Googleの「Pixel 3/3 XL」はiPhoneの対抗馬になるか? カギは「AI」にあり:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
Googleが、Pixelシリーズの最新モデル「Pixel 3」と「Pixel 3 XL」を11月1日に発売する。満を持して導入されるPixelだが、その特徴やGoogleの狙いはどこにあるのか。過去、Googleが手掛けてきたデバイスとの違いなども含め、本連載で解説したい。
AIとソフトウェア、ハードウェアの協調が最大の特徴
とはいえ、ハードウェアとして見ると、他のスマートフォンと大きな違いはなく、むしろ“無難にまとまった端末”にも見える。最大の特徴は、「ハードウェア単体ではなく、AIとハードウェア、ソフトウェアの組み合わせ」(Pixel担当シニアディレクター、ナンダ・ラマチャンドラン氏)にある。例えば、先に挙げたアクティブエッジはその一例。握るとすぐにGoogleアシスタントが起動するため、あとは話しかけるだけで一通りの検索や操作を行える。
AIとハードウェア、ソフトウェアの融合が最もよく表れているのは、カメラといえる。Pixel 3/3 XLともに、背面のカメラは1つしか搭載されていないが、被写体をAIが分析して、人物や背景を正確に見分けることで、背景をキレイにボカして撮影できる。AIを使ってシングルカメラで実現するポートレートモードは、iPhone XRにも搭載されており、Googleの独自機能というわけではないが、Pixelの場合、被写界深度を変更するだけでなく、ピントを合わせる場所まであとから指定することが可能だ。
また、複数の写真を同時に撮影しておき、端末側から最適な1枚を提案する「トップショット」や、専用チップを使って異なる露出の写真を合成する「HDR+」など、カメラのあらゆるところにAIが生かされている。こうした機能はAndroidの標準として各メーカーに提供されるわけではなく、あくまでPixelオリジナル。ハードウェア単体ではなく、AIやソフトウェアとの合わせ技で他のメーカーと差別化しているというわけだ。
カメラの処理に関しては全てハードウェア側のAIで行われているが、Googleが得意とするクラウド側のAIとも連携する。Pixel 3/3 XLに合わせてGoogleは、カメラを通して画像検索を行うGoogleレンズを日本語に対応させた。カメラ起動時にディスプレイを長押しすると、シームレスにGoogleレンズが起動し、リアルタイムで映し出した言語を翻訳したり、名前を調べたりできる。
カメラ以外では、BGMの名前をさり気なくロック中の画面に表示できる。地味ながら、これもクラウド側のAIを活用した機能といえる。さらに、別売品のワイヤレス充電器「Pixel Stand」に置くと、まるでスマートディスプレイのように音声でさまざな情報を表示させることができる。ディスプレイにさまざまな情報が表示されるため、音声のみで結果を返すGoogle Homeよりも便利な存在になりそうだ。
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