特集
2004/02/02 17:10:00 更新

第四回
SPSが実現する革新的情報活用(後編) (2/2)


一人ひとりが持てる自分専用の個人用サイト

 SPSには、個人のためのサイトも用意されている。それが「個人用サイト」だ。文字どおりSPSのユーザー一人ひとりに与えられた自分専用のサイトである。ポータルで見つけたニュース記事、個人用のドキュメント、画像などを登録しておくことができる。

 個人用サイトは「プライベート」と「パブリック」の2つのビューを持つ。「プライベート」に置かれた情報はユーザー本人以外は見ることができないし、ポータルページからの検索にもヒットしない。「パブリック」は、他のユーザーに公開される情報を保存するエリアだ。メールアドレス、所属部署、上司、顔写真などのプロフィールを用意しておけば、それらがKnow-who検索で検索される情報となる。さらに、ドキュメント、画像、リンク集などを公開し、他のユーザーと共有することも可能だ。

 ポータルページが全社員で利用する大講堂だとしたら、WSSのサイトがチーム単位で利用できるミーティングルーム、個人用サイトがプライバシーの守られた個人専用の小部屋だと言える。公開する必要のない情報、いずれ公開はするが未整理の情報などは、この小部屋に置いておけばよい。

 手軽に利用できるメリットはもちろん、SPSが作り出す情報空間の中でブライバシーを保てる場所として、あるいは情報の一時保管場所として、個人用サイトの利用価値は高い。

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画面5■個人用サイトのプライベートページ。SPSユーザー一人一人が持てる自分専用のページだ。


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画面6■個人用サイトのパブリックページ。連絡先やプロフィール、共有ドキュメントなどを公開できる。


強力な検索機能

 ポータルで忘れてならないのは検索機能だ。いかに多くの情報を扱えようと、カスタマイズが柔軟だろうと、検索がシンプルかつ強力でなければ、そのポータルは使いやすいとは言えない。ここでは、SPSの検索機能を簡単にレポートしておこう。

 最も簡単かつ利用頻度が高いのは、ポータルページ右上のキーワード検索だろう。調べたいトピックに関するキーワードを入力し、実行ボタンをクリックするか、Enterキーを押せばよい。

 もう少しターゲットを絞った検索を行うなら、検索範囲を設定することもできる。初期設定ではSPSが扱うすべての情報を対象とする「すべてのソース」だけが用意されているが、新たに検索範囲を設定することで、トピックやニュースなど、範囲を限定した検索も可能だ。

 複数の条件を指定して検索できる「高度な検索」も用意されている。検索範囲の指定はもちろん、プロパティ別の検索では、ユーザーが公開している自己紹介文だけを検索したり、部署や所属を絞った検索もできる。情報が公開された日時による絞り込みも可能だ。

 検索結果を、サイト順や作成順などで並べ替えられるのも便利だ。さらに、検索結果を個人用サイトの「個人用リンク」として取り込むことも可能だ。SPSの検索機能に死角は見あたらない。

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画面7■ポータルページ右上からのキーワード検索の他に、複数の条件を組み合わせた高度な検索機能も用意される。


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画面8■検索結果はサイト順、日付順、作成者順などでソートできる。


Microsoft Office 2003 Editionsとの連携

 これまで見てきたように、SPSはWebブラウザ(Internet Explorer)をクライアントとして利用するが、ユーザー環境にMicrosoft Office 2003 Editionsがあれば、Word 2003やExcel 2003、PowerPoint 2003、Outlook 2003もSPSのクライアントとして活用できる。

 例えば、SPS(正確にはWSS)には「ドキュメントワークスペース」や「会議ワークスペース」などのワークスペースを作成する機能があるが、この機能はOutlook 2003からも利用できる。具体的には、Outlook 2003を使って「会議ワークスペース」を作成し、同時に会議参加者へ開催通知をメール送信できる。メール受信者は、メールに含まれたハイパーリンクによって会議ワークスペースへ移動し、会議の詳細を知ることが可能だ。

 Word 2003、Excel 2003、PowerPoint 2003には、作業ウィンドウに「共有ワークスペース」が用意されている。共有ワークスペースからは、サーバ上に「ドキュメントワークスペース」を作成し、ドキュメント(文書/ブック/プレゼンデータ)を他のユーザーと共有できる。新しいメンバーを追加したり、ドキュメントのバージョンを管理することも可能だ(ワークスペースについては、別の回で詳しく解説する予定だ)。

 いずれも、Webブラウザから実行できる機能だが、Microsoft Office 2003 Editionsのユーザーは、わざわざブラウザを起動しなくても、Officeの中からこれらの機能を呼び出せるのである。

 このほかにも、InfoPath 2003によるフォームライブラリの発行機能(売上報告書などのXMLデータ入力用テンプレートをサーバに発行する機能)、FrontPage 2003によるWebパーツ作成やページデザインの変更機能など、Microsoft Office 2003 EditionsとSPSはたいへん深いつながりを持っている。

 なお念のため確認しておくが、Microsoft Office 2003 EditionsがなくてもSPSは利用可能である。しかし、もしもMicrosoft Office 2003 Editionsがすでに導入されているなら、そこにSPSが加わることで、ユーザーにとってより使いやすいポータルを構築できるのは間違いない。「WordやExcelなら使えるけれど……」といったエンドユーザーであっても、SPSが提供する数々のメリットを自然に享受できるだろう。日常の業務で慣れ親しんだWordやExcelを使いながら、シームレスにSPSを利用できるメリットは計り知れない。

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画面9■Outlook 2003から「会議ワークスペース」を作成し、会議参加者に開催通知を送信できる。


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画面10■Word 2003/Excel 2003/PowerPoint 2003では、作業ウィンドウの「共有ワークスペース」でドキュメントを共有できる。


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[井上健語(ジャムハウス),ITmedia]

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