なぜ今、「SIMカード入りWindows端末」がビジネスシーンを変えつつあるのか

Windows 10を搭載したPCやタブレット、スマートフォンが市場で注目を集めている。企業はこの流れをどう捉え、どのように対応すべきなのか。NTTドコモと日本マイクロソフト、ジェナの3社が語り合った。

» 2016年09月26日 10時00分 公開
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 Windows XPのサポートが2014年4月に終了してからはや2年半。OSの進化に伴い、企業のクライアント環境も大きな転換点を迎えつつある。今ではデスクトップPCやノートPCに加え、Windowsタブレットを業務で活用することも珍しくなくなったのではないだろうか。

 そして現在、Windows 10の登場から1年を迎え、Windows 10 Mobileを搭載したモバイル端末も日本市場に続々と登場している。企業はこの変化をどう捉え、どのように対応しようとしているのか。またそこでの課題は何なのか。今回、NTTドコモの営業担当者2人と、日本マイクロソフトのプロダクトマネージャー、アプリ開発会社ジェナのソリューション事業部長が一堂に会し、それぞれの立場から語り合った(敬称略)。

photo 左から、ジェナの中垣雄氏(取締役 ソリューション事業部部長)、NTTドコモの原正人氏(法人ビジネス本部 第二法人営業部 営業統括担当 Windows Project Team)、NTTドコモの木村圭佑氏(法人ビジネス本部 第二法人営業部 第五営業 第二担当)、日本マイクロソフトの石田圭志氏(Windows&デバイス本部 Windowsコマーシャルグループ、エグゼクティブプロダクトマネージャー)

Windows 10端末が注目度を増している理由

――最近、企業もWindowsタブレットを本格的に活用するようになりつつあります。これまでさまざまなOSの端末を販売してきたドコモは、ここに至るまでの経緯と現状をどのようにとらえていますか。

 ドコモが法人向けにタブレットやスマートフォンの本格的な提案を始めたのは、今から4〜5年ほど前のこと。この時期に参入したのは、当時主に医療・製薬業界で、スマートデバイスをビジネス活用しようという機運が急速に高まっていたからです。

photo NTTドコモの原氏

 ただ実は、ドコモが法人向けタブレットに取り組んだのは、国内キャリアの中で最後発でした。そこで先行する他社と差別化を図るべく、日本マイクロソフトとタッグを組み、企業での導入実績が豊富なWindowsを搭載したタブレットに注力することにしました。

 一方、当時は個人情報保護の観点からモバイル端末の社外持ち出しを禁じる企業も多く、すぐには導入は広がりませんでした。その状況を大きく変えたのが、2015年に登場した「Windows 10」です。

 マルチデバイス対応が進んだWindows 10には日本企業の関心も高く、潮目が大きく変わりつつあることを肌で感じています。実際「Windows 10タブレットを導入したい」という企業からの相談は大きく増えていますね。

photo 日本マイクロソフトの石田氏

石田 Windows 10の搭載端末はすでにグローバルで3.5億台に達し、Windows 7を超えるペースで普及が進んでいます。また、国内に目を転じても、大企業の9割近くが検証作業に着手済みというデータもあります。Windows 10の情報が出そろってきたこともあり、Windows 10の企業ニーズの本格的な盛り上がりはこれから間違いなく来るでしょう。

「SIMカード入りWindows端末」が人気に

 この変化はわれわれドコモにとってもチャンスです。今の流れを踏まえて当社がキャリアとして力を入れているのが、SIMカードスロットを搭載するWindows端末とLTEサービスを組み合わせた提案活動です。ドコモでは常に、約30種ものLTE対応Windows端末の中から最適な組み合わせをご提案しています。

 これにより、モバイルルータやテザリングなどを使わなくても、Windows端末単体で高速データ通信が可能になります。一見するとシンプルな提案ですが、ワークスタイル変革にまでつなげられる利便性の高さから、当社が提案している企業の大半がLTE対応モデルを希望するほどになっています。

 SIMカードを搭載するメリットは利便性だけではありません。意外に思われるかもしれませんが、企業から最も評価されている点は「セキュリティ」です。

 単体でデータ通信を行えない端末では、盗難・紛失に遭った際に、外部から操作することができません。一方、LTEを搭載したタブレットやPCなら遠隔から操作ロックやデータ消去を行えますし、GPSによる位置検索で発見率も格段に高められます。特にタブレットは持ち歩きを前提とした端末ですから、これらのセキュリティ面での価値が採用の決め手になることが多々あります。

photo NTTドコモの木村氏

木村 一方で、タブレットの利用時には注意すべきこともあります。例えば製薬業界では従来、MRが携帯電話とタブレットとノートPCを全て携行することが多かったのですが、管理コストの削減や持ち運び負担軽減のため、タブレットをノートPCの代替物として利用する動きが盛り上がりました。しかし、そこで直面した問題が、タブレットはViewerとして優れながらも、ドキュメント作成などの入力を伴う各種作業には向かない点です。

 その打開策として注目を集めつつあるのが、シーンに合わせてタブレットとしてもノートPCとしても使える“2-in-1”のWindows端末(※)です。訴求力を高めるプレゼンツールとしての能力と、使い慣れたPCの業務処理能力を兼ね備え、持ち運ぶ端末の台数を削減できます。ドコモとしてもラインアップの拡充に注力しており、今では2-in-1端末とLTEの組み合わせは、企業向けソリューションの売れ筋の1つになっています。

※1台でノートPCとしても、タブレットとしても利用できるデバイスを2-in-1と呼ぶ。タッチ、キーボード、マウス、ペンをワークスタイルや目的に応じて使い分けることができる 。

Windowsといえど利用シーンはさまざま 意外な“盲点”とは?

中垣 ここまでの話をうかがっていて感じたのは、一口にWindows端末と言っても、利用シーンに応じた使い分けが欠かせないという点です。キーボードやマウス、トラックパッドを中心としたPCでの操作時と、タブレットやスマートフォンのタッチパネル操作時は、同じWindowsとはいえ使い方が大きく異なります。

photo ジェナの中垣氏

 そこでわれわれがよくお客さまに提案しているのが、Windows 10の導入検討時には「業務アプリの使い勝手」を考えておくべきだいうことです。Windowsを業務基盤とする企業の多くは、Windows 10ならばモバイル端末でもPCと同様の作業を行えると考えがちです。しかし、タブレットで利用する場合にはマウスの右クリックができませんし、ボタンサイズが小さかったりと、PC向けに作られた業務アプリがタッチでそのまま使えないケースが多いです。

石田 マイクロソフトでもWindows 10をタブレットとして利用する場合には、タッチを考慮したアプリを開発することを推奨しています。また、今後、タブレットのみでなく、Windows 10 Mobileや、その他のWindows 10デバイスが導入されていくことが想定されますので、UWP(Universal Windows Platform)によるアプリ開発をお勧めしています。

 UWP上で開発したアプリは、端末のディスプレイのピクセル数に合わせて操作画面の大きさを自動で最適化します。さらにタッチパネルやマウス、キーボード、ペンなど、各種操作方法を簡単にサポートできます。つまり1つのアプリによって、あらゆるWindows 10端末にとって快適な業務環境を作れるのです。

中垣 ジェナでは多くの企業向けにアプリ開発を手掛けていますが、UWPはコスト削減の点でも非常に有効だと考えています。

 Windows PC向けに作られた業務アプリをゼロからモバイル対応させるには、数千万円ほどかかるケースもあります。一方、Windows 10向けに開発されたアプリであれば、UWPで開発を行うことで、その数分の1から数十分の1でモバイル対応を行うことができ、工期も長くて2カ月ほど。Windows 10の登場以来、当社はUWPアプリの提案を積極化させており、実際にUWPでの開発を選ぶ企業が増えています。

 しかも、タブレットやスマートフォンに加え、大画面端末の「Surface Hub」など、あらゆるWindows 10端末で利用できるUWPアプリは、エンドユーザーにとっても大きな魅力があります。

Windowsスマホ登場でさらに重要になる「アプリ」

photo VAIO Phone Biz

 ドコモとしても「VAIO Phone Biz」などのWindows 10 Mobile搭載スマートフォンを検討するお客さまが「業務アプリはどうしよう」と悩むケースを目にします。そうしたお客さまには、PCやタブレットでも利用できるUWPアプリをおすすめしています。

 モバイル端末を活用しようとすると異種のOSが混在するケースが多く、管理が煩雑になりがちです。一方、大企業などではAD(Active Directory)やSCCM(Microsoft System Center Configuration Manager)などの仕組みを整備していることが多い。Windows端末なら、それらの既存システムを利用することでコストと管理工数も効率化できるので、注目度が高いですね。

中垣 Windows 10のタブレット、スマートフォンの両方で利用できるUWPアプリとして当社が開発したのが、クラウド型アプリ「seap for Windows」です。これは、モバイル端末の法人利用でニーズが高い3つの用途に特化したテンプレートをご用意し、Windows 10タブレットで動く自社アプリを簡単に作成、利用できるようにしたクラウドサービスです。

 例えば、タブレットで最もニーズの高いカタログ/ファイル共有のテンプレートを利用すれば、商品カタログや各種資料の配布などを効率的に行えます。また、アンケートのテンプレートや、研修向けのラーニングテンプレートも用意しています。iOS向けのseapはすでに5万台で利用されており、昨年リリースしたばかりのseap for Windowsも製造業や製薬業のお客さまを中心に、多くの企業から引き合いが寄せられています。

「seap for Windows」とは?

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Windowsモバイル端末でよく使われる業務アプリケーション(UWP対応)を簡単に構築できるクラウドサービス。Windows 10 Mobileにも対応。初期費用0円、1ユーザー当たり月額500円で使える料金体系のほか、申し込み翌日から利用できるスピード感もユーザーの評価を得ているという。


“One Windows”でさらに自由なワークスタイルへ

石田 これまでさまざまなお話をうかがってきましたが、Windows 10のさらなる普及に向け、各社の取り組みは心強いです。企業がデスクトップからモバイルまで統一したWindows環境を整備できれば、使い勝手とセキュリティを両立でき、柔軟なワークスタイルの実現にもつながるはずです。

木村 ドコモでの営業活動を通じ、モバイル活用に向けて企業が求めていると感じるのは、場所を問わずに共通のアプリで効率的に仕事ができることです。Windowsはそれに適した選択肢と言えます。また、柔軟なワークスタイルの実現には高速で安定したモバイルネットワークも不可欠になっていますので、ドコモとしてもdocomo LTE×Windowsの魅力を引き続き訴求していければと考えています。

 LTEモジュールを搭載したPC端末の認知度向上に取り組んできましたが、今後はPCやタブレットにWindows 10 Mobile搭載スマートフォンを組み合わせた“One Windows”のメリットを広めていきたいですね。

中垣 Windows 10はタブレットとしても利用できる端末です。iPadなどをトライアルする場合にはアプリを含めて検証するのが当たり前なのですが、Windows10の場合はPCとしての使い勝手を検証するのみで終わっている企業が多いように思います。せっかく2-in-1のデバイスを導入するのであれば、seap for Windowsのようなアプリを入れて、タブレットとしての利用も含めてご検討いただければと思いますね。

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提供:日本マイクロソフト株式会社、株式会社ジェナ
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