News 2003年5月16日 06:19 PM 更新

Longhornにたどり着くまでの道のり――おさらい編(2/2)


前のページ

 2005年の4月がLonghornのRTM(Release To Manufacture)版ターゲットになるとすれば、2004年の11月もしくは、2005年の1月にはRC(Release Candidate)版がリリースされる必要がある。

 個人的には、2004年中にここまでうまく行くとは思えない。やはり、Longhornのリリースは2005年末頃になる可能性も高い。とは言え、まだかなりの時間があるので、最終的にポイントになるのは2004年のβ版の出来次第だろう(この出来次第では、最悪の場合、2006年になることもありうる)。

 Microsoftでは、Longhornの後に、Blackcomb(ブラックコム)というOSのリリースを計画しているが、このようなLonghornのスケジュールを考えると、それがいつになるか、現時点ではまったく予想がつかない。それが正直なところだ。

 サーバ製品に関しては、2003年にWindows Server 2003をリリースし、当初はLonghorn、Balckcombと立て続けリリースされるのではないかと言われていた。

 しかし、WinHECにおいてMicrosoft Windows Server GroupのDavid Thompson副社長は「サーバOSについは、Windows Server 2003リリース後はクライアントOSのリリースに歩調を合わせるのではなく、クライアントOSなどで開発されたコンポーネントを適宜アップデートできるようにしていく。つまり、Blackcombサーバというメジャーアップデートはおこなわない。BlackcombサーバやLonghornに搭載される機能は、数年間かけてコンポーネントごとにリリースされていく」と話していた。

 すなわち、企業での導入が前提となるサーバプロダクトは2−3年でメジャーアップグレードという方式ではなく、より長期に使えるようにするということだ。これは、現在のWindows Server 2003に安心して投資してもらえるようにという配慮だろう。

 企業におけるサーバOSの導入を考えたとき、OSの評価、導入の計画、実際の配備まで考えると、サーバOSのリリースから最短でも2〜3年かかるため、短期間でメジャーアップグレードを行うとユーザーが対応できない恐れがある。むろんのこと、MSではできるだけ早く導入できるように、特定の企業と早期導入プログラムを組んではいる。しかし多くの企業が導入するには、やはり相当の時間がかかるのだ。

 このため、サーバOSはクライアントOSのようにメジャーアップデートを続けるのではなく、不定期に追加コンポーネントをリリースすることで、必要なユーザーだけが導入を図るようにしていく方向のようだ。

Longhornまでのクライアント製品はどうなる?

 2003年は、Windows Media Center Edition(MCE)のアップデート版のリリースが予定されている。MCEのアップデート版は、WindowsXPのSP2をベースとしたものとなる。

 現在、リモートデスクトップを使って、PCにアクセスすると、アクセスされたPCはディスプレイ、キーボードなどが使えなくなる。つまり、リモートデスクトップであっても同時に使用できるのはシングルユーザーとなっている。

 WindowsXP SP2では、同時に複数のユーザーがPCにアクセスして使用できるように、リモートデスクトップの機能を拡張して、同時にアクセスできるマルチユーザー環境を整える。これにより、Smart Displayを利用した時に、デスクトップPCが使えなくなるということもなくなる。

 さらにWindowsXP SP2では、リモートデスクトッププロトコル(RDP)にAV転送プロトコルが追加される。これにより、SmartDisplayでもビデオやオーディオの再生が行えるようになる。また、Universal Plug and Play(UPnP)のコンテンツディレクトリサービスやMedia Serverなどの機能が追加されることで、Windows XPをメディアサーバ化することができる。


Media Center 2.0では、新たにAVトランスポートプロトコルが追加されている。これにより、クライアントからリモートデスクトップでアクセスしても、オーディオやビデオは、ストリーミングとして転送されるため、端末側でビデオがコマ落ちせず見られる

 このようなインフラをベースとして、新しいMCEがリリースされる。MSでは、MCEをホームサーバとしてリビングにあるTVに接続するWindows Media TerminalというSet Top Box(STB)の開発を進めている。このターミナルは、Smart DisplayにAV転送プロトコルを搭載したものだ。このため、2003年末あたりにはSmart DisplayもV2.0にアップデートされる。


Microsoftが開発しているWindows Media Terminal。TVに接続するセットトップボックス(STB)。このSTBをコントロールして、Media Centerからの映像やオーディオをTVにストリーミングする

 MCEの日本語版に関しては、サーバ機能などが搭載されたMCEアップデート版でリリースされることになるだろう。リリースは、2003年の年末ぐらいになるのではといわれている。

 Tablet PCもWindows XP SP2をベースにバージョンがアップされる。Tablet PC V2.0は2004年のリリースとなる予定だ。

 このように、2003/2004年は、Windowsプラットフォームは、デジタルメディアの機能強化を中心に行われる。それを受け継ぐようにLonghornでは、デジタルメディアに最適なプラットフォームとなるだろう。


Media Centerは、さまざまなデバイスからアクセスできるようになる。デバイスは、ディスプレイを搭載したPC関連製品モノから、家電機器までカバーする


Media Centerにアクセスするリモート端末のアーキテクチャー図



関連記事
▼ Microsoftの家電戦略で浮上した“AVリモート端末”
Microsoftが次世代Media Center PCなどで狙っているもの。それはPCの持つパワーを活かせるメディアリッチな“AVリモート端末”の提供だ。これはWindows CE.NETベースの“ノンHDD”デバイスで、802.11a/gクラスのワイヤレス機能を持つという

▼ Longhornの真実(1)――グラフィックとディスプレイ周り
WinHECで次期デスクトップ用Windows“Longhorn”に関するさまざまな情報が明らかにされた。今回はまず、グラフィックとディスプレイ周りの改善点について触れていこう

▼ 理想はPCゲーマー?――Windowsクライアント戦略が狙うもの
WinHECの2日目はWindowsクライアント担当上席副社長のWill Poole氏が講演、次世代PCではコスト偏重ではなく、付加価値を優先した設計を行うべきと力説した。同氏は、Windowsの最新ロードマップも公表した

▼ ビジュアル強化の次期Windows、2005年に正式リリース
「2004年末か2005年初頭」と予測されていた次期Windowsの登場は、2005年になるとMSが明らかに。同OSは「ビジュアルの質」に力を入れ、高解像度対応を目指したものになる

▼ 特集:次世代Windows「Longhorn」に注目が集まるWinHEC 2003

[山本雅史, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページ | 2/2 | 最初のページ