「NoSQL」を上回る性能を目指す次世代型高速SQLデータベース「VoltDB」登場
豊富なメモリやマルチコアCPUを備えたシステムに最適化された次世代型の高速SQLデータベース「VoltDB」がリリースされた。メモリは4Gバイト以上が推奨されるなど利用環境は限定されるが、トランザクション性能はほかのDBMSを圧倒する性能を示しており、今後が注目される。
ベンチャー企業の米VoltDBは5月25日(現地時間)、オープンソースのデータベースシステム「VoltDB 1.0.1」をリリースした。高速、拡張性、ACID順守などを特長とする次世代DBMSとしている。
VoltDBは「Postgres」「Ingres」などのデータベースプロジェクトを共同で創始したマイケル・ストーンブレイカー氏が設計したもので、同氏が非常勤教授を務めるマサチューセッツ工科大(MIT)、ブラウン大学、イェール大学、HP Labsの共同研究「H-Store」がベースとなっている。
VoltDBは豊富なメモリやマルチコアCPUを備えたシステムに最適化されており、データ分散させてメモリ内に配置することで飛躍的に性能を改善しているという。データベースエンジンはマルチスレッドで動作し、データは分割されて各スレッドに配置される。それぞれのスレッドはロックやラッチなしで自律的に動作し、またクラスタ間での自動レプリケーション機能なども搭載しているという。
このような機構により、既存のデータベースで性能劣化の原因となっているロギングやバッファ管理などのオーバーヘッドを減らし、性能を改善するという。また、スケーラビリティも特長の1つで、クラスタにサーバを追加すると、ほぼリニアに性能を拡張できるとのこと。NoSQLデータベースのキーバリュー型データストアとは異なり、SQLを利用でき、ACID特性も備えている。
ベンチマークテストにおいて、シングルノードでのTPS(1秒当たりのトランザクション)はほかのDBMSが1155だったのに対し、VoltDBは45倍以上の5万3000だったという。NoSQLとのキーバリューストアワークロードに関する性能ベンチマーク比較では、同等またはそれ以上だったという。
VoltDBは、GPLの下で公開するオープンソース版のCommunity Editionと、サブスクリプション形式で提供する有償版の2つで展開する。オープンソース版は同社Webサイトから入手できる。
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