それは「マジで価値ある」ことか?――ブレないテーマを見極めるコツ:「3か月」の使い方で人生は変わる(1/2 ページ)
“クラウド会計ソフト”に理解がなかった時代に「クラウド会計ソフト freee」をリリースした裏には、「絶対に価値がある」という強い確信があった。3カ月取り組むテーマで確実に“革新”を起こすために、問うべきこととは……。
この連載は
本連載は、freee創業者・代表取締役CEOの佐々木大輔著、書籍『「3か月」の使い方で人生は変わる Googleで学び、シェア1クラウド会計ソフトfreeeを生み出した「3か月ルール」』(日本実業出版社刊)から、一部を抜粋、編集しています。
「何かをつかめる、何かが変わる」そういう感触を得られるのが「3か月」という時間で、そこで「1つのテーマ」に取り組むことを繰り返すことで、誰でもイノベーションを起こせる可能性が開けると、本書で著者は説いています。
本連載では、そのエッセンスを、7回に渡って紹介します。
■書籍『「3か月」の使い方で人生は変わる』からエッセンスを紹介
- 第1回 成功体験は「3か月」でつくることができる
- 第2回 Googleの「3か月サイクル」
- 第3回 「freee」の開発も3か月がポイントだった
- 第4回 ワクワクしないと続かない
- 第5回 それは「マジで価値ある」ことか?
- 第6回 「理想ドリブン」で考える
- 第7回 世の中に「インパクト」を与えられるか
「その解決策は本当にベストか、価値があるのか?」
「その解決策は本当にベストか、価値があるのか?」――3カ月間取り組んでみたいと思うテーマやアイデアが浮かんだとき、自分にそう問いかけてみてほしい。この問いかけが強いテーマをつくる大きなきっかけになるからだ。
freeeという会社のメンバーの行動指針となる価値基準の1つに、「マジで価値ある」、通称「マジ価値」と呼んでいるものがある。自分たちがこれから生み出すアウトプット全てに対して、「本当は何が問題で、それに対するベストの解決策は何だろう?」と考えてみることを意味する。その解決策が「ユーザーにとって本質的な価値があること」なら、自分を信じてやり抜くということも意味する。
なぜ、「マジ価値」を会社の価値基準に定めているかというと、僕たち人間は、問題の本質が何なのか見えていないことがよくあるからだ。
僕たちが「クラウド会計ソフト freee」を開発する以前、会計ソフトは「いかに速く入力できるか」が争点だった。周りに「freee」という会計ソフトの話をしても、「今のままでいいんじゃないか」「もっと速く入力できるものがほしい」といわれるばかりだった。
それに、会計ソフト業界は30年間変わっていない業界だから、「クラウド会計ソフトを作る」と言うと、周りからは「いきなりは無謀だ」とか「既存の会計ソフトを補助するツールを作ったらどうか」と言われた。自分たちのアイデアが画期的でベストだと思いつつも、周りの声を聞くかぎり評価はいまいちだった。心が折れそうになることもあり、正直なところ不安もあった。
でも、僕たちの解決策は、「速く入力する」ことではない。そもそも「入力しないで済ませる」「入力を自動化する」というものだった。
もし、それらを実現できたら、「既存の会計ソフトと比べて50倍速く経理業務が完了する」というテスト結果も、僕たちは手にしていた。それは、「絶対に価値がある」という強い確信につながった。だから、周りに何と言われようが、そこはブレずに突っ走って開発することができたのだ。
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