LifeStyle特別対談:第1回「DLPの本質」本田: ところで、DLPのすごさと言えばやはり、MEMSという言葉が生まれる前から、半導体プロセスを用いてメカを創り出した事でしょうね。どう考えてもシリコンウェハの上でミラーが動くというのは“変”です(笑)。あまり常識に当てはめて考えると、何やら怪しい技術に思えてしまう。ところが、実際には時分割で階調表現できるほど高速に動きつつ、半永久的な動作が可能なんですよね。そして実際に出てくる絵はコントラストが非常に高い。 麻倉: 実は私は一番最初にDMD素子を開発したTexas Instruments(TI)のホーンヘック博士にダラス本社でインタビューしたことがあります。後から開発物語を聞くと、理路整然と科学的な思考でまっすぐ完成へと近づく話ばかりですが、実際には試行錯誤で面白い話が転がっています。 例えば最初は、DMD素子をレーザープリンタに使おうと思ったそうですよ。80年代に作った飛行機のチケットを発券する装置に使われたそうです。しかしそこで「もっと強い光を当てればプロジェクターになるかもしれない」と考えた。ところがそこからは苦労の連続で、一時は開発撤退寸前にまで追い込まれた。そこで生まれたのが、時分割による階調表現のアイデアです。ミラーのオン/オフが高速な事を利用して、デジタル的に時分割制御して階調を出す。つまり途中の階調を位置づけで表現するのではなく、床と天井の二値しか持たない、つまり0か1かだけで階調を表現するというデジタル駆動にしたんです。この転換が、DLPが生まれた決定的なターニングポイントでした。 本田: DLPは色の安定性がよく個体間の絵の違いも最小限にとどまります。ユニフォミティが高い(色むらが発生しにくい)ため、非常に安心感のある絵が出てきますね。そしてどのメーカーの製品でもバラツキが少ない。これらはデジタル制御だからこその特徴だと思います。そうした事もあって、液晶プロジェクターが先行していたデータプロジェクターの分野にもDLPは比較的早期から投入され、それも開発の容易さからか意外なベンダーからも製品が投入されるようになりました。今ではPCベンダーがプロジェクターをラインアップするのは当然ですけどね。 麻倉: データ用は1997年に事務用品メーカーのプラスが発売したのが最初でしょう。プラスはOHPを商品として持っていたため、その置き換えとしてDLPプロジェクターを開発しました。とはいえ、まだまだホーム用として画質改善の余地はたくさんありましたけどね。TIのDMD開発担当者に我が家に来てもらい、バルコの三管式プロジェクターの絵を見せながら“Mattari(マッタリ)”という言葉を彼らに教え込んだのを思い出します。Mattari mattarer mattarest の三段活用なども教えました。実際、その後の画質向上は目覚ましいものがありましたから、やはり元々のポテンシャルが高かったのでしょう。 LifeStyle特別対談・第1回「DLPの本質」 読者アンケート実施中
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提供:ITmedia +D 編集部 東芝ハイビジョンDLPの世界に飛び込める1台 日本ヒューレット・パッカード機能や使い勝手に妥協しないウルトラモバイル プラスビジョン進化したモバイル性能に加えカラー再現力が大幅に向上。PLUSデジタルプロジェクタ「V-339」 ベンキュージャパンPCモニタの代替として気軽に使いたいハイコストパフォーマンスDLP機 三菱電機徹底した高画質へのこだわり デル1.09キロのボディに安心機能/保証が満載 NECビューテクノロジー小型軽量ボディで高輝度3000ルーメンを実現 カシオプレゼン作業のすべてを“スピーディ”に |