クッキーはなぜ利用されるか

 ほとんどのブラウザは,始めからクッキーを受け入れる設定になっている。ブラウザの設定を開き,「クッキーを受け入れる際,常に警告させる」といった設定に変更し,普段通りにいろいろなホームページを閲覧してみるとよいだろう(写真1)。驚くほどの回数の警告(クッキーを受け入れるか確認する)が出るはずだ。それほどクッキーはさまざまなWebサイトで利用されているわけだ。

画面
写真1■Internet Explorer6からはクッキー関連の設定が強化されている。「ツール」−「インターネットオプション」から「プライバシー」タブを選択すると,スライダを調整することでクッキーをどこまで許可するか設定できる。この画面の「詳細設定」ボタンを押すと「プライバシー設定の詳細」画面が起動し,クッキーが利用されたときにダイアログを表示させるように設定できる

 なぜこのようなクッキーファイルが自分のパソコンに存在するのだろうか。分かりやすい例をあげれば,ショッピングサイトなどで利用されている「ショッピングカート」がある。買い物をするには,商品の横にある「買い物カゴに入れる」といったボタンをクリックすることで,そのユーザーの必要な商品,数量をカウントさせる仕組みだ。もちろん買い物をする商品や個数は,個々のユーザーによって異なってくるために,この情報をクッキーファイルとして受け渡すわけだ。ショッピングサイトで「ブラウザのクッキーをOnにしてください」といった注意書きを見ることがあるだろう。

 つまりWebサイトを運営している立場から考えてみれば,クッキーは非常に便利な道具となる。クッキーを使用することで「どのページが人気があるのか」,「同じユーザーが何回訪問したか」など,Webページを作るうえで参考になるアクセス情報を,詳細に知ることができるからだ。また,バナー広告などを出す場合にも,そのユーザーがどういったものに興味があるか,どういったものが好きなのかをクッキーを利用して事前に察知していれば,そのユーザーに合わせた広告を表示することが可能になるわけだ。もちろん,あなたが見ているこのページにも,クッキーは利用されているのだ。

 しかし,クッキーを利用した情報収集はプライバシーの面から考えるとあまり好ましいものではない。本誌ではクッキーに関しての「プライバシーへの考え方」を明示しているが,そうでないWebサイトであれば,どのような情報収集に使用されるかまったく分からない。これはユーザーにとっても不安であろう。そこで,プライバシーに対するポリシーが明示されていないWebサイトから自分の身を守るためにも,クッキーについて詳しく解説していこう。

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