パッケージソフトの機能を「使いこなさない」人たち:失敗しない「外資系」パッケージソフトとの付き合い方(1/2 ページ)
外資系パッケージソフトの導入で失敗しないための方法を解説する本連載。本当はいろいろなことができるソフトなのに、一部の機能しか使っていない……。そんな状況に陥っていませんか。もちろん全ての機能を使うことが正しいわけではありませんが、その理由によっては大きな問題を引き起こしてしまうかもしれません。
「Excelっていろいろな関数が使えるらしいけど、結局Sum(合計)とAverage(平均)ぐらいしか使ってない……」
本当はさまざまなことができるソフトなのに、一部の機能しか使えていない――。読者の皆さんもそんな経験はないでしょうか。先進的で多機能なパッケージソフトウェアを導入したのに、その一部しか使いこなせず(使わず)、思うように効果が出なかった――。これも外資系パッケージソフトウェアの導入でよく聞く失敗例です。
もちろん、全ての機能を使う必要があるとは言いませんが、一部の機能しか使わない理由に問題があるケースも多々あります。今回は、IT運用の現場で必ず課題となる、サーバOSのパッチ適用を例に見てみましょう。
失敗事例7:「この機能だけ使って何が悪い?」
購入企業の担当A: ウチは『サーバに適用されたパッチが最新かどうか』が分かるまでが自動化できればいいんですよ。それが今一番困っているわけですから。貴社のソフトウェアで、パッチ適用まで自動化できることは分かりましたが、それでは運用担当としてたまったものではありません。サーバ再起動のタイミングなど、システム開発部署と綿密に計画を立てながら、1台1台適用しなくてはならないのです。
ソフトウェアベンダーB: お話は分かりますが、このソフトウェアはそういった一連のプロセスを自動化して効果が出るよう設計・開発されています。正直なところ、一部の機能だけを使っても、今回の投資に見合わないと思います。製品選定前に実施したアセスメントでも、適用状況の確認に比べて、適用作業に使う時間は10倍でした。効率化を目指すならば、必須だと思いますが……。
担当A: (こいつ、現場の苦労が分かってないな……)効果が高いことは十分承知しています。ただ、現状の仕組みでは無理だと言っているのです。私たちは、開発部門が出してきた手順に従って運用する必要があります。それをこちらだけの都合で変えることはできません。
ベンダーB: その手順が100%正しいかは分かりませんよ。開発部門は、自分たちが開発したシステムのことのみを考えて手順を作っています。しかし、貴部門はそういったシステムを何百も預かっていて、それが非効率な運用を招いている。このソフトウェアを使えば、その苦労から解放されます。開発部門を説得するのは一時の苦労ですし、私どもも最大限支援しますから、パッチ適用まで自動化できるように進めてみませんか?
担当A: (他部門の面倒事に首を突っ込みたくないし、目の前の課題が解決できればいいんだからさ……)そのように進めたいのはやまやまですが、私にその権限はないし、あそこは運用の言うことを聞かない連中ばかりです。そこまでおっしゃるのであれば、まず開発部門を説得してきてくださいよ。それがなければ、われわれもパッチ適用の自動化は考えられません。
こうなってしまっては、この議論は平行線です。このままプロジェクトが進んで、パッケージソフトウェア内のごく一部の機能しか実装されなかった場合、本来見込んだ成果が得られず投資は失敗と見なされるでしょう。
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