News 2001年2月16日 09:27 PM 更新

ACCS,法的措置の支援強化へ

ACCSが発表した平成13年度の事業計画には,著作権者による法的措置を支援する方針が盛り込まれた。

 社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)は2月16日,平成12年度の第2回通常総会を開催し,翌13年度の事業計画をまとめた。計画には,著作権侵害対策の一環として,権利者による法的措置への支援活動を,今まで以上に強化することが盛り込まれている。

 ACCS調査部の報告によると,平成12年度(2月14日現在)の著作物に関する刑事事件の数は18件。このうち,インターネットを使った海賊版販売および無許諾アップロードが13件を数えたという。平成11年度の21件に比べると減少傾向にあるものの,サイバースペースにおける著作権侵害が,なお深刻な状況にあることを物語っている。この中には,ホームページを通じて100人以上のメンバーを組織し,大量のゲームソフトをアップロードしていた「ファミコン決死隊」の一件も含まれている。ファミコン決死隊事件では,4人の逮捕者が出た。

 企業や学校,団体など組織内でのソフトウェア不正使用に関しては,その撲滅を目指し,情報収集と調査,権利者による刑事的・民事的解決への支援活動を行う。特に,今年1月1日には法人著作権侵害に対する罰則が強化され,罰金の上限もこれまでの300万円から1億円に引き上げられた。これを受ける形で,「来期以降は,刑事手続きでの対応を行う予定だ」(ACCS)。ACCSでは,昨秋以降,専門学校や大手企業に対してソフトウェアライセンスの再確認を依頼する書簡を送っているが,2月15日には各省庁や地方自治体にまで対象を広げ,約3300の依頼文を新たに発送したという。

中古ソフトを撲滅しようというのではない

 裁判が進行中のゲームソフト中古品販売問題については,「最高裁まで争うことになるだろう」(ACCS)との見通しを明らかにした。現在,東京高裁では通称「エニックス訴訟」,また大阪高裁でも,カプコン,セガなど5社のソフトハウスが,中古ソフト販売店のアクトにソフト販売差し止め請求を求めて訴訟を起こしている。いずれも平成13年度3月に判決が下る予定だ。

 ACCSでは,「たとえ頒布権を勝ち取れたとしても,中古ソフト市場を撲滅しようというのではない」という考えを改めて示している。「権利者,中古販売店などの利益を調整しながら,適正化を図る。妥当な金額で著作権を保護し,(中古ソフト販売を)ビジネスとして成り立たせるという案も持っている」(ACCS)という。

 このほか,ACCSでは平成13年度の事業ポイントとして,アジア地域における海賊版ソフト対策の実施,企業内でのソフト管理手法の公表と普及,著作権を柱とした「情報モラル」確立に向けた啓蒙活動などを挙げている。10月に施行される著作権等管理事業法に関しては,デジタル著作権の集中管理事業開始に向け,「集中管理事業準備委員会」を設置して準備活動を開始する予定だ。

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[芹澤隆徳, ITmedia]

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