News 2003年4月11日 07:09 PM 更新

新製品目白押しのデスクトッププロセッサ――Intel副社長、戦略を語る(2/2)


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 われわれはハイパースレッディングのメリットを体感できるよう、アプリケーションベンダーとさまざまな取り組みを行っています。例えば、アドビのPhotoshopはかなり性能が向上します。

 すべての人がPhotoshopユーザーだというわけではないことも事実です。しかし、ハイパースレッディングに対応したアプリケーションがなくても、マルチタスクが快適に動作するため、ユーザーはメリットを受けることができます。

デスクトップ向けプロセッサのTDPは、100ワットを超えようとしています。もっと省電力で静かなデスクトップPCを実現するデスクトッププロセッサを開発する予定はないのでしょうか?

 ノートPCとデスクトップPCは、設計に伴う要件が異なる上、使われ方にも大きな違いがあります。

 例えば、私はデスクトップPCを担当していますが、出張中に仕事をしなければならない時は、CentrinoのノートPCを使います。ノートPCならば、ハイパースレッディングが必要なケースも少ないはずです。

 しかし、デスクトップPCには今日、さまざまな役割があります。ビデオエンコードしながら、何かのアプリケーションを動かしたり、ブロードバンドコンテンツの映画を再生することもあるでしょう。同時にネットワーク家電向けのサーバとなる必要があるかもしれません。Baniasは異なる目的のために設計されたものです。

 ただ、パソコンの出す騒音については、私自身も危惧しています。加えてハイパフォーマンスなグラフィックチップは、確実に消費電力も高まってきています。

 でも、考えてみてください。Pentium 4が登場した頃、誰もが「これじゃ省スペースデスクトップ機には入らない。入ってもファンの騒音がうるさい」と言っていました。しかし今、Pentium 4はあらゆるフォームファクターの中に入り、十分な小型化も進めることができました。

 もちろん、騒音の問題はすべてが解決したわけではありません。それでもこれまでと同じように、熱の問題を解決した製品が徐々に登場するでしょう。

ハイパースレッディングに対応したノートPCは、今後登場するのでしょうか?

 具体的な時期は明言できませんが、ノートPCへのハイパースレッディング普及の第1段階として、Pentium 4ベースのハイパースレッディング機能搭載モバイルプロセッサが登場する予定です。これは、それほど遠くない未来に投入されます。

 Pentium Mのラインに関しても、やはり将来的にはハイパースレッディングが実装されるようになるでしょう。しかし、これはまだ先の話です。将来は、すべてのインテルプロセッサに例外なく入っていくことになります。

Prescottではハイパースレッディングの拡張をするとしています。これはどのような拡張になるのでしょう?

 詳しい話を今することはできません。しかし、同時実行スレッドが何倍にもなるのか、と尋ねられれば、その答えは「ノー」です。Prescottの同時実行スレッド数は、2個のままです。ここで言うハイパースレッディングの拡張とは、プロセッサ内部のアルゴリズム最適化を行い、その結果、性能が向上していることを意味しています。

Centrinoの「個々の製品を組み合わせてシステムプラットフォームとしての価値を高める」というアイディアは、インテルにとって非常に有益なマーケティングプログラムだと思います。デスクトップの分野で同様の手法は使うのでしょうか? 来年、LaGrandeテクノロジのプラットフォームが投入されるタイミングは、まさに絶好のように見えますが

 Centrinoの目的は、複数の技術をひとつにまとめることで、より高い付加価値を生み出すことでした。そして、それは非常に成功していると評価できます。デスクトップPCの分野においても、同じようなプログラムはやりたいと考えています。いつ、どのような形でやるかを明言することはできませんが、将来きっとやることになるでしょう。ただし、それがLaGrandeテクノロジのタイミングになるかかどうかはわかりません。

台湾ベンダーを中心に広がっている、デスクトップPC用プロセッサを使った、いわゆる“デスクノート”に関して、インテルがプラットフォームデザインを提供するつもりはありませんか?

 デスクノートは、インテルが推し進めているフォームファクターではなく、ベンダー自身が自らの責任でやっているフォームファクターです。インテルとして、この市場をイネーブリングするプログラムを持っていません。そして、今後もインテルはそういうプログラムを展開するつもりはありません。



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[本田雅一, ITmedia]

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