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Deployment of Windows 2000 member server 1...
ディスククォータサービス

 「待望の機能がついに搭載された!」と感じているユーザーも多いだろう。

 ディスククォータサービスとは,Windows 2000が稼動しているコンピュータ上で,ディスクの使用領域をユーザーごとに制限するサービスである。従来のWindows NTの頃から,社内のSEやお客様から「こんなこともできないの?(だからNTってダメなんだ……)」といわれ続けてきたが,ようやくUNIXやNetWareといった先行のネットワークOSと比肩するところまでたどりついたといってよいだろう。

 クォータサービスの設定は,非常に簡単である。

 [マイコンピュータ]や[エクスプローラ]でドライブのプロパティを表示し,[クォータ]パネルを開いて次の情報を設定すればよい。

Fig.1 ディスククォータの設定
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  • [クォータ管理を有効にする]:オンに設定
  • [クォータ制限を超過したユーザーのディスク割り当てを拒否する]:オンに設定
  • [ディスク領域を制限する]:デフォルトの制限値を設定
  • [警告レベルの設定]:ユーザーに警告メッセージを通知する制限値を設定

 通常は,上記のパラメータを設定するだけでよい。制限にかかわる情報をイベントログに記録したい場合は,残る2つの項目をオンにする。これで[OK]ボタンを押せば,自動的にディスククォータサービスが起動され,以後,そのドライブにユーザーがデータを書き込む際には,使用しているディスク領域のサイズがチェックされるようになる。

注意 ディスククォータによる制限は,ボリュームに対してのみ課すことができる。そのため,たとえば任意のフォルダに対する使用量をユーザーごとに制限することはできない。このような制限を課したい場合には,後述するマウントポイントを組み合わせる。つまり,制限を課したいフォルダに任意のボリュームをマウントし,マウントされたボリュームのプロパティを使ってディスクの使用量を制御するのである。共有フォルダの一部に容量制限を課したい場合は,同じようにして任意のボリュームに制限をかけ,DFSを使ってフォルダツリーを構成する方法もあるだろう。

 ここで設定した制限値は,原則として管理者(Administratorsグループに属するユーザー)以外にすべて適用される。一般的にはこの設定のまま運用しても問題はないはずだが,特定のユーザーの制限値や警告レベルを変更したければ,Fig.1で[クォータエントリ]ボタンを押し,各ユーザーごと個別に使用できるディスク容量を設定する。

Fig.2 [クォータエントリ]ツール(クリックで拡大可能)
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 ユーザーごとに制限値を設定するには,メニューから[クォータ]−[新規クォータエントリ]を選択し,制限を適用したいユーザーを追加して[OK]ボタンを押す。すると,[新しいクォータエントリの追加]ダイアログボックスが表示され,ユーザーごとの制限値や警告値を指定することができる。

Fig.3 [新しいクォータエントリの追加]ダイアログボックス
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 いったん設定した制限値や警告値は,該当するユーザーをダブルクリックすることで変更することもできる。

Fig.4 ディスククォータにおける制限値や警告値の変更
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 [クォータエントリ]ツールを起動するとわかるように,Administratorsグループに属するユーザーには,[クォータ]パネルで設定した制限は適用されない。つまり,ユーザーをAdministratorsグループに所属させると,ディスククォータでディスクの使用領域を制限できなくなるので注意してほしい。

 なお,デフォルトでは,Windows 2000のシステムそのものを指すユーザーアカウントであるNT Authority\SYSTEMにも,[クォータ]パネルで設定した制限が適用される。SYSTEMアカウントで大量のファイルを作成する可能性があれば,このアカウントの制限も緩和するか,無制限にしておいたほうがよいだろう。

注意 ディスククォータによる制限対象は,ユーザーアカウントである。残念ながら,グループアカウントに対して制限を課すことはできない。そのため,特定部署に所属するユーザーのディスク使用量を制限したければ,その部署のユーザーを静的に登録しなければならない。この問題については,すぐあとで説明する。

 なお,ディスククォータで制限値を設定すると,制限を受けたユーザーからはドライブの容量自体が制限値で表示されるようになる。

Fig.5 制限されたユーザーからドライブを参照したところ
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 ディスククォータサービスは,エンドユーザーがサーバー上にやたらとファイルを格納してすぐにディスクを食い潰してしまう,といった問題を抱えている管理者にとっては非常に有益な機能である。しかし,現状のディスククォータサービスは,クォータエントリファイルの所有者で管理されているため,グループ単位で設定または管理することができないという問題を抱えている。この問題は,実運用において次のような障害を生じさせる。

  • 自分の所有するファイルをほかのユーザーが更新してファイルサイズが増えたときにも,自分のディスクの使用領域が減少する
     
  • ほかのユーザーが所有するファイルを編集しているときにディスククォータの制限値を超えてファイルサイズが増大した場合,自分の所有するファイルを削除しても,そのファイルを保存することはできない

 実際の運用にあたっては,上記の2点を考慮していただきたい。

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