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信頼性の高いシステムアーキテクチャ
見出し 堅牢なシステム保護機能

 Windows 2000では,システムファイルの保護にも力が入れられている。OSに関連するシステムファイルは,System File Protectionという機構によって守られており,原則的に次の4つの場合に限って更新可能となる。

  • OSをセットアップするとき
  • Service Packを適用するとき
  • 修正モジュール(HotFix)を適用するとき
  • Windows Updateを実行したとき

 つまり,アプリケーションからシステムファイルを上書きして変更することは,原則的に不可能となるのである。さらに,アプリケーションのインストール,アンインストールを厳密にチェックするWindows Installerサービスによって,システムの安定性を常に監視している。また,アプリケーションを起動するたびに,そのアプリケーションが正しくインストールされているかどうかも確認される。もし,何らかの破損を検出したときには,起動前にそのアプリケーションを自動的に修復する(この機能に対応したアプリケーションを「自然治癒力のあるアプリケーション」と呼ぶ)。

 さらに, アプリケーションに付随するコンポーネント(ファイル,レジストリキーおよびそのほかのリソースの集合)は,アプリケーションごとに独立して管理されるため,2つのアプリケーションが同じDLLファイルなどを共有することがあっても,実際にはアプリケーションそれぞれが用意した同じ名前のファイルが2個存在することになる(3つ以上のアプリケーションで共有する場合も同様)。このため,新しいアプリケーションをインストールしたために,共有ファイルが古いバージョンまたは異なる言語のファイルに置き換えられてしまうといった心配はまったくない。また,アプリケーションの1つがコンピュータから削除された場合にも,そのアプリケーションに付随するファイルだけが削除されるので,ほかのアプリケーションにはまったく影響が及ばない。したがって,さまざまなアプリケーションを次々とインストールまたはアンインストールしていっても,システムの安定性が損われる危険性はかなり減少している。

Fig.16 アプリケーションの追加と削除

fig16.gif Windows 2000では,[アプリケーションの追加と削除]の画面が大きく変更されている。これは,Windows Installerと呼ばれる新しいアーキテクチャに基づいて,アプリケーションを管理するための変更である。インストールされたアプリケーションの情報などが確認しやすくなったほか,Windows 2000 Serverのポリシー機構などと連携させて,クライアントにアプリケーションを割り当てたりインストールさせたりすることができるようになっている。

 さらに,コンピュータの安定度に関連してWindows 2000で改良された点として,「再起動回数の低減」が挙げられる。Windows NT 4.0では,新たにネットワークプロトコルやデバイスを追加すると,再起動を求められていた(このように再起動を必要とする設定項目が,実に75種類以上もあった)。Windows 2000では,システム設定に変化があると,サービスを動的に停止したり再起動したりするアーキテクチャを採用しているので,再起動の必要な設定項目を7個以下にまで低減している。再起動が必要となる具体的な項目は特に公表されていないが,筆者が試用した限りではハードウェアやネットワークに関連する大きな変更があったときに再起動を必要とするようだ。

 企業などでは,コンピュータを再起動することによって生ずるユーザーの手間と生産性の低下が大きな問題になりかねない。再起動回数の低減は,TCO(Total Cost of Ownership:コンピュータシステムの維持管理に必要な全コストの総計)の削減に大きく役立つことになるわけだ。個人ユーザーにとっても,再起動回数が少なくなれば,より使いやすくなることはいうまでもない。

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