目指せ、古典文学となるブログ!:オルタナティブな生き方 片岡麻実さん(3/3 ページ)
文学少女とITが出逢うと片岡さんになる。「ガラスの仮面シリーズ」など一風変わった視点のブログを書く彼女に、生い立ちやブログへの思いを聞いた。
いま書いているブログも古典文学かもしれない
2002年にホームページを作り始めたころは、ブログはまだそれほど普及していなかった。当時は「HTMLのタグを打って、ホームページに日記のようなものを書いていました」とのこと。
実はこの当時から、文章を書く仕事をしたいという思いが片岡さんにはあった。2004年ころに各種ブログサービスが登場すると、読んだ本の紹介や趣味についてのブログなどを積極的に書くようになった。「でも、単にブログを書いているだけでは、なかなか次のステップには進めませんでした」(片岡さん)
最初の転機は2008年。Cnetの読者ブログに応募して、メディアが運営するブログポータルという多くの読者の目に触れる場所で文章を書く機会を得た。ところが2010年5月に読者ブログが形態変更することになり、次のステップとしてITmedia オルタナティブ・ブログを選んだ。
「オルタナティブ・ブログは、個人ブログと違って影響力が大きいブログです。気軽に書いたことにも大きな反響が返ってきます。メディアとしての大きさを、日々感じています」。うかつなことは書けない、丁寧に慎重に書かなければならない。そして、心を込めてきちんと調べたことを書こうと思っている。なので、他人のことを書く際には、きちんと取材をしたものだけを書くことにしている。
無事にオルタナブロガーとしてデビューし、順調に読者も増やしている片岡さん。とはいえ一方では、「読者ニーズがどこにあるのかが分からないのが今でも悩みの1つ」という。苦労して書いても、なかなか伝えたいことが伝わらないと感じることも多いとか。
しかし、相手のニーズに合わせることばかり考えていては良いブログは書けないという。そんな片岡さんがブログを書く上での目標は「100年後にも読んでもらえるものを書くこと」だ。古典の恩師である武井先生が「200年後の未来のために、いま、基礎研究をやっているのです」と言っていたからだ。その教えを守り、題材を選び、しっかりと調査をして、丁寧に、これからもブログを書いていくとのこと。
「いま書いているブログも、何百年後かには古典文学の1つになっているかもしれませんね」と、夢のような話をする片岡さん。しかしそう言われたみれば確かに、現代で古典文学と呼ばれているもののいくつかは、過去の日記のようなものだ。数百年後の研究者にとって、ブログが古典研究材料の1つとなる可能性は高いのかもしれない。
片岡麻実氏 プロフィール
学生時代は日本文学専攻のパソコン講師。
職業訓練や企業研修の講師を経て、近年は子どものICT教育の講師を行いながら、チャレンジドの方への支援も行っている。最近は電子書籍とUD(ユニバーサルデザイン)に関心あり。
オルタナティブ・ブロガーインタビュー『オルタナティブな生き方』バックナンバー、オルタナティブ・ブログ片岡麻実の「テクノロジーとリベラルアーツが出逢うとき」
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