第48回 SIベンダーの“錬金術”が通じない? ざっくりなITインフラのサイジング:テクノロジーエバンジェリスト 小川大地の「ここが変だよ!? 日本のITインフラ」(1/2 ページ)
日本ITインフラはまるで注文住宅のように、要件通りに仕立てようとするのに対し、欧米ではかなり違います。今回は採寸――サイジング――の点から、ココヘンを解き明かしてみましょう。
前回取り上げた“テビとテラ”。皆さんは、この単位の違いをどう思いましたか? 「たかが10%程度」という人もいれば、「10%も!?」と感じた人もいるでしょう。どちらかというと後者の人が多いかもしれません。
今日は、そんな「サイジング」にまつわるココヘンを考えていきたいと思います。
サイジングを制する者は案件を制す?
日本のITインフラは、これまでも“注文住宅”に例えてきた通り、要件に対してピッタリに仕立てられるのが特徴です。良く言えば、映画「007」の主人公が着るような英国のテーラーメイドのスーツ。寸分の狂いもなく採寸されて作り上げられています。
これほど正確な採寸(サイジング)はプロの仕事。ITインフラにおける“テーラー”(仕立て屋)は、言わずもがなSIベンダーであり、採寸から部材調達・構築まで一手に引き受けます。例に挙げたスーツ業界とは違い、日本のITインフラ業界はテーラーメイドが基本。メーカー各社のWebサイトにある認定パートナー一覧のページを見ると、日本には無数のSIベンダーがいることを再認識させられます。
ここまで多いと、もはや供給過多。どの案件もコンペが発生しています。コンペになれば技術点と価格点であり、この両方に有効なのが「サイジング」なわけです。なぜなら、サイジングが正確なほど、ぜい肉を削ぎ落としたアスリートの肉体美のような、無駄のないピッタリなシステムが提案できるからです。同時に、無駄を削ぎ落とされていることから、価格面でも競争力のあるものになります。
このように、SIベンダーがビジネスを進めるうえで、サイジングは1つの必勝法といえるでしょう。「サイジングを制する者は、案件を制す」的な雰囲気で、どのSIベンダーも日々鍛錬しているノウハウ・スキルです。
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