ニュース
2004/02/24 18:21 更新


国内でも新戦略を正式に発表、ネットワーク業界に新風を巻き起こすエンテラシス

エンテラシス・ネットワークスは2月24日、同社の新戦略と新製品を国内でも正式に発表した。合わせてロゴも変更されている。

 エンテラシス・ネットワークスは2月24日、同社の新戦略と新製品について説明会を開催した。同内容は、先日パートナー向けに発表されているが、これが国内での正式発表となる。

 挨拶に立った、同社代表取締役社長、土本良司氏はまず、同社の新ロゴを発表した。これまでのブルーを基調としたものから一転、赤を基調としたものに変更された。

エンテラシスの新ロゴ

発表されたエンテラシスの新ロゴ。


 同氏によると、「entera」はスペイン語で「全て」を、「sys」はシステムを意味しているという。また、タグラインの「Networks that Know」は、ネットワーク自体がまるで人間のように振舞うことの比喩となっており、ネットワーク全体を見据えた同社に相応しいロゴであると胸を張る。

土本氏

「新戦略を強力に推進したい」と話す土本氏


新戦略が狙う「5つのC」

 今回発表された新戦略「Secure Networks」は、すでに別記事でその内容に触れているが、再度説明するならば、顧客のセキュリティ意識にフォーカスした差別化戦略となる。

 ネットワーク市場に限ったことではないが、マーケットがある程度成熟すると、均質化したコモディティマーケットと化し、際限のない価格競争へと陥りがちである。土本氏はこうした状況を3C市場と称し、新たに「5C」の観点から製品やソリューションを選択してほしいと語る。

 この新たに提唱した「5C」とは、「Continuity」(継続性)、「Context」、「Control」「Compliance」「Consolidation」(統合)の5つ。管理しやすく、かつ環境の変化に動的に対応可能にすることで、ハイパフォーマンスな接続を維持しつつ、セキュアなネットワークを保障できるようになるという。

 これらは同社が10年以上培ってきた技術が可能とするものであり、3Cの考えに基づく市場で優位に立つ競合ベンダーがすぐには追随できないものであるとしている。

「個人情報保護法案などが施行されることもあり、セキュリティに関する意識はいやがおうにも持たざるを得ない。ネットワークの担当者に任せてしまうのではなく、いわゆるCXX(シーペケペケ)つまり、CEO、CIO、CFOなど意思決定を行うものこそが、ネットワークとセキュリティに対して、より目を向けるべきである」(土本氏)

 同ソリューションでは、ロールベースのポリシーを同社のソフト「NetSight ATLAS」が一元的に管理・制御する。設定したポリシーを各スイッチのポリシーキャッシュに溜め込むことで、各スイッチ(もっと厳密にはスイッチの各ポート)に対し、仮想分散ファイアウォールを容易に構築できる。また、標準に準拠した技術で固めることで、既存システムにも組み込み易くなっているほか、同社のIDS「DRAGON」と連携させることで、未知の攻撃に対する動的なセキュリティ対策が自動的に行えるという。

新製品群も発表

 同戦略に合わせて発表された新製品群は、シャーシスイッチ「Matrix N3/N7」のモジュールとして、Platinum DFE(11種類)およびGold DFE(7種類)、ハイエンドスイッチの「Matrix E1(WS-24)」、ハイエンドとローエンドの間に位置する「Matrix C1」、無線アクセスポイントの「RoamAbout AP3000」の5種類。

 これらは基本的に、これまでの製品ラインアップを補完するもので、ポート数の変更や、機能をオプション化したりしてコスト面でのメリットを打ち出しているものが多い。

 なお、現時点では、1ポートにつき1ユーザー/1ポリシーしか適用できない。このため、企業のエッジ部分でよく見られる、いわゆる「ダムハブ」との親和性が低い。この部分に対して同社が解決策としたのは、「Multi-User Authentication and Policy」と呼ばれる技術。同技術に対応した製品であれば、1ポートにつき、複数ユーザー/複数ポリシーを割り当てることができ、エッジ部分がダムハブの形を採っていても対応可能となる。

 同技術に対応するのは、2004年4月から5月を予定している。

「コスト的に妥当な範囲で、既存のシステムにインプリメントが可能」(エンテラシス・ネットワークス、マーケティング本部マネージャー森本 信一氏)とし、同社の一次代理店9社に加え、新規に契約を結んだ数社が拡販に当たっていく予定。

「ネットワーク機器のコモディティ化に伴い、SIerは、箱(ここではスイッチなどのネットワーク機器)売りの利益は考えず、付加価値でマージンを取っていくという流れになりつつある。こうした状況では、この5CおよびSecure Networksの概念はアピールしやすいものであるといえる。勝負はこの1、2年で決まるだろう」と話す土本氏。当面の戦略は、エクストリーム ネットワークス製品からの買い替え需要を狙っている感もある。新生エンテラシスは顧客、そしてネットワーク市場を変えられるか、注目したいところだ。

[西尾泰三,ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.