News 2002年10月7日 11:33 PM 更新

「5年後の生活、体験してみませんか?」――近未来テクノロジーエキシビジョン開催(2/2)


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最新技術による近未来のお買い物

 冷蔵庫や洗濯機といった家電製品をネットワーク化した「ネット家電」も、近い将来多くの家庭で普及が見込まれている製品。会場では、今年4月に発売した東芝のネット家電「Feminityシリーズ」が紹介されていた。


東芝のネット家電「Feminityシリーズ」

 これらネット家電をさらに便利にするのが、無線を使ったICタグ。ネット家電対応冷蔵庫にICタグが付いた食材を放り込むだけで、食品名や賞味期限・量の目安といった食材の在庫データを自動的にネット家電に蓄え、買い物時に在庫をチェックしながら必要なものだけを買うことができるようになるという。


ICタグとネット家電で、ショッピングカートのディスプレイに映し出された在庫データを参考にしながら買い物が行える

 ショッピングカートに入れた商品の金額は瞬時に合計され、レジでの会計もスムーズに行える。ICタグはセキュリティ機能も備えているので、支払いまで自動化すれば、完全な無人店舗も可能という。

“超伝導”で効率的なエネルギー利用を

 「超伝導」技術も、期待の近未来テクノロジーだ。超伝導は「電気抵抗がゼロになる」「磁力線をまったく通さない“マイスナー効果”によって磁石が浮く」といった特徴があるが、この技術を応用した「超伝導スピーカー」が展示されていた。


超伝導スピーカー

 現在、広く使われているコーン型ダイナミックスピーカーは、1925年の誕生以来基本構造は変わってなく、その電気変換効率は0.1%と非常に効率が悪い。たかがスピーカーとはいえ、日本中のスピーカーが無駄使いしている電力は、発電所2カ所分に匹敵するという。

 超伝導を応用したスピーカーは、振動体を超伝導で浮かせることでエネルギーロスが大きい振動体支持部(エッジやダンパー)を排除し、さらにボイスコイルの抵抗値をゼロにすることで電気変換効率を高めようというもの。結果的に通常のスピーカーの10倍以上の効率が得られるという。

 ただし、超伝導状態を得るためにはマイナス200度近くの超低温状態にしなければならない。今回の超伝導スピーカーでも、定期的にユニットへ液体窒素を注ぎ込んで、超伝導状態を作り出していた。「それでも、初期の超伝導は絶対0度(マイナス273度)でしか見られなかったので、液体窒素で可能になったのは画期的」(担当者)。


定期的にユニットへ液体窒素を注ぎ込んで、超伝導状態を作り出す

 将来的には、電気抵抗ゼロという超伝導の特性を電力線ケーブルに応用して、地球上に超伝導電力線のネットワークを形成。何千キロも離れた場所で風力や太陽光で発電した自然エネルギーで、地球上の電力をまかなうといった効率のよいエネルギー利用が可能になるという。

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関連リンク
▼ 「After 5 years 近代未来テクノロジーエキシビジョン」公式サイト

[西坂真人, ITmedia]

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