森永卓郎×ネクスト SNSの現在、そして次の一歩経済アナリスト森永卓郎が聞く(前編)(2/2 ページ)

» 2006年10月16日 00時00分 公開
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地域のお店が、地域の住民とコミュニケーションできる

森永 Lococomは無料でサービスを提供するということですが、ビジネスモデルとしてはバナー広告なのですか?

井上 バナーによる収益は、しばらくは予定しておりません。収益モデルとしては、個人がプレミアム機能を使いたい場合、月額300円程度の課金を考えています。SNSだけでなく、ブログ、プラス自己管理という機能も設けていますので、かなりお得だと思っています。

 お店が無料で出店できる店ブログも、来期からは一部の機能を課金していく予定です。個人の出店なら数千円です。それで地域に向けて情報を発信できます。

Lococom責任者であるネクストの金氏

森永 広告費としては極めて安い。

井上 今までは町のクリーニング屋さん、美容院、パン屋さんは、ネット広告に手を出せなかったわけですが、「月額3000円くらいだったらいいか」と思ってもらえるのではないでしょうか。地域限定で、近くに住んでいる方にお知らせしたり、クーポンを付けたりできれば、そのエリアが活性化する。大手であればテレビコマーシャルを打って大型店に集客して……というプロモーションができたわけですが、小さな商店街などは苦戦している場面もありました。Lococomのコミュニティで、地域住民とコミュニケーションを取って、その結果来店してもらえれば、地域が非常に活性化するじゃないか、と考えています。

 Lococomに込めた想いは、こんな感じですね。ブログやSNSのような情報発信型のサービスは、一般の人にとっては書き続けなくてはならなくてかなり苦痛。我々が作ったLNCは、日常生活の中で情報交換して便利だね、というものを目指しています。

 地域情報を探すときも、今は不便です。一般の検索サービスを使って、近所の美容院の価格を比較しようとか、今週末の牛乳と卵の特売を探そうと思っても出てこない。でも地域の人たちが作り上げる情報が積み上がると、日常生活をしている人たちもお店も双方がハッピーになる。それを細かいメッシュ──地域別情報として積み上げていきたい。

森永 そうなんですよね。このプラットフォームの上に、そういう情報が積み上がっていくと、ものすごく便利になりますね。

不動産情報「HOME'S」のネクストがなぜ?

森永 ネクストはこれまで不動産のポータルサイトの会社として知られていたわけですが、具体的にはどんなことをやっているのですか?

井上 住まいを借りる、買う、建てる、リフォームするといった住まいに関連する情報を、全国47都道府県を網羅する形でネットに掲載しています。全国で約8000の不動産会社が加盟していて、私どものシステムを使って物件情報を登録しています。物件情報は全国で191万件にのぼります(2006年3月度)。一般のお客さんは、物件を路線やエリアから探すこともできますし、地図上から検索することもできます。気に入った住まいがあれば問い合わせる。そういったサービスを提供しています。

 このHOME'SのPVが月間約1億PVありまして、400万人が訪れます。不動産ポータルサイトのジャンルでは日本で最大です。

森永 いつからお仕事を始めたのですか。

井上 1997年からサービスを始めました。会社としては9年半の歴史があるのですが、最初の間は市場開拓から始めているので準備段階でした。でもビジネスが転がり始めてからは二次曲線で成長しています。

 私たちの経営理念は、「より多くの人たちが心から安心したり喜んだりできるような社会の仕組み、社会インフラを作っていきたい」というものです。その第一歩として、衣食住の中でも最も重要な、そして高い買い物である住宅を手がけました。この業界はまだまだ安心できない業界、不便な業界、不透明と、“不”がたくさんつく業界だったものですから、一生の買い物を決断するのに、足りない情報の中で妥協して決めるのはかわいそうだ──という想いから立ち上げた事業です。

 第1歩は住まいだったのですが、Lococomも同じ理念の元に、世の中の人がもっと安心できる仕組み、もっと喜べる仕組み、一言でいうと、情報の非対称性を解消していくのが最も近道なんじゃないかと想っています。不動産業界の情報非対称性も、地域情報の非対称性もどんどんオープンにして、フラットにしていくことで、利用者の選択の自由が増えてくる。そのためにはコミュニティが重要な役割を果たすのです。

 これまでは住まいという1つのカテゴライズされたジャンルだけをやってきたのですが、地域のコミュニティはどちらかというとインフラ的なものになってきます。このインフラの上に今後手がけたいのは、さまざまな業界の情報非対称性の解消です。これも地域ごとに解消して、いいモノや場所、サービスが選ばれるようにしていきたい。教育にしてもそうですし、職についてもそうです。人の生活を形作るものとして、地域コミュニティというものがあって、その上に住まいとか、ショッピング、食べ物、医療、教育といった生活に密着したものを立ち上げていきたいということです。

 その形ができあがったときに、私たちが目指しているみんなが安心、喜び、ハッピーという状態を作りたい。そう考えています。

森永 逆にいうと、Lococom内の1つのコンテンツとして不動産情報は重要な地域情報ですね。

井上 アドバンテージとしては、全国に約8000の加盟店を抱えていますので、そこが地域情報の発信者として活躍するわけです。あとは400万人のユーザーが住み替えのためにページを見に来て、実際にそのエリアに住むわけですね。入り口という接点を持っていますので、そこから地域コミュニティへの加入を促していけます。コミュニティで生活して、また住み替えニーズが発生したらHOME'Sに戻ってくる。こんなライフスタイルを作っていきたいと考えています。

 例えば、今度、北海道から大学進学のために東京に来るんだけど、どこに住んだらいいのかさっぱり分からない。路線から検索しなさいと言われてもさっぱり分からない……。そんなときにコミュニティが使えるわけです。東京のコミュニティに「どこに住んだらいいのかアドバイスください」と言えるわけです。

森永 生活者の視点に立っていて、地に足が着いていて生活が良くなるサービスですね。

井上 我々はベースの価値観は“利他主義”で、どうしたら世のため人のためになるかなのです。だから、この理念になり、この事業になります。

森永 本来ITは生活の道具なのだから、生活をよくするために使わなきゃダメなのですよね。本日はありがとうございました。

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提供:株式会社ネクスト
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia ニュース編集部/掲載内容有効期限:2006年11月16日