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さまざまなデータを取得する
 Fig.6Fig.7を見るとわかるように,cfgmakerコマンドを実行して作成したcfgファイルで作られるHTMLファイルには,機器のトラフィック情報しか含んでいない。これだけでも便利ではあるが,できればsnmpdが吐き出すさまざまな情報をグラフ化したいところだ。

 MRTGは,cfgファイルの構成次第で,さまざまな情報をグラフ化することができる。極端な話,SNMPデータ以外のデータをグラフ化することもできるのだが,それらについては割愛し,今回は,snmpdが吐き出すCPUの負荷情報と空きメモリ容量の2つの情報を書き出す設定を説明する。

●MRTGではどのようなグラフを作成できるのか

 実際にcfgファイルの設定方法について説明するまえに,MRTGがグラフ化する動作をまとめておこう。Fig.6Fig.7を見るとわかるが,MRTGは,2つの数値を1つのグラフにまとめる機能をもつ。デフォルトのcfgファイルでは,トラフィック情報の受信データが緑色,送信データが青色で示されている(色は設定変更できる)。

 そして,データは,日にちごと,週ごと,月ごと,年ごとに集計され,全部で4つのグラフが作られる。

 すぐあとに説明するが,MRTGでは,SNMPエージェント内にある管理情報領域のオブジェクトのOIDを指定することで,特定のオブジェクトがもつ任意の値をグラフ化できる。しかし1つのグラフ上には,2つの数値を示すことしかできず,3つ以上の数値を1つのグラフにまとめることができないばかりか,1つの数値のみをグラフ化することもできない。あくまでも1つのグラフに表示できるのは,2つの数値のペアに限られる。

cfgファイルの構成
 それでは,cfgファイルの構成について説明する。cfgファイル内では,さまざまな設定ができるが,基本的には,次の4つの要素で構成される。
  • Target
     統計データの対象を指定する。
  • MaxBytes
     データがとりうる最大値を指定する。
  • Title
     Webページのタイトル(<TITLE>タグの内容)を指定する。
  • PageTop
     グラフの前に書き出される任意のHTMLテキスト

 これらの4つの要素が1組としてグループ化され,1つの統計情報(1つのHTMLファイル)が構成される。これらの4つの要素は必須であり,省略することはできない。情報をグループ化するためには,各オプションの後ろに“[統計情報名]”を付ける。“[]”内に指定された統計情報名が,作成されるHTMLファイル名にもなる。


SNMP機器の種類によっては,機器が正しく内部時間のカウンタ値を返さないために,さらにRouterUptimeの設定をしなければならないことがある。snmpdの場合,正しくカウンタ値を返すので,RouterUptimeを設定する必要はない。

 たとえばcfgファイルが,List 3のようになっていたとする。これは,IPアドレス192.168.0.33のホストに対してcfgmakerコマンドを実行して得たcfgファイルだ。

 List 3の設定の意味は,次のようになる。

  • 統計情報名
     ここでは,各項目に対し,“[192.168.0.33_2]”という指定がされている。よって,統計情報名は192.168.0.33_2となり,mrtgコマンドを実行したときには,192.168.0.33_2.htmlというファイル名のHTMLファイルが(WorkDirで指定したディレクトリに)作成されることになる。

  • 統計対象
     Targetでは192.168.0.33のIPアドレスをもつSNMPエージェントのデータを取得している。ここでは取得すべきデータの値も設定しているのだが,その意味はすぐあとに説明する。

  • 最大値
     MaxBytesにて1250000が設定されており,取得するデータがとりうる最大値は1250000に設定されている。 この最大値は,パーセンテージを計算するときに使われる。

  • タイトル
     Titleには,作成されるWebページのタイトル(<TITLE>タグの内容)が示されている。

  • ページ
     PageTop以下の指定は,Webページの先頭に書き出されるHTMLテキスト。Fig.6Fig.7と照らし合わせてみるとわかるが,これはただのHTML文字列でしかない。

 List 3cfgファイルに,TargetMaxBytesTitlePageTopの各設定を変更したり,さらに追加したりすれば,MRTGを使ってさまざまなデータをグラフ化できるようになる。

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