WikiLeaksがデータ検閲対策に用いた“地下要塞”とは――「インターネットの知られざる闇」を暴く

» 2016年03月14日 10時00分 公開
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 2010年11月、ある大事件がインターネットを駆け巡った。米政府が厳重に保管していたはずの外交機密文書が、突如としてネット上に公開されたのだ。暴露されたのは未公開の外交公電や、世界中の重要施設に関する情報などさまざま。その実行者は、いまや世界的に有名となった告発サイト――「WikiLeaks」だ。

 果たしてWikiLeaksはどのようにして、米政府による検閲をかいくぐって機密情報をネットに公開できたのか。これを支えた仕組みの1つが、高度なセキュリティ対策を施した特殊なホスティングサービスだ。WikiLeaksのような告発機関のほか、反政府活動を行う組織、さらには麻薬の闇取引組織などが、同種のサービスを用いて“ネット上で最も安全な場所”を活用しているという。

 世界的セキュリティ製品ブランドのノートンがこのほど公開したドキュメンタリービデオ「The Most Dangerous Town On The Internet Episode 2」(インターネットで最も危険な街 エピソード2)では、WikiLeaksが検閲対策に用いた“地下要塞”のごときホスティング事業者をはじめ、インターネットの知られざる暗部に迫った取材模様が明かされている。ここでは映像の中から特に注目すべき点をピックアップしてお伝えしよう。

WikiLeaksのデータはスウェーデンの“地下要塞”に

 映像には、かつてWikiLeaksでアナリストを務めていたというジェームズ・ボール氏へのインタビューが収められている。ボール氏は、WikiLeaksが2010年後半にイラク戦争の米軍機密文書を公開した時や、同年11月に米政府の機密外交公電を暴露した時に「そこで働いていた」という。

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 「外交公電をリークした時、WikiLeaksはどのようなサーバを使っていたのか」――そう聞かれたボール氏は、静かにこう切り出す。

 「確か……スウェーデンのバーンホフというホスティング会社さ。そこはまるで地下要塞のような“超安全”な場所だったよ」

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地下深くから海上まで――「絶対安全」をうたうホスティング事業者の“葛藤”

 「地下要塞のような超安全な場所」。ボール氏がそう表現するその場所こそが、次の映像に登場するホスティング事業者「バーンホフ」のデータセンターだ。

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 バーンホフのデータセンターは、山中の地下約30メートルに設置されており、その入り口は巨大な岩で囲まれている。「われわれのクライアントにとって、セキュリティが万全であることは何よりも重要なのでね」。バーンホフのヨン・カールングCEOはこう話す。

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 一方、同社のようなホスティング事業者には“疑惑”も付きまとう。保管しているデータの中には、麻薬や仮想通貨の裏取引といった「犯罪行為」も隠れているのでは――という可能性だ。それについて問われたカールングCEOは、こう口を開く。

 「どんな違法なデータが隠されているかだって? それは当社が知るところではないよ。郵便だって違法な内容物を配達できるだろう、それと同じことさ。われわれにできるのは、もしサーバ内に違法なデータがあり、それに気付いた場合、スウェーデンの司法当局に通報することだけだ。私はデータ監視役のエンジニアでも裁判官ではないし、(サーバの用途が)違法か合法か決める立場にはない」

 こうした事業者はバーンホフだけではない。別の映像に登場するのは、欧州の北海に浮かぶ「シーランド公国」(英国の元海上要塞を利用した“自称・独立国家”)でデータヘイブン(政府からの干渉を避けるためのデータ待避所)事業を営んでいたヘイブンコーの創設メンバー、ライアン・ラッキー氏だ。

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 同社設立の理由を尋ねられたラッキー氏は「世界中のユーザーの言論の自由を確保するためさ」と言う。だが、こうした“大義名分”がある一方で「何が合法で、何が違法か。それを決定する責任があったのではないか」。そう尋ねられた同氏の答えはこうだ。

 「何が道徳的で何が倫理的な行動かは、各個人の責任に委ねられる」――。

インターネットには「表と裏がある」――ノンフィクション映像の狙いは

 動画ではこうした取材映像のほか、キーワード解説など、約25分にわたって「インターネットの暗部」とその関連領域について紹介している。だが、そもそもなぜノートンがこのようなドキュメンタリー映像を制作したのか。シマンテックでノートンのデジタルマーケティングを担当している鴇田宣一氏はこう話す。

photo シマンテックの鴇田宣一氏

 「これらの動画では、インターネットを使う人々の倫理観にフォーカスを当てつつ、インターネットには“表と裏”の二面性があることを紹介しています。WikiLeaksの元アナリストが映像の中で話していたように、ホスティング業者などは『いいデータ』と『悪いデータ』を分けることができません。大切なデータがある一方で、すぐにでも消去すべきデータもある。そのことをお伝えしたかったのです」

 インターネットの表と裏。その一例として鴇田氏は「表層ウェブ」「深層ウェブ」「闇ウェブ」と呼ばれる概念を取り上げる。例えばITmediaのようにネットユーザーの誰もがアクセスできる表層ウェブがある一方、銀行の内部データ保管領域など、一般人にはアクセスが禁じられている深層ウェブもある。そして、外部からアクセスできない“安全な領域”で麻薬や仮想通貨などの闇取引が行われている「闇ウェブ」も存在する――というわけだ。

 さらにインターネットの“裏側”はこれだけではない。PCの遠隔操作を可能にする不正プログラムに感染したマシンを束ね、外部からの指令でWebサイトなどに一斉にアクセス負荷を掛けて攻撃(DDoS攻撃)する、「ボットネット」と呼ばれるネットワークもその一部だ。

 「ボットネットを構成する不正プログラムにPCが感染すると、所有者本人が気付かないうちに外部Webサイトを攻撃する“加害者”になってしまうこともあり得ます。しかもその不正プログラムは、指令を受けていないときは単なるファイルで、たとえ指令を受けたとしても外部にアクセスするという単純なものなので、既知のものでなければ不正プログラムとして検知されないケースがままあるのです」(鴇田氏)

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 インターネットでは日々多くの有益な情報がやり取りされている一方で、ボットネットや闇取引のような危険も潜んでいる。あなたもぜひ一度動画を目にし、誰もが決して他人事ではない「身近なセキュリティ問題」を考えてみてはいかがだろうか。

photo インターネットで最も危険な街 エピソード2

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