第8回 社員“以外”のマイナンバーをいつ、どのように収集するか:税理士目線で提案する「中小企業のマイナンバー対策」(2/2 ページ)
中小企業のマイナンバー対応は「士業への委託と連携+できるだけ持たないを考えた実務」がキモになる。8回目は「外注する個人事業主のマイナンバーをどんな方法で集めるか」について解説する。
「不動産の使用料等の支払調書」の場合
企業が事業所などの不動産を借りている場合に作成する「不動産の使用料等の支払調書」で、貸主が個人の場合はその方のマイナンバーの提供を求めることになります。個人の地主の方、あるいは個人で不動産賃貸業を営んでいる方であっても、貸している不動産のためにマイナンバーを提供しなければならないことをどこまで理解されているか不明です。先ほどと同様に、まずはマイナンバーの提供を早めに依頼することからはじめましょう。
貸主が遠方にいて、本人確認に出向くことが難しいこともありえます。PCやスマートデバイスを使う方法を利用できない方もいらっしゃることでしょう。このような場合は、前述した「国税分野における番号法に基づく本人確認方法」の“例4 個人番号の提供を依頼する書面を活用した本人確認”の方法が向いています。
これは、「事業者が継続して取り引きをしている顧客から個人番号の提供を受ける場合に、顧客に対して個人番号の提供を依頼する書面を送付し、顧客がその書面に通知カードや個人番号カードの裏面(通知カード等)の写しを貼付して返送する方法」です。
マイナンバーの提供を依頼する書面に、貸主の住所と氏名を記載して送付し、その書面に番号通知カードなど個人番号を確認できるもののコピーを添付して返送してもらい、書面の住所および氏名と通知カードなどのコピーの住所および氏名が同じであれば、身元確認したことになるという方法です。不動産の使用料のように継続して取引がある場合には、相手の協力さえ得られれば便利な方法です。その他の支払調書でも継続的な取引があるならば、この方法での本人確認もうまく活用するとよいでしょう。
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