FOMA SH901iC

長く使えるハイエンドFOMAとは?

カメラ機能の進化も一段落し、“ハイエンド”端末の選び方も難しくなってきた。今後数年を見据えて、長く使えるハイエンド端末選択のポイントはどこにあるのだろうか。

 ハイエンドの携帯電話がほしい──。そう思っても、2004年の冬は携帯電話選びは実に難しい。これまでは、カメラ機能が急速に進化していたこともあり、カメラのスペックでクラスが分かれた。高画素のカメラがハイエンド携帯の証だったのだ。

 この冬はカメラのスペック競争が一段落。オートフォーカス付き200万画素に到達したあと、300万画素、400万画素と増えていく状況にはない。ユーザーサイドでも、さらなる画素数増加を求める声は減ってきた。

 では、何をもってハイエンド携帯を選んだらいいのか。

末永く使える携帯はどれか?

 新しい携帯を購入して最も後悔するのは、すぐにそれを凌ぐ新機種が登場したときだ。逆にいえば、今後1年、2年後を見据えて、使い続けるに足るスペックを持った携帯を選ぶことが重要になる。

 ドコモのロードマップを見ると、来年中にはFOMA契約数がムーバを逆転し、主流がFOMAになっていくことが分かる。機能の面から考えても、通信速度や通話音質はFOMAが圧倒的に優れているし、懸念されるエリアや電池の持ちも、ムーバと遜色ない状況に近づきつつある。FOMAの中から携帯を選ぶことが第1のポイントだ。

 もう1つ、忘れてはいけないのがiモードFeliCaサービスへの対応だ。「おサイフケータイ」の愛称でも知られるように、携帯の電子マネーでコンビニなどの支払いができたり、2005年末にはJR東日本のSuica代わりになるなど、これまでの携帯の利用シーンを超えた利用が可能になっていく。iモードFeliCaに対応しているか、それが第2のポイントとなる。

 既存の機能がどこまでブラッシュアップされているかもぜひ確認しておきたい。iモードやメール、ゲームやカメラの利用まで、液晶ディスプレイの見やすさはどんな使い方をしても重要なポイントだ。着うた、着モーションが普及していく中、スピーカー性能も気にしたい。

 そして忘れがちだが、メニューや文字入力の操作性は長く使っていく上で最重要のポイントになるだろう。求める機能に簡単にアクセスできるか、マニュアルを見なくても操作に戸惑わないか、かゆいところに手が届く機能を備えているか。スペック表には載らない“使いやすさ”が優れているかどうかは、こだわりたい点だ。

ハイエンド携帯の決定版「SH901iC」

 これらの点を踏まえて、この冬の携帯を概観したとき、ハイエンド携帯の決定版として挙がってくるのがシャープ製のFOMA「SH901iC」だ。

 FOMAの中でもハイエンドシリーズである901iシリーズの一翼を担う端末であり、さらにiモードFeliCaにも対応。カメラはオートフォーカス付き202万画素と、ハイエンド端末としての基本機能はしっかりと押さえている。

 シャープ製の液晶はこれまでも美しさに定評があったが、SH901iCではそれがさらにブラッシュアップされている。新開発の「モバイルASV液晶」は、前モデルの「SH900i」と比べてコントラスト比が2倍にアップし、更に鮮明でくっきりした表示になっている。視野角も上下左右約160度に広がっている。

 視野角の狭い液晶の場合、多少斜め下の角度から見たときに最も発色が良いように調整されていた。折りたたみ型携帯電話として使うことを想定してだ。ところがSH901iCは、回転2軸ヒンジを使ってさまざまな形状で利用できるようになっている。

 液晶を回転させて閉じれば、ユーザーは液晶の上方向から見ることになる。映像を見るときは、横向きにして大画面で表示するが、その場合は横方向から見ることになる。広視野角のモバイルASV液晶を使うことで、こうしたさまざまな形状を取りながら、どんなスタイルでも角度に関係なく美しい発色で見られることが可能になった。

 液晶の左右に配されたステレオスピーカーは、前後左右に動く立体的な音を奏でる。特にiアプリのアニメーションとの連動などで効果を発揮する。SH901iCの特徴の1つは、回転2軸ヒンジの採用で液晶を前面に向けたまま閉じることができることだが、その際もスピーカーの音がこもることがない。

 新機能として注目したいのは、AV入出力機能を備えている点だ。ビデオデッキなどのAV機器と接続すれば、SH901iCでテレビ番組などの動画を録画可能。テレビと接続すれば、その動画をテレビに出力できる。接続のためのケーブルは別売りだが、全国のドコモショップで販売しており、価格も800円程度だ。この「TV Recording」機能は、後日詳しく紹介する予定だ。

 メニュー周りのソフトウェアは、操作性に定評のあったSH900iに「SH506iC」で追加された機能を合わせ持つ。


ドキュメントビューアは、Excel、Word、PDF、PPTといったPC上のファイルを携帯上で閲覧できる機能。高速なスクロールと拡大縮小が特徴だ。内蔵カメラで撮影した画像もドキュメントビューアで閲覧できるので、メモ代わりに撮った画像のチェックも容易



予測変換機能を備えた「ケータイShoin3」。予測候補が2段で表示され多くの候補を一覧できるようになっている。記号や絵文字の学習機能も搭載している。「T9」のように入力して[上]キーを押せば、単語を予測して表示してくれる機能も備える



アドレス帳はインクリメンタルサーチ対応。つまり、アドレス帳画面で調べたい人の読み仮名を入力していけば、入力に従って候補者が絞り込まれて表示される



待受画面から多くの機能にアクセスできる。数字を打ち込んで決定ボタンを押せば、電卓やスケジュール入力も可能。「1201」と打って「スケジュール」を選べば、12月1日のスケジュールが表示される。数字を打って[View]ボタンを押すと、お小遣い帳「マネーカルク」の入力が行える。4ケタの数字を入れてマナーボタンを長押しすれば、その時間にマナーモードが自動解除される機能も備えている。マナーモードの解除忘れを防止できる

 デザイン面でも機能面でも多様化が進み、“これが全機能を備えたハイエンド携帯だ”といいにくくなってきた携帯電話端末。そんな中で、SH901iCは“ハイエンド携帯電話の最終形”といえるスペックとバランスを備えている。

FOMA SH901iC