「ビッグデータ市場でリーダーになるだろう」 IBMのソフト&システム事業トップが来日会見
15年以上にわたってIBMのソフトウェア事業を率いるスティーブ・ミルズ氏が将来に向けた戦略ロードマップを語った。
日本IBMは5月31日、ソフトウェアおよびシステム製品の事業戦略説明会を開催した。グローバルで両事業部門を統括する米IBM シニアバイスプレジデント兼グループ・エグゼクティブのスティーブ・ミルズ氏が来日し、注力ビジネスの展望などを語った。ミルズ氏は「ハードウェア事業とソフトウェア事業を合わせて、IBMの全社売り上げの半数以上を目指す」と意気込んだ。
ミルズ氏は1995年からIBMのソフトウェアグループを担当し、2010年からはシステム製品事業も兼任。双方の部門で開発、製造、営業、マーケティングなどに従事する社員11万人を統括する。2011年の業績について、ソフトウェア事業の売り上げは約250億ドルで、IBM全体の45%を占める。ハードウェア事業は約150億ドルだった。「2015年までにソフトウェアは売り上げ全体の50%に、ハードウェアと合わせて60%以上にもっていく」と、ミルズ氏は自信満々に話す。
その達成に向けた注力分野として、ミルズ氏は「ビジネスアナリティクス(BA)」「クラウドコンピューティング」「スマーターコマース」「スマートシティ」「スマータープラネット」「物理インフラの最適化」を挙げる。特に重点を置くのがBA分野である。
「北米やアジアなど地域に依存せず、どの顧客もBAに関する技術に興味を持っている。膨大なデータ分析によって将来のリスクを見込んだり、今後のマーケットの方向性を予測したりすることを望む企業は増えている」(ミルズ氏)
このように、“ビッグデータ”に対する顧客需要の高まりを受け、IBMにおいても情報管理やデータ解析の事業ポートフォリオを拡大。BA関連企業の買収や人材登用など過去5年間で140億ドル以上を投資した。「民間企業で最大規模となる数学者を抱えており、400人以上がPh.D.(博士水準の学位)を取得している」とミルズ氏は組織としての強みを説明する。
IBMでは、2015年にはBA分野の売り上げが160億ドルに達すると見込んでおり、名実ともに「ビッグデータ市場でリーダーになっているだろう」とミルズ氏は力を込めた。
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