ロボットにも履歴書や出勤管理システムを 住友林業流、RPAロボ管理術(2/2 ページ)
情シス主導のRPA導入に成功し、成果も着々と上がっているところで突然、ロボットの開発を中断した住友林業の成田さん。なぜ、このタイミングでブレーキをかけたのか。
RPAはITの開発基盤になる
成田氏はRPAの可能性について、「ITシステムの開発基盤にもなりうる」と見ており、「世間ではユーザー部門主導で導入するケースもあるが、むしろIT部門が積極的にリードしてRPAを導入したほうがいい」と考えている。
企業では昨今、クラウドサービスの導入が進んでいるが、汎用的なクラウドサービスは自社の業務に最適化して導入するわけではないので、複数のクラウドサービスを活用する場合は、サービス間を取り持つ作業を人が行うことになる。
例えば、経費精算のクラウドサービスと会計システムを活用するようなケースでは、金額や項目の転記が必要になり、一連のプロセスの中には上司の承認も含まれる。その手間を効率化するために新たなITシステム開発すると膨大なコストがかかってしまうが、「間にRPAをかませれば、実に簡単にシステム化できる」というのが成田氏の考え。つまり、さまざまな業務アプリケーションでクラウドサービスをフルに活用する場合には、それらを連携する「ハブ」の役割をRPAで作成したロボットに担わせればいいという発想だ。
こうした場面では、情報システム部門が主役になれると成田さんは考えている。
「RPAをクラウドサービスのハブとして活用する場合は、どんなシステムを組み合わせて使えば利便性が高まるのかを考えればいい。このようなケースでRPAの役割を考えるのに適しているのは、社内のシステムに詳しく、セキュリティのことも分かっている情報システム部門だと思うのです」(成田さん)
業務現場の人たちを“作業”から解放し、本業に専念できるようにしたい――。成田さんとロボ・ラボメンバーのモチベーションの源泉はここにある。だからこそ「即効性」を出すための方法を考え抜いて試し続け、経験から得た知見は、他の導入検討企業に惜しみなく共有している。そんな成田さんのもとには今や、さまざまな企業が相談に訪れるという。
成田さんが今、関心を寄せているのは、若い働き手が減っている地方の中小企業へのRPA導入だ。「働き手を集めるのに苦労している企業こそ、RPAを導入すべきだと思うんです。そのために、ロボ・ラボの経験が生かせるのなら、どんどん情報を伝えていきたいですね」(成田さん)
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