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Chapter 4:データストア層の構築

head1.gif 4.1 管理ツールから見たCOM+

 まずは,COM+がどのような形でWindows 2000に実装されているのかを,管理面から見てゆくことにしよう。

 Windows 2000では,「コンポーネントサービス」と呼ばれる管理ツールでCOM+を管理する。[コンポーネントサービス]管理ツールを起動するには,Windows 2000の[コントロールパネル]−[管理ツール]−[コンポーネントサービス]をダブルクリックすればよい(Fig.4-1Fig.4-2)。

Fig.4-1 [コンポーネントサービス]管理ツールの起動
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Fig.4-2 [コンポーネントサービス]管理ツール
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 Fig.4-2に示した[コンポーネントサービス]管理ツールで管理される領域のことを,「COM+カタログ」と呼ぶ。[コンポーネントサービス]管理ツールの[コンピュータ]−[コンピュータ名](ローカルコンピュータの場合は[マイコンピュータ])−[COM+アプリケーション]の配下には,そのコンピュータに登録され,COM+の管理下にあるCOMコンポーネントの一覧が表示される。COM+では,COMコンポーネントをいくつか集めて管理する。その管理単位を「COM+アプリケーション」と呼ぶ。Windows 2000をインストールした直後の状態でも,すでにシステムで利用されるCOM+アプリケーションがいくつか登録されている(Fig.4-3)。

Fig.4-3 システムインストール時に登録されているCOM+アプリケーション
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One Point!システムで利用されるCOM+アプリケーションを削除することはできない。

 それぞれのCOM+アプリケーションの配下には,そのCOM+アプリケーションを構成するCOMコンポーネントが含まれている。Windows 2000では「COM+コンポーネント」と呼ばれるが,その実態は従来の「COMコンポーネント」と変わらない。一般的にCOM+で利用することを想定して実装されているCOMコンポーネントのことを,特に「COM+コンポーネント」と呼ぶ。それぞれのCOM+アプリケーションや,それを構成するCOMコンポーネントをどのように動作させるのかは,プロパティページを用いて管理者が設定できる(Fig.4-4Fig.4-5)。

Fig.4-4 COM+アプリケーションのプロパティページ
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Fig.4-5 COMコンポーネントのプロパティページ
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 管理者が設定できるプロパティとしては,セキュリティ情報,トランザクション情報,実体化を許すCOMオブジェクトの上限数,非同期通信(Queuedコンポーネント)の有無,COMコンポーネントに渡したい初期化文字列(コンストラクタ文字列)などがある。これらのプロパティは,COMコンポーネント側からは,「コンテキスト」と呼ばれる情報として参照することができる(詳細は次章で説明する)。

 このように,COM+では,COMコンポーネントやCOM+アプリケーションの動作を,開発者ではなく管理者がプロパティで変更できるようになっている。そのため,開発者は動作環境やサーバーの設定を特定の条件に強いる必要がなくなり,柔軟なシステムを構成することができる。

 しかし,プロパティページの情報を利用するか利用しないかは,COMコンポーネントの実装に依存する。つまり,プロパティページで設定された情報をCOMコンポーネントが読み込んで適切に処理する実装になっていなければ,その設定は無視される。よって,COMコンポーネントを汎用的に動作させるためにも,開発者は,できる限りプロパティページで設定された情報を読み取って利用するようなCOMコンポーネントを実装しなければならない。想定される動作環境やサーバーの条件を普遍的なものとしてハードコーディングしてしまうと,柔軟性の低いCOMコンポーネントになってしまうので,注意してほしい。

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