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» 2013年03月15日 10時00分 UPDATE

本田雅一の視点:“画づくり”の概念を覆したICC、「ICC PURIOS」でいつもの映像はどう変わる? (1/2)

ついにシャープの「ICC PURIOS」が発売された。一昨年の「CEATEC JAPAN 2011」で来場者を驚かせた映像はそのままに、BD映画やデジタル放送に合わせ込んだ“普段使い”の映像モードも用意している。AV評論家・本田雅一氏が製品版を徹底的にチェックした。

[本田雅一,PR/ITmedia]
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 一昨年の「CEATEC JAPAN 2011」で初めて一般公開されて以来、フルHDを超える解像度のパネルで、より高画質を実現できる技術として、I3(アイキューブド)研究所の「 ICC」 (Integrated Cognitive Creation : 統合脳内クリエーション)という技術が注目されていた。シャープと共同開発した試作機は、一目見れば「えっ? 本当に?」と思える“現実感”あふれる映像で、”統合脳内クリエーション”という名前に多少の戸惑いを持っていた筆者の心に突き刺さり、徐々に驚きが沸き上がってきたことを思い出す。

ts_purios01.jpg 「ICC PURIOS」(アイシーシー ピュリオス)

 このICCを搭載したテレビが、シャープから発表された「ICC PURIOS」(アイシーシー ピュリオス)である。これまでは、アイキューブド研究所が説明してきた「実際にその光景を見ているような映像空間を作り出す」というメッセージが一人歩きしていた面もあるが、商品として市場に出た以上、その画面に映すのはデモ用コンテンツだけでない。Blu-ray Disc、あるいはフルHDにも満たない地上デジタル放送も見られることになる。そのとき、ICC PURIOSはどのような画質を見せるのか。実際の製品を検証しながら、ICC PURIOSの高画質の秘密に近付いてみたい。

現実の風景を窓から見通すような風合い

 アイキューブド研究所自身の説明を繰り返すようで恐縮だが、ICC PURIOSがどんな画質を実現しているか? と問われれば、やはり”現実の風景を窓から見ているよう”という言葉が自然に口から出てくる。シャープ製のクアッド・フルHD(いわゆる4K)パネルに映し出される映像は、不思議なほどの立体感、実在感をもって頭の中に飛び込み、遠景であればカメラの被写界深度に入っていないはずの映像までフォーカスが当たったように、そこに被写体が持つ情報が感じられる。まるで実際の風景を前に、視線をずらしたかのように、だ。

ts_purios03.jpg ”現実の風景を窓から見ているよう”という言葉が自然に口から出てくる

 まず一般的なハイビジョンカメラで撮影したベースバンド映像(非圧縮の映像信号)で、近景、中景、遠景などを、60インチの4K液晶パネルに映し出したが、先鋭感を感じさせるためのエッジ強調や、ハイライトを伸ばしてコントラストを強調。先鋭感が増したように”見せる”といった意図は感じられず、”記憶の中にある日本の風景”を見ているようだ。

 ベースバンド映像から放送の映像(当然、圧縮によるMPEGノイズが含まれている)に切り替えても、ICC独特のキレの良さや奥行き感、実在感はキッチリと引き出される。より良い映像ソースの方が高画質なのは当然だが、地上デジタル放送レベルでも、しっかり良さが引き出されている。

 ”画質”とは、読んで字の如く”画の質”だ。質感とはスペックだけで決まるものではなく、”観る人がどう感じるか”という感性の要素が大きい。高画質か否か? といわれれば、誰でも高画質と答えるだろう。

ts_purios020.jpgts_purios021.jpg アルミ製のフレームは、映像に集中できるようにつや消しブラックとし、ヘアライン加工を施した。プレミアムモデルならではの高級感を持つ

その実力の高さは”映像処理”だけではない

 実際にICCで何が行われているのかは語られていないが、1つはっきりしているのは、「ICCのLSIを組み込むだけで、ここまでの高画質を実現できるわけではない」ということだ。この点については、シャープ、アイキューブド研究所が口をそろえている。ということで、実際の商品になったICC PURIOSで真っ先に試してみたかったのが、”ICCを通らない”状態での画質が、どのようなものかの確認である。

 まず、映像モードを「フォト」に設定する。本来は写真表示用であるが、フォトモードに設定することでICCの処理をバイパスし、ICC PURIOSに使われている液晶パネルの素性が見えてくる。ICCを画家に例えるなら、シャープの作った専用液晶パネルはキャンバスだ。まずはそのキャンバス、素材としての実力を確認したい。

 結果、ICCを通していた時のように、シャッキリとした解像感は失われ、全体に情報量が減って見えた。シャープ技術陣によると、リニアフィルターで引き延ばしただけに近い状態とのこと。もともと情報量の多いデジタル一眼レフカメラの写真などは美しく表示できるが、動画に合わせたチューニングは行われていないため、当然といえば当然だろう。

ts_purios022.jpgts_purios023.jpg 実は内蔵スピーカーも「ICC PURIOS」の大きなポイント。シルクドームツィーターの採用に加え、2つのウーファーを向かい合わせに配置した「DuoBass」が不要な振動を互いに打ち消し、共振を抑えながらクリアな中高音とパワフルな低音を実現している。音質チューニングを担当したのは、著名アーティストの音楽制作に数多く携わってきた「MIXER'S LAB」(ミキサーズラボ)だ

 しかし、一方でそのリニアリティーに高さに驚かされた。ここでいうリニアリティーとは、明暗の階調と色の変化の両方である。また画面全体で、画質(色再現やコントラスト、明るさなどあらゆる点で)が均質なことも、一目見て分かるほどに素晴らしい。

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提供:シャープ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia LifeStyle 編集部/掲載内容有効期限:2013年3月31日