News | 2003年12月12日 10:06 PM 更新 |
T-Engineの開発ボードなどがズラリと並ぶ「TRONSHOW2004」は“開発者向けの催し”というイメージが強いが、視点を変えてみると一般ユーザーでも見どころはたくさんある。そんな一般ユーザー向けの注目展示を、TRONSHOWからピックアップしてみた。
手のひら超漢字マシンや文筆家必携ソフト――パーソナルメディア
BTRON仕様OS「超漢字」でTRONの可能性を一気に拡大したパーソナルメディア。T-Engine開発キットの販売を手がける同社は、ブースでもSH/M32/VR/ARMシリーズなど各社CPUを搭載したT-Engineボードなどを展示・アピールしている。
だが、やはり来場者は“超漢字”関連の展示に注目。なかでも、TRONSHOW開催前日に発表された手のひらサイズの超漢字デスクトップPC「T-Cube(仮称)」に視線が集まっていた。
T-Engineの“半”応用製品として開発されたT-Cubeは、標準T-Engineボードをベースに小型軽量化を図ったもの。基板や各種チップがむき出しの開発キットとは違い、きょう体や各種インタフェースなどはコンシューマ向け製品に近い仕様で作られている。
ほぼ正立方体のボディは、サイズが52(幅)×52(奥行き)×45(高さ)ミリで重さが165グラムとミカン並みの大きさ。このサイズに、RGB出力、LAN、USB(×2)、CFスロット、AUDIO OUT/MIC IN、eTRONチップスロット、RS-232Cと、PC用途には必要十分なインタフェースを備える。
「標準T-Engineボードでは各インタフェースの位置が規格で決まっているが、T-Cubeは応用製品なのでサイズも含めて自由な設計が行える」(パーソナルメディア)
NECエレクトロニクスのCPU「VR5500」に周辺チップを統合化したカスタマイズCPU「VR5701」を搭載しており、VR5500搭載の標準T-Engineボードとほぼ同じ性能を誇る。異なるのは、PCMCIAスロットと拡張ボード用インタフェースが省略された点ぐらいで、逆に標準T-Engineボードでは拡張ボード対応だったRGB出力やLANが標準で装備され、グラフィック性能もSVGA(800×600ピクセル)からSXGA(1280×1024ピクセル)に強化されている。
コンパクトフラッシュカードにOSやミドルウェアを入れることで動作可能。T-Cubeのデフォルトでは、T-Engineの標準リアルタイムOS「T-Kernel」にBIOSに相当する「T-Monitor」やデバイスドライバーやファイルシステムなどを含む「T-Kernel Extension」を装備。多漢字GUI「PMC T-Shell」やブラウザ/IA向けアプリケーションを移植し、超漢字PCとして一般ユーザーでも利用できる。
「キーボードとモニターとマウスがあれば超漢字PCと同じことができるが、一般向けというよりも最終製品の一歩前の開発環境ツールという位置付け。T-Cube上でアプリケーションソフトを作ったり、ここから不要な機能を省いて専用小型端末を作ったりといったことができる。価格は未定だが、標準T-Engineボードと同じぐらい(20万円前後)になる予定」(パーソナルメディア)
また、超漢字で動作するエディタソフト「超漢字原稿プロセッサ」も参考出展されていた。超漢字の最大のメリットである17万字を超える漢字を扱えることに加え、原稿の加筆・修正時に元原稿のレイアウトを残しながら修正履歴を保存できる点や、加筆・修正とは別に管理できるメモ機能など、まさに“文筆家御用達”の仕様になっている。
TRONのリアルタイム性を生かして音楽セッション――ヤマハ
ヤマハは、電子楽器やAV機器に組み込みOS「μITRON」を長年採用してきた“TRON使い”メーカー。今回の展示会では、T-Engineを使ったインターネット経由の音楽セッションシステム「iSession」のデモンストレーションを行っていた。
[西坂真人, ITmedia]
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