News:アンカーデスク | 2003年5月30日 11:59 PM 更新 |
去年の公開では、ニュース画像などに映っている人をそれが誰かリアルタイム認識しようという展示(「映像検索のための顔画像認識技術」)があった。ここで、使われているのもその技術の応用。 「去年、ヤクルトの選手でデモなさってらっしゃいましたよね」。
「そうです。よく覚えていてくれました。ここでは、あれほどシビアではなくていいので、ずっと簡単です」。
「ニュース画像のほうの発表は今年はないんですか?」。
「ペタジーニが、ジャイアンツに行ってしまったんで、使えなくなったんです」。
「ああ、なるほど!」。
また、去年は指差し確認式のオブジェクト選択システムもあったんだけど、これも今年はなかった。あんまり進歩がなかったのかな、残念。
垂直磁気記録によるハードディスク
実際にハードディスクの形に組み上げて、データを読み出すデモを行っていた(*5)。
「もう、質問され飽きていらっしゃるかもしれませんが……、実用化はいつですか」。
「うちはメーカーではないので、はっきりしたことは言えませんが、来年くらいにはおそらく」。
「えー、もう3年くらい、『来年』とうかがっているんですけど……」。
「あはは。でも、今回は、本当です。ハードディスクメーカーが本気になってきましたから。お問い合わせもかなりあります」。
「本気とは?」。
「垂直磁気に切り替えるとなると、工場の設備を入れ換えなきゃいけないんで、今まではやりたがらなかったんです。ここしばらくは、長手方向記録(面内記録のこと)の改良でしのいでこられましたし。ところが、長手では、理論的限界値にそろそろ届いちゃいそうなんですよ。“熱ゆらぎ”という現象が発生するので、長手では100Gbit/平方インチあたりが限界なんです。ここを乗り越えるにはいよいよ垂直磁気しかないと」。
「このディスクはどのくらいの記録密度なんですか?」。
「200Gbit/平方インチ。これで、100円玉サイズ(0.8インチ)ディスクで20Gバイト。これで2時間の映像が記録できます。3.5インチですとディスク1枚あたりで200Gバイト以上になります」。
「ヘッドやスピンドルまわりは、今までの技術で大丈夫なんですか?」。
「より精度を上げる必要はありますが、今までの延長線でいけるはずです。この試作機はそうやって作っていますし」。
ということだそうだ。私は首がかなり長くなってしまっている。
シリコンマイク
去年登場したシリコンマイクがバージョンアップしていた。
このマイクは、心臓部が2ミリ×2ミリ、全体でも4ミリ×4ミリというサイズのもので、シリコンの単結晶で作られている。シリコン単結晶っていうと半導体の話かと思っちゃうのだけど、ここではそうではない。
実はシリコン単結晶は「引っ張り強度が非常に高い(鋼鉄の15倍)」という特性があるのだそうだ。これはマイクのダイアフラムとしてはもってこいの性質である。これを使うことで、極小だけど高性能というマイクがつくれることがわかったのだ(と、去年書いた)。
そして、シリコンを使うことで、ウェハーの上で一度にたくさん製造するというLSI作成の技がそのまま使えることになる。ところが、このウェハーを切り離すときにマイクの中に削りかすが入って歩留まりを悪くするという現象が発生していた。
[こばやしゆたか, ITmedia]
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