生産品目は主力のコードレス電話を筆頭に、CBトランシーバーやGMRSといった無線通信機器のほか、クリスタル振動子などの電子部品も生産。そして2005年に液晶テレビ専用の製造ラインを新設した。
友利電電子(シンセン)有限公司の董事長(取締役)でシンセン工場の総責任者である松岡好則氏は「電話機や無線機器の製造に使う既存設備やラインを活用できたことが、他社に真似のできない低コスト生産を可能にした。北米における電話機トップブランドとして長年培ってきた生産技術で、品質には絶対の自信を持っている」と語る。
ユニデンが確立した生産体制で市場の評価が高いものに「手作業と自動化の組み合わせによる合理的な生産体制」がある。
「機械にすべて頼ってしまうことで発生するロスというものがある。たとえば、小ロットの製品の組み立てでは、自動化を導入するよりベルトコンベアやセル方式による作業で人の手で組み立てた方が速くて確実というケースは多い。液晶テレビも、この手作業と自動化の絶妙なバランスのもとに生産されている」(松岡氏)
ユニデンの液晶テレビは、液晶パネルモジュールこそ外部調達だがそのまま使うのではなく、可能な範囲で手を加えている。また、電気回路の設計は自社で行っており、スケーラに関わるプログラマブルICなど一部の電子部品は社内で開発。映像処理を担うデバイスを制御するソフトウェアも自社開発することで、日本の大手テレビメーカーにも負けない高画質を実現しているのだ。
日本の優秀な頭脳を集結させて開発した構成部品は、厳格な品質管理のもとに、ここ中国シンセン工場で手先の器用な中国人女性ワーカーの手によって組み立てられていく。「正確な生産対応のほか、『42V型を何月までに何台必要』といった急なオーダーにも対応できるフレキシビリティさもこの工場の自慢」と松岡氏。
その柔軟な生産体制を支えているのが、優秀な中国人ワーカーだ。
ユニデンは徹底した品質管理と現地スタッフの育成に力を入れており、特にワーカーたちの指導や教育、管理には力を注いでいる。シンセン工場では約6000人の従業員が働いており、そのほとんどが現地採用の中国人、そして9割が平均年齢20歳前後の女性ワーカーだ。
「賃金だけでなく食事の提供、寮の完備など福利厚生面の充実も図っている。また、働く環境の整備にも力を入れており、特に中国人リーダーの育成を積極的に行っている。中国の一人っ子政策で、ワーカーも心細いことがある。しっかりしたリーダーがいることで、そのような不安も払拭できる」(松岡氏)
工場取材を体験し、実際に中国人ワーカーたちの仕事ぶりを見ていると、その真剣さ、丁寧さにあらためて感心させられた。そしてユニデンの液晶テレビにみられる“製品の作りの良さ”は、この自社工場が支えているんだということを実感した。
自社で開発し、自社で生産し、自社で販売する。すべてをトータルで手がけることにより、ユーザーに良い製品を安価に提供できる。一見シンプルで簡単なことのようだか、これは優秀な自社工場を持つユニデンにしかできなかったことなのだろう。
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提供:ユニデン株式会社
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2007年9月30日