News 2002年5月29日 10:52 PM 更新

Transmetaの新CEOが来日――日本独自の「ジャパン・ファースト戦略」など発表

Transmetaは29日、新社長兼CEO・Matthew R. Perry氏の初来日記者会見で、日本市場での展開をより強化する「ジャパン・ファースト戦略」や、Windows XPベースのワイヤレスモバイルコンピューティングを実現するための「Crusoe1000」構想を明らかにした

 Transmetaは5月29日、今年4月に新社長兼CEOに就任したMatthew R. Perry氏が初来日したのにあわせて、記者会見を実施。Crusoeプロセッサを中心とした同社の事業戦略の中で、日本市場での展開をより強化する「ジャパン・ファースト戦略」や、ユビキタスコンピューティングを実現する「Crusoe1000」構想を明らかにした。


初来日した新社長兼CEOのMatthew R. Perry氏

 「小型で省電力、そしていつでもインターネットにアクセスできるデバイスを提供するTransmetaは、私がずっと捜し求めてきたビジョンを持つ企業。Crusoeの特徴は、トランジスタの代わりにソフトウェアを使っている点。他の企業が真似できないこの技術は、将来にわたって素晴らしい成果を出していけるという証しだ」とCEO就任の感想を述べたPerry氏は、ポータブルPCの今後のビジョンについてこう語った。

 「ポータブルPCは現在7ポンド(約3.2キロ)ぐらいが主流だが、近い将来には、これより半分の3.5ポンド(約1.6キロ)以下が主流になっていく。日本は、世界のモバイル市場の1/3以上を占めており、そのうちの半分が3.5ポンド以下の製品。そして、この小型化の傾向は、世界に広がっている。ポータブルPCの価格はどんどん下がっているが、Crusoeの技術を使えばさらに安価なPCを作ることができる。このように小さく安いPCを求めるトレンドは今後も続くだろう」。

 同社が掲げるジャパン・ファースト戦略とは、このようにポータブルPCが普及している日本市場での展開を強化することで、Crusoeを中心とした同社の取り組みが全世界にも広がっていくというものだ。

 ジャパン・ファースト戦略における具体的な日本独自のマーケティング活動として、今秋にもポータルサイトを開設することが同社ジャパンカントリーマネージャーの和田信氏から発表された。「次世代のモバイル・ライフスタイル」をテーマに、東京・渋谷のタウン情報やWebカメラ中継といったコンテンツを用意するという。また和田氏は、本日から日本語Webサイト(http://www.crusoe.jp/)を立ち上げたことも明らかにした。


渋谷の文化にフォーカスしたポータルサイトを今秋にも開設

 「日本は、バッテリ駆動時間や新しいフォームファクタに非常に敏感な市場。当社は、この日本市場でPCトップ10メーカーのうちの7社にCrusoe製品を提供している」と述べたPerry氏は、富士通のLOOX、東芝のLibretto、イーヤマ販売のAvenue、ソニーのバイオC1、ファンレスを実現したNECのMate(MA90W/F)など、同社の最新CPU「TM5500/5800」を採用した各社のCrusoe搭載機を紹介。

 今年4月に発表されたソニーの世界最小・最軽量Windows XPマシン「バイオU」の紹介では、実機を掲げて「約800グラムのPCでWindows XPが動いている。非常に小さくバッテリ駆動時間も長い。非常に興奮している」と、Crusoe搭載PCの軽量・コンパクトさをアピールした。

 最後に、Crusoeチップのロードマップが明らかにされた。現在同社は、0.13マイクロメートルプロセスのTM5500/5800をリリースしているが、Petty氏によると、米カリフォルニアの本社ではすでに次世代コアの開発が進んでいるという。

 「詳細は別の機会に述べたいが、次期主力プロセッサとなるTM8000では、消費電力・効率の両面でパフォーマンスが上がっている。また、次世代コアでは形状(ダイサイズ)が小さくなり、プロセッサにさまざま機能を統合化できるということで、周辺チップを統合したTM6000というプロセッサも計画している」(Perry氏)。


Crusoeのロードマップ

将来ビジョン「Crusoe1000」

 続いて登場した同社CTOのDavid R. Ditzel氏は、先日開催されたWinHECでも話題となったOQOの超小型PCを紹介した後、同社の将来ビジョンを語った。


タバコケースとほぼ同サイズの小型ボディで、Windows XPが動くOQOの超小型PC


 「Crusoe1000」と名付けられた同社の将来構想は、「価格が1000ドル以下」「重さは1000グラム以下」「バッテリ駆動時間1000分(16.6時間)以上」「CPUの動作クロックは1000MHz以上」といった性能を持ち、Windows XPとワイヤレス接続機能を搭載できるPCの開発を目指すもの。Crusoe1000構想のもと、Crusoeの特徴である低発熱、超低消費電力・長時間バッテリ駆動を実現する技術をさらに進化させるという。

 「Crusoe1000の性能で、完全なWindows XPのワイヤレスコンピューティングを実現する。このようなPCができれば、皆さんのニーズは全て満たされるだろう」(Ditzel氏)

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関連リンク
▼ Transmeta
▼ Transmeta日本語Webサイト

[西坂真人, ITmedia]

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