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新生「Yahoo! JAPAN」アプリが目指した、快適な“スタートポイント”(1/2 ページ)

ユーザーが使いやすいスマートフォンアプリの形とはどんなものか――。ヤフーの「Yahoo! JAPAN」アプリは、少ない画面遷移で多くの情報を見せるというコンセプトの下に開発されたアプリだ。担当者にその狙いを聞いた。

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 ヤフーは、2月25日にリリースした「Yahoo! JAPAN」アプリの最新バージョンで、これまでのアプリとはユーザーインタフェースをがらりと変え、スマートフォンの中で中心的に利用してもらうための機能を備えたアプリへの進化を図った。これまで積み重ねてきた歴史やユーザー体験を一度リセットして、ユーザーの利便性を考慮した、まったく新しいユーザーインタフェースを採用する大幅なリニューアルを行ったのだ。以前からYahoo! JAPANアプリを愛用していた人の中には、アップデート後に起動して驚いた人もいたかもしれない。

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ヤフー メディアサービスカンパニー 開発本部 Y!トップアプリ サービスマネージャーの岡昌樹氏と、ヤフー メディアサービスカンパニー 開発本部 制作1部 制作2の会田智史氏

 そんな今回のリニューアルの裏には、ヤフージャパンの大きな決意があった。それは「Yahoo! JAPAN」アプリがスマートフォン上での“インターネットのスタートポイント”になること。PCの世界で、不動のポータルサイトとしての地位を築いた同社は、スマートフォンの普及が始まった今、スマートフォン向けアプリやスマートフォン向けサービスの分野でも、ユーザーの行動の起点であり続けるべく、取り組みを強化している。

 ヤフーはなぜ「Yahoo! JAPAN」の名を冠した、いわばヤフーの“顔”とも言えるアプリをリニューアルしたのか。その狙いをヤフー メディアサービスカンパニー 開発本部 Y!トップアプリ サービスマネージャーの岡昌樹氏と、ヤフー メディアサービスカンパニー 開発本部 制作1部 制作2の会田智史氏に聞いた。

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UIを挑戦的に変更 「少ない画面遷移で多くの情報を見せる」

 ヤフーはもともと、iOS向けYahoo! JAPANアプリを2008年から、Android向けYahoo! JAPANアプリは2011年から提供しており、それぞれのプラットフォームが本格普及を迎える前から、Yahoo! JAPANのサービスが利用しやすいアプリを積極的に提供してきた。それは、やはりスマートフォンでも快適にYahoo! JAPANを使ってほしいという思いがあったからだ。

 ただ、その頃はスマートフォンのWebブラウザからアクセスするサイトと、スマートフォン向けアプリで、それぞれ使用感が異なっていた。「Webサイトだからこうしよう、アプリだからこうしようと、それぞれ差別化することを前提に考えていたんです」と岡氏はいう。そのため当初のYahoo! JAPANアプリは、スマートフォンのホーム画面のようなユーザーインタフェース(UI)にしていた。画面は横方向のフリックで切り替え、大きめなアイコンをタップして操作するという、いかにもスマートフォンぽい操作体系だった。

 一方新しいYahoo! JAPANアプリでは、片手で持って操作できることを重視してUIを刷新した。画面遷移が少なく、一覧性が高いのが特長で、「電車の中でご覧いただく方も多いですから、片手で快適に使えることを目指しました。迷わずにすべての情報が見られるのが特長です」と会田氏は胸を張る。Yahoo! JAPANの強みである「検索」「サービス」「トピックス」の3つの要素を中心に据えた構成を採用し、ユーザーがYahoo! JAPANアプリに求めている“動き”とはどいういうものかを模索しながら作り込んだ。

PhotoPhotoPhotoPhoto Yahoo! JAPANの強みである検索、サービス、トピックスが見やすいのはもちろん、Webページの閲覧やネットサービスの利用まで、幅広いスマホ活用の起点となることを目指して開発された
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「最初にユーザーに提供したアプリから、UIを大きく変えることにはリスクも感じていて、これまでなかなか踏み切れなかった」と岡氏

 「Yahoo! JAPANアプリは、最初に提供したUIやユーザー体験を崩さないようにこれまでバージョンアップしてきましたが、ヘビーユーザーからライトユーザーまでをカバーできる、より便利なものに作り替えるべく、『ホーム改善プロジェクト』を立ち上げて新アプリの企画をスタートしました。PC向けのサイトで得られるユーザー体験を踏襲しながら、Yahoo! JAPANのスマートフォンアプリで提供できる動きとはどういうものであるべきかを考え、実装しています」(岡氏)

 「奇をてらうのではなく、ユーザーが使いやすい動きを考え、指が届きやすく、なるべく画面を切り替えずに情報を見られるものを目指しました」(会田氏)

 最初にユーザーに提供したアプリから、大きくUIを変えることにはリスクも感じていたそうで、「なかなか踏み切れなかった」と岡氏も話していたが、今回のリニューアルはヤフーでも「スマホファースト」の視点から考えに考え抜いた結果だったようだ。

世の中の「今」がすぐ分かる配置

 Yahoo! JAPANアプリが目指した、“画面遷移を少なくしつつ、情報をたくさん見せる”という目標。これは、両立させるのはなかなか難しく思えるが、タブや部分スクロールなどをうまく組み合わせて実現した。例えば検索窓の下にはタブで切り替えられる3つのメニューを用意し、すぐにアクセスできる情報を「サービス」「よく見る」「アプリ」の3つに分類。「サービス」を選択すれば横スクロールでサービスが選べ、利用頻度や人気の高いものから順に並んでいる。新たに用意したリアルタイム検索機能「話題なう」も20のワードを左右にスクロールしながら確認する仕組みだ。

 一方トピックスは、1カテゴリーあたり8本の記事が一覧表示できるよう、タイトルとカテゴリータブの配置にこだわった。トピックスの記事が必ずファーストビュー(起動時の最初の画面)に入っていることも重視したという。「新しい情報がすぐ目に飛び込んでくることを重視しました。タブの位置は上にしたり横にしたりと、いろいろな場所に配置してみて、ユースケースの検証をやりました。その結果、右側に縦に並べる現在の仕様に決まりました。また、前回終了時に選んでいたタブを覚えていて、次回起動したときはそのタブが開くのもポイントです」(岡氏)

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