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head1.gif ダイナミックディスク

 「ダイナミックディスク」とは,Windows 2000から新しく導入された概念である。DOS,Windows 95,Windows 98,Windows NTのいずれにおいても,ディスクシステムの構成を変更した場合には,原則的に必ず再起動が必要であった。このようなファイルシステムをWindows 2000では「ベーシックディスク」と呼ぶ。これに対してダイナミックディスクでは,コンピュータの再起動を伴うことなく,ディスクにボリュームを作成したり削除したりすることができる。

 ダイナミックディスクの設定も含め,Windows 2000でディスクを管理するには,[コンピュータの管理]ツールから[記憶域]−[ディスクの管理]を選択する。Fig.2に示すツールの画面を見てもわかるとおり,この管理ツールはWindows NTの[ディスクアドミニストレータ]とほぼ同じ操作性となっている。フォーマットやドライブ文字の割り当てといった基本的な操作は,ベーシックディスクでもダイナミックディスクでも変わらない(Windows NTの[ディスクアドミニストレータ]と同様に操作すればよい)。

Fig.2 [ディスクの管理]
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 ただし,[ディスクの管理]はAdministratorの権限を所持していなければ利用できない。もし,Administratorの権限を所持していないログオンアカウントで[ディスクの管理]を実行しようとしても,アクセスが拒否されてしまう。この場合は,Administratorでログオンし直すか,もしあなたがAdministratorであれば,コマンドプロンプトから次のように実行すればよい。パスワードの入力を求められたら,指示に従ってAdministratorのパスワードを入力することで,Administratorとして[ディスクの管理]を実行できる(そのほかのタスクは元のユーザーアカウントのままである)。

   runas /usr:Administrator "mmc diskmgmt.msc"

 Windows 2000をインストールした直後は,すべてのディスクがベーシックディスクとなっている。もしベーシックディスクからダイナミックディスクに変更したければ,ディスクを選択して右クリックすると表示されるメニューから,あるいは[操作]メニューの[すべてのタスク]から,[ダイナミックディスクにアップグレード]を選択し,指示に従って操作すればよい。ただし,いったんダイナミックディスクに変更してしまうと,ベーシックディスクに復元することはできないので注意してほしい。

Fig.3 ダイナミックディスクへのアップグレード(クリックして画像を拡大可能)
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Fig.4 ダイナミックディスクへのアップグレードが完了したところ
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 Windows 2000では,耐障害性(フォールトトレランス)の高い次のようなボリュームを構成する場合,ダイナミックディスクを使用しなければならない。

  • 複数のディスクにまたがるボリューム
  • ディスクのミラーリング
  • RAID-5

 ただし,Windows NT 4.0でディスクミラーリングを構成した状態でWindows 2000にアップグレードした場合には,その構成のまま継続使用することはできる。もっとも,Windows NT 4.0上で構成ずみのミラーリング設定をWindows 2000からいったん解除してしまうと,再びミラーリング構成をとるには,やはりダイナミックディスクに変換しなければならない。

 ダイナミックディスク上で新規ボリュームを作成(右クリックすると表示されるメニューまたは[操作]メニューから実行)すると,[ボリュームの作成ウィザード]が起動される。[次へ]ボタンを押すと,次のように表示される。

Fig.5 [ボリュームの作成ウィザード]における[ボリュームの種類の選択]画面
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 この画面に表示されているのが,ダイナミックディスクで作成できるボリュームの種類である。

 [シンプルボリューム]とは,1つのディスクのなかにある1つのボリュームを意味しており,ベーシックディスクとほぼ同様のものと考えてよい。シンプルボリューム以外の4種類は,ベーシックディスクでは利用できない。

 [スパンボリューム]とは,複数のディスク上のボリュームを1つのボリュームとして扱うための機能である。たとえば,1Gバイトと2Gバイトのディスクを併せて3Gバイトのボリュームとして扱うことができるようになる。

 [ストライプボリューム]は,複数のディスクに書き込み処理を分散させることで,パフォーマンスの向上を図る構成である。ただし,スパンボリュームやストライプボリュームは,ディスクセットを構成する1台のディスクが壊れただけでも,ボリューム全体が失われてしまうことになるので,耐障害性は低い。

 [ミラーボリューム]は,複数のディスク上に存在するボリュームに,まったく同じデータを書き込む構成である。この構成を採用すれば,万一ディスクのどれかに障害が発生したとしても,ほかのディスクに完全なデータが保存されているため,データが失われることはない。上記した構成のなかでは,最も耐障害性の高いボリュームということになる。ただし,当然ながら,「本来書き込みたいデータ量×ミラーセットの台数」に相当するディスク容量を消費することになる。

 [RAID-5ボリューム]は,ストライプボリュームと同様に複数のディスクにデータを書き込んだうえで,さらに別のディスクに各ディスク上のデータから作成したパリティ情報を保存する方式である。万一ストライプを構成するディスクの1台が破損したとしても,パリティに基づいて情報を復元できる。なお,RAID-5ボリュームでは,その性質上3台以上のディスクが必要となるが,本稿執筆の試験に用いたコンピュータにはダイナミックディスクが2つしか用意されていないので,RAID-5ボリュームの選択肢はグレーアウトされている。

 必要なボリュームを選択したあと,指示に従って実行すると,ボリュームが作成される。Fig.6は,ミラーボリュームを構成したところである。

Fig.6 ミラーボリュームを作成したところ
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