「VAIO Phone」は世界に羽ばたけるか? スマホ低コスト化の理想と現実:バラして見ずにはいられない(1/3 ページ)
何かと話題となった日本通信とVAIOのSIMフリースマホ「VAIO Phone」を分解。いったいどんなパーツと製造技術が使われているのか、そして気になるコスト感について迫った。
2014年7月。多くのファンを持つPCの「VAIO」ブランドがソニーを離れ、新たなメーカーとして独立した。そして3月。同社から、“VAIO”ブランドを冠したAndroidスマーとフォン「VAIO Phone VA-10J」がMVNOの日本通信から発売された。本体価格は約5万円。製品には日本通信のSIMカードが同梱されているが、端末自体はSIMロックフリーで、周波数帯域が適合すれば他キャリアのSIMでも利用できる。
部品はグローバルクラス
VAIOブランドのVAIO Phoneではあるが、当のVAIOは“デザイン監修”を手がけたにとどまり、日本通信が主体となって企画・開発が進められた。製造はODM大手の台湾Quanta Computerで、パナソニックが台湾で発売した「ELUGA U2」とデザインやスペックが酷似している点も大きな話題となった。
そのVAIO Phoneだが、部品は高品質な世界標準品を使用している。プロセッサは世界シェアトップの米Qualcomm製「MSM8916」(クアッドコア)を採用し、メモリ(RAM)サイズは2Gバイト。写真や音楽を保存するストレージ(ROM)は16Gバイトだが、MicroSDカードで補完できる。LTEの通信チップはQualcomm、そして通信品質を高めるノイズフィルターなどは村田製作所製だ。一部の国の端末にみられる“安かろう悪かろう”的な部品は使用されていない。
スマホや携帯電話の多くは、アンテナを筐体下部に搭載していることが多い。これは電磁場が人体に及ぼす影響を考慮し、通話時に頭部から離れた場所で電波を送受信するためで、ほぼ世界共通の構造である。
しかしヒソヒソ話をする時などに口元を手で覆ったりすると、このアンテナがふさがれて通信状態が不安定になってしまう。その場合、筐体上部に装備されている予備アンテナが動き始める。廉価な端末になってくると上部アンテナを搭載しない例もあるが、本機では予備アンテナも装備されていた。
筐体下部にはアンテナと接続する小さな基板があり、幅広いフレキシブルプリント基板(FPC)と高周波ケーブルでさらにメイン基板と接続されている。FPC上にはノイズ対策と思われる黒いコーティングがあり、こうした細かい部分も国内端末と変わらないクオリティである。端末の性能を支える電子部品の観点からは、サクサク動き、普段使いに全く支障がないハイクオリティな製品と言えるだろう。
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