Mobile:FEATURE 2002年6月28日 03:00 PM 更新

徹底比較
携帯電話のカメラはどこまで“使える”か(3/3)


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画像サイズとメールによる送信

 カメラ内蔵携帯電話の画質比較が困難なのは、機種によって撮影できる画像サイズが異なる点にある。また、外部記録メディアを持たない機種では撮影した画像をメールでPCに送って画質をチェックすることになるのだが、添付ファイルとして送れるファイルサイズに制限があり、もっとも高画質なモードで撮影してもそれが送れないという現象も発生する。これは困る。

 ここでは今回のテストで行った撮影してメールで送るという一連の流れについて検証してみよう。

 ドコモのSH251iは3つの画像サイズで撮影できる。120×120ピクセルのiショット(S)と288×352ピクセル(CIFサイズ)のiショット(L)、そして120×160ピクセルの待ち受け画面だ。この中でメールとして送れるのは前者2つのみという仕様。メールで送れる画像とそうでない画像ができるのは好ましくない。

 メールはいったん専用のサーバへ送られ、そのサーバから受信者(PCであれ携帯電話であれ)へ送られるという仕組みになっている。この方式で困るのは、サーバのアドレスで届くため、受信者には送信者のメールアドレスでは届かないということ。このため「返信できない」のだ(5月28日の記事参照)。送信者の電話番号は表示されるがメールアドレスは表示されない。署名にメールアドレスが入っていない限り、返信できないのだ。

 auのA3012CAは、携帯電話用の120×160ピクセルとPC用のVGAサイズのどちらかで撮影することができる。PC用の場合には横長の画像で撮影できるのがユニーク。用途をはっきりと分けていてシンプルな上、どちらも添付ファイルとして送信できる。VGAサイズ時はExif形式に準拠しており、カメラタイプや撮影日時が記録される(ただし、シャッタースピードやISO感度などの細かい撮影情報は記述されない)。

 SDカードスロットを備えるJ-SH51はユニークなアプローチを取っている。カメラに「モバイルモード」と「デジタルカメラモード」の2種類があり、前者は120×160ピクセルの画像サイズでメール添付できる。後者は640×480ピクセルのVGAサイズでSDカードが役に立つ。メール添付で送ることはできないが、画像ファイルをSDカードに書き込むので、SDカードを通してPCへ移すという使い方になっているのだ。「デジタルカメラモード」時はSDカードにDCF規格に準拠した形式で画像が格納される。

 J-N05はやや厄介だ。撮影画質にはノーマル/ファイン/スーパーファインの3種類がある。J-フォンの写メールは6Kバイト以上のファイルは添付ファイルにできない仕様なのだが、メール送信を意識した「通常撮影」に設定した場合でも、スーパーファインでは、まず容量オーバーで送れない。ファインは144×176ピクセルのQCIFサイズだが、画像によって6Kバイトを超えたり超えなかったりする。超えた場合は編集してトリミングなどを施さなければならない。これは極めて使いづらいといっていいだろう。

 たいていの機種では画像のリストから、あるいは画像を表示した状態で、その画像をメールで送ることができる。撮影直後に送るのはどの端末でもできるが、いったん撮影して保存した画像を送信するときの手順には差があるのだ。画像メールの送信をよく行う人はこのあたりもチェックしたい。

 J-T51の場合、選択肢は多彩だ。画像サイズはQCIFかCIFか、画像形式はJPEGかPNGかを選べる。さらにQCIFを選ぶと、さらに細かく待ち受け用、着信画像用、アドレス帳に貼り付ける顔写真用など6種類から大きさを選べるのだ。多少ややこしいが、QCIFは自分の機種で使うため、CIFは相手に送るためと用途がはっきりしていていい。

カメラとしての使い勝手はどうか

 携帯電話の内蔵カメラは、必要な時にとっさに撮影できる機動力に優れている。そのためユーザーインタフェースが重要になる。

 望ましいのは独立したカメラボタンがあってすぐにカメラモードにできることだ。わざわざカメラ付端末を買うのだから、カメラ機能はすぐ呼び出せたほうが使いやすい。

 SH251iだけは専用のカメラボタンを持っている。撮影時の設定メニューもシンプルで、サイズ選択さえすればあとはシャッターを押すだけだ。カメラ付ケータイとしては後発なだけにいろいろ考えられている。自分撮り用の鏡は付いていないが、背面のカラー液晶をファインダーに出来るのはユニーク。デジタルズームは2倍と4倍の2段階でレンズはほかの端末に比べてややワイド気味だ。おそらく35〜38ミリ相当と思われる。

 J-T51はJボタンの長押しでカメラモードに入る。面白いのは「旅モード」。これをオンにすると撮影日時とだいたいの撮影場所が同時に記録される。常にオンにしておくのがいいだろう。操作も撮影モードや撮影サイズ、JPEG/PNGの設定があってやや複雑であることを除けば、全体にシンプルでよい。シャッター音は4種類でフレームも7種類用意されている。デジタルズームは2倍と4倍。

 A3021CAはメニューボタンを押してカメラを選ぶのだが、メニュー表示時のデフォルトの位置がカメラになっているのでそのままボタンを押せばカメラモードになる。シャッター音は5種類。ユニークなのはデジタルズーム機能。2倍と4倍のズームのほか、ワイドが2段階ある。ワイドにするとSH251iと同じくらいの画角になる。

 またA3021CAは撮影した写真が日付別にまとめて保管されるのは便利。枚数が増えると閲覧性が落ちてくるからだ。日付でまとまっていれば簡単に探すことができる。

 J-SH51もA3021CAと同様で、メニューを出してカメラを選ぶ。カメラは上から4番目でちょっと呼び出すのが面倒。さらにモバイルモードかデジタルカメラモードかを選ばねばならない。もうちょっとシンプルだとうれしい。デジタルズームは2倍と4倍の2段階。

 J-N05は十字キーの右がメニューとなっており、それを押してメニューを表示し、カメラを選ぶとカメラモードになる。ズームは2倍だけで、自分撮りはレンズを囲む鏡状の部分を使う。

ケータイのカメラはどんどん進化している

 こうして比較すると、カメラとして画質や使い勝手のバランスが一番いいのは後発であるNTTドコモのSH251iだ。発色は安定しており、カメラボタンも独立していていて分かりやすい。ピクチャーライトというユニークな機能も備えている。欲をいえば、待ち受け画面モード(120×160ピクセル)でもメール送信できるようにしてほしかった。

 30万画素以上のA3012CAとJ-SH51は、どちらもVGAサイズの画像を記録してPCへ渡すことができる。いわゆる35万画素デジカメとして使えるわけだ。しかし「35万画素デジタルカメラ」としては無理がある。トイカメラに比べると液晶モニタを持っている分使いやすいが、無理にVGAサイズにするよりCIFやQVGAサイズの方が楽しめる。特にA3012CAは室内での画質をもっとよくすべきだろう。

 J-T51は外付けのモバイルフラッシュがユニークだが、今のままではオマケレベルであり、ストラップにつけない限り毎日なくさずに持ち歩くのは難しく、常時装着するには邪魔になる。

 J-N05はカメラ機能がほかの端末に比べて使いづらい感があった。送信できる画像とできない画像が判別できるような仕様が望まれる。

 全体にいえるのは、レンズ部を指でつい触ってしまうため、レンズが指紋などで汚れやすいこと。レンズ拭きは欠かせない。折りたたみ型でレンズカバーまで付けるのは難しいだろう。

 もうひとつ全体に再生機能が弱い。再生時の拡大表示や、写真と撮影日時などを同時表示する機能、写真を表示したまま前後にめくって順番に見られる機能はほしいところだ。前後にめくって順番に観られる機能はいくつかの機種が搭載していたが、必須機能だと思う。

 カメラ付き携帯電話をデジカメの代わりとして使うことはできるだろうか。今の段階ではあくまでも携帯同士でのやりとりにとどめておくのが賢明だ。PC相手に送るには、ちょっとしたお遊びならいいが、「デジタル写真」を望むなら2万円出して130〜200万画素デジカメを買った方がよい。同じVGAサイズの画像でも、2万円で買える130万画素デジカメのVGAモードで撮影した画像の方がはるかに高画質で美しい。

 撮った画像をさっと友達のケータイに送るならカメラ付き携帯電話は便利だが、写真として残すには現時点では力不足といわざるを得ない。

 あと1年もすれば事情はかなりよくなるだろう。重要なのは画素数だけではない。画素数なら35万画素もあれば十分。今後、CMOSセンサの性能が上がり、きちんとした画像処理回路を搭載し、レンズ性能がよくなれば、かなりきれいな画像が撮れるようになる。あとはピクチャーライトのようなミニフラッシュが内蔵されれば、VGAデジカメとして十分使えるようになるはずだ。

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関連リンク
▼ SH251i(シャープ)
▼ A3012CA(カシオ)
▼ J-SH51(シャープ)
▼ J-T51(東芝)
▼ J-N05(NEC)

[荻窪圭, ITmedia]

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