Gバイトに拡大し、ヒープ領域の制限が事実上なくなった。これによって、従来のUNIXサーバのほかに、Itanium 2+64ビットWindowsという選択肢が増えることになる。マイクロソフト/日本HPでは、SCMソリューションにおいて演算処理のためだけにUNIXサーバを導入する必要がなくなり、Windowsシステムで統一することで、初期コスト、(システム管理者コストを含めた)管理コストを大きく削減できるとしている。

 今回のベンチマーク結果の256,458CC/h(Characteristic Combinations/hour)は、これまでのXeon MP/1.6GHzの8CPUシステム(4way×2、メモリ8Gバイト)の114,402CC/hの2.2倍の性能となっている。1秒あたりの処理数で比較すると、4万件の組み合わせで1.5倍、20万件の組み合わせで2倍弱となっており、32ビットWindowsシステムはデータが大きくなって処理性能が低下しているが、Windows Server 2003(64ビット)では、性能の低下が見られないことが実証できたという。しかも、このシステムが搭載しているIntanium 2は、昨年発表されたMcKinleyであり、7月に発表になったMadison搭載システムであれば、さらに高性能になると推測できる。

 日本HPとマイクロソフトでは、今回の検証により、64ビットWindowsシステム+Itanium 2サーバという組み合わせが、流通、BI、SCMの計画系ソリューションなど、大容量データを扱う大規模システムにおいて、十分な処理性能を得られるという結果を得たとして、すでにマーケティングに活用しているという。日本人スタッフにより、日本で世界最高のスコアを得たことも、日本でのシステム提案において大きなプラスになるとしている。今後は、エンタープライズ業務やサービスプロバイダのミッドレンジ以上の領域で、さらに検証を続けていく計画だ。

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[佐々木千之,ITmedia]