Mobile:NEWS 2003年1月8日 08:12 PM 更新

動き出した総務省〜迷惑メール撲滅はなるか

迷惑メール防止法が制定され、通信キャリアもさまざまな対策をしてきた。にも関わらず、迷惑メールが減っているという実感には乏しい。理由の1つは、違法業者に対して出されるはずの行政処分が行われず、法が有効に機能していなかったためと言われてきた……

 2003年を迎えても、携帯電話向けに送信される“迷惑メール”は減る様子が見えない。サーベイリサーチセンターの調査でも、25.3%の人が週に1回以上迷惑メールを受け取っている(1月8日の記事参照)。

 しかし、そんな状況にも間もなく変化が現れるかもしれない。総務省の電気通信利用環境整備室は1月8日、ZDNetの電話取材に対して、悪質な迷惑メール業者に立ち入り調査を行い、既に措置命令を出したと話した。2002年11月の段階では立入調査の件数もゼロだったが(2002年9月の記事参照)、やっと具体的な結果につながる動きが出てきた。

 具体的な業者名や命令件数については「ほかの業者への影響も考えて公開はしない」(総務省)方針だが、「今後も情報提供を受けて(悪質な業者には)措置命令を出していきたい」と言う。

これまで、ほぼ機能していなかった行政処分

 通信キャリア側は、これまで迷惑メールに対してできる限りの対策を取ってきたといえるだろう。「未承諾広告※」によるメールフィルタリング(2002年7月の記事参照)や、大量の宛先不明メールに対する受信ブロック(2001年11月の記事参照)、さらには違反者への民事訴訟(2002年6月の記事参照)など、順次対策が行われてきた。

 これらは総務省の特定電子メール適正化法と経済産業省の特定商取引法をベースとしたもので(2002年6月の記事参照)、通信の秘密との兼ね合いを見ながら対策が取られてきたものだ。これにより、迷惑メール業者が法を遵守している限り、ユーザーの元には望まぬ迷惑メールは届かなくなるはずだった。

 にも関わらず、依然として迷惑メールが届くのは、業者が法を犯してメール送信をしているから(2002年9月の記事参照)。さらに法を犯した業者に対して行政処分が行われていなかったことが、違法メールの氾濫に拍車をかけている。

 ある調査会社がまとめた迷惑メール受信数の推移を見ると、迷惑メール送信業者の心境が想像できる。法規制が始まった2002年7月1日、様子見のため何日間か迷惑メールは減少。しかし「未承諾広告※」と記入すれば問題ない……という認識からか(2002年2月の記事参照)、再び増加に転じ、9月には法規制開始以前の1.6倍にも達する。その後、10月に入ってドコモが「未承諾広告※」メールの受信拒否機能の提供を始めると、また迷惑メール数は大きく落ち込む。このブロックをかいくぐってメールを出すには、明らかに法を破る必要があるためだ。

 しかし11月末になると、多くの業者が腹を決めたようだ。「未承諾広告※」の表記を行わず、迷惑メールを送信(2002年10月の記事参照)。法を破っても、処分がないと踏んだ可能性が高い……。

 実際、この調査会社の調べでも、12月の段階で送信された迷惑メールのうち「未承諾広告※」表記を遵守していたのはわずか1%。10月1日の段階では7割近くが法を守っていたのに対し、一気に違法へ踏み出した。


ある調査会社がまとめた、iモード向け迷惑メール受信数の推移。ドメイン指定受信やタイトルによるフィルタリングは行っていない状態の迷惑メール数。法規制以前の6月平均を100とした指数表示

 法律を作り、それに基づいて対策を行っても、法を破って迷惑メールを送信する業者に対しては、行政処分が最後の砦になる。しかし、法で定める罰金などの行政処分までは、かなり長い手続きが必要だ。

 基本的な流れはこうだ。迷惑メールを受け取ったユーザーは、総務省の窓口となる日本データ通信協会に情報を提供する(2002年7月の記事参照)。そこから情報を受け取った総務省は悪質と判断した業者に警告メールを送信する。それでも状況が変わらなければ、総務省は立入調査を行い、措置命令、行政処分が行われる。

 しかし、2002年11月の段階では警告メールの送信まではあったものの、立ち入り調査、措置命令の件数はゼロだった。これが、ある意味、迷惑メール業者をつけあがらせた理由ともいえるだろう。

行政処分が明らかになれば、抑止効果に

 現時点では、ユーザーからの申告が10万件弱、警告メールの送信数は2700通あまり。措置命令も出されるなど、迷惑メール撲滅に向けて準備は整いつつある。

 しかし実は措置命令が出されても、それがすぐに罰金や業者の公開につながるわけではない。「この措置命令に業者が違反すると罰金」(総務省)というステップが、この先にある。

 実際のところ、措置命令で期待されるのは抑止効果だろう。法律が制定され、キャリアが対策を打つたびに、一時的にせよ迷惑メール数が減少するのは、迷惑メール業者がグレーゾーンで活動を行っており、できるならば法を犯したくないと考えているからだ。

 先の調査会社は、「行政処分が行われ、その業者名が明らかになれば、違法な送信を行っていた業者の多くは手を引くだろう」と予測している。

 総務省では「(措置命令を出した件数が)少ないと、公開によって(法に違反しても)大丈夫だと、ほかの業者に思われる可能性がある」として、件数や措置命令を出した業者名を公開していない。しかし“抑止”に目を向ければ、ある程度の公開に踏み切ったほうが効果があるのは間違いないところだろう。



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関連リンク
▼ 総務省 迷惑メール関連施策
▼ 日本データ通信協会

[斎藤健二, ITmedia]

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