News:っぽいかもしれない | 2002年1月23日 10:06 PM 更新 |
山本:欧米では介護補助用具はさかんに研究されているのですが,これがみんな大きいんです。 (研究室の扉を指して) あそこを通れないようなもの。天井にレールをつけるようなものでも,日本の狭い家屋ではちょっと使えない。やはり人間が介護するってことになる。それなら,それをサポートするものをつくろうと。そのためには,まだいまのスーツは大きすぎるんですが。
最初は,スーツというよりは鎧のような代物で片腕だけで30キロもあった (全体の重さは量っていない) そうだ。それが毎年の改良を重ねて,今の全部で18キロというところまで来たわけだ。
ただ,まだ電源は外部から供給されている。これを内部電源,つまりバッテリー込みでやはり18キロに収めるのがとりあえずの目標だそうだ*6。といってもこれはバッテリーの技術の進歩がどうなるかに関ってくるのだけど,いまこの分野は電気自動車のおかげでかなりの進歩を見せているので,期待できそうだ。
また,電源のほかに,制御用のコンピュータも外づけになっている。でも,こっちは,今の技術でもワンボードにしてスーツに乗っけてしまうことは簡単。いま外づけなのは実験のデータを取るためという理由が大きい。
介護用パワーアシストスーツ は,着ている人の出している力に応じてスーツも力を出すものだから,「出している力」をなんらかの方法で検出する必要がある。ありがちなのは筋肉の収縮弛緩にともなって発生する電気 (筋電) を,皮膚表面に貼りつけた電極を使って測定するというものだ。ところが筋電というのはとても弱い電流だ。このため,環境の電気的雑音の影響をうけてしまう。このスーツの場合,雑音で誤動作したら人命に関りかねないものなので,これは使えない。
そこで目をつけたのが,筋肉のかたさだ。内側に突起のついたベルトを筋肉の上に巻きつけておく。力を入れると筋肉が収縮して,突起が外に押しだされる。あとは圧力センサーでその量をはかればいい。ずっとプリミティブな方法だけど,その分,雑音には強い*7。
膝の関節はこうなっている。関節の後に並んでいるのが「布の中に入った風船」だ。
*6 将来的にはもっと軽く (10キロ程度) にしたいのだそうだ。
*7 同じ結果が得られるならプリミティブなほうがいい。簡単なものは壊れにくいのだ。