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2017年02月03日 10時00分 UPDATE

あなたの会社で“本当に役立つAI”とは?

ビジネスにおいて、なぜAIに今注目が集まっているのか。さまざまな視点でAIが得意とする分野にスポットを当て、ビジネスシーンや社会にもたらす価値を考えていく。

[PR/ITmedia]
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 将棋やチェス、そして囲碁まで──人工知能(AI)が人間の頭脳を上回るシーンが目立つようになってきた。その高い能力が、ビジネスの現場においても業務課題の解決や改善に一役買ってくれるのではないかと期待する声も取材の現場で聞こえてくる。

 万能感のあるAIは、本当になんでも解決してくれる夢の技術なのだろうか。この記事を読んでいるあなたも、AIのニュースが世の中をにぎわす中で、自社のビジネスや業務に活用できるのではないかと一度は考えたことがあるはずだ。しかし、真にAIを役立てるためには、その特性や価値を正しく理解する必要がある。

 今回は、ソフトバンクでIBMが開発したコグニティブ・コンピューティング「IBM Watson」(以下、Watson)のビジネス推進に携わる立田雅人部長(法人事業統括 法人事業戦略本部 新規事業戦略統括部 Watsonビジネス推進部)に話をうかがいながら、さまざまな視点でAIが得意とする分野にスポットを当て、ビジネスシーンや社会にもたらす価値を考えていく。

なぜ今「AI」に注目が集まるのか

 AIは、過去にもたびたび注目を浴びてきた歴史がある。1950年代の第1次ブーム、80年代の第2次ブームに続き、現在は第3次ブームとされているが、今回はこれまでと性質が異なる。それは、AIを構築する“技術”に関して大きな変化があったからだ。キーワードは「機械学習」と「データベース」だ。

photo ソフトバンクでIBMが開発したコグニティブ・コンピューティング「IBM Watson」(以下、Watson)のビジネス推進に携わる立田雅人部長(法人事業統括 法人事業戦略本部 新規事業戦略統括部 Watsonビジネス推進部)

 「以前のブームは、AIがエレベーターを効率よく動かしたり、エアコンの温度をうまく調節したりと、ユースケースは分かりやすいものの、技術として何をやっているのかが分かりにくいものが多かった。いまブームとなっているAIは、データの中から必要なものを探し出したり、分析をして知見を提示したりするなど、技術的にもイメージしやすいものが多い」(立田部長)

 これまでのAIの仕組みは、プログラミングの条件式による論理的なものだった。しかし、いわゆるビッグデータと呼ばれる多種多様なデータや、それらを分析する技術が登場したことによって、今のAIはさまざまな条件から新しい物事を類推できるようになった。

 例えば、写真に写っているものを判断できるようになったり、機械翻訳における文章認識の精度が飛躍的に向上したりといった話だ。しかし、今度はあまりにもいろいろなことができすぎて、「一体何ができるのか分からない」という状態に陥りやすいという。

 「何でもできるから、逆に何をすればいいか分からない。AIって人間にとってどう役に立つの存在なのか分かりにくい状態になっている。ここを明確にする時期が来ているのでは」(立田部長)

自然言語処理が日本語に対応

 AIを理解するには、技術の根本を知ることが重要だ。立田部長は、現代のAIには3つの種類があると説明する。1つ目は数値データを扱って分析や予測をする「データ処理」、2つ目は画像に写っているものを理解できる「画像処理」、3つ目は「自然言語処理」だ。

 特に人間の話し言葉が理解できる自然言語処理については、米AppleのiOSに搭載されている「Siri」や、米Googleの「Google Assistant」など、コンシューマー向け製品にも活用の幅が広がっているため、なんとなくイメージはしやすいのではないだろうか。

 この自然言語処理をビジネスの現場で活用するための代表的な製品が、IBMが開発したコグニティブ・コンピューティング「Watson」だ。このサービスは、大量のデータから学び、自然言語を解釈し、根拠に基づいた回答を提示するもので、従来は英語のみの対応だったが、ソフトバンクが日本アイ・ビー・エムと提携し、両社でWatson日本語版の提供を開始。国内企業での導入が本格的に進みつつある。

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 Watsonの強みは人と同じように情報を学び、経験から学習するところにあるという。「『ヤバイ』と言ったら良い意味なのか悪い意味なのか、『ソフトバンク』と言ったら野球チームなのか携帯電話ブランドなのか理解できる。これが今のWatsonだ」(立田部長)

 例えば、ソフトバンクではWatsonを活用した提案支援システム「SoftBank BRAIN」を2016年から運用している。社内情報や提案資料、営業の提案アドバイスなど、提案に必要な情報を「SoftBank BRAIN」に質問すると、話し言葉でもその意図を理解し、瞬時に必要な情報が提示される。

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 同社営業部門の従業員は従来、1日平均40分をかけて商材や取引先の情報を調べていたが、SoftBank BRAINの活用で所要時間を削減し、それ以外の業務に集中できるようになったという。同社の営業部門は3000人近いというので、全社でどれだけの時間が削減できるかは言うまでもない。一方で、多くの企業にとっては「自社の業務にどう役立つかがイメージしづらい」のが直近の課題だと、立田部長は指摘する。

 「AIは、車に搭載されている高性能エンジンのようなもの。車を走らせる原動力だが、一般の人にとっては、エンジンだけ見てもその凄さは理解しにくい。このエンジンを部品や車体と組み合わせ、どのような車に仕上げるかが重要。さらには、どんなガソリン(データ)を入れるかによっても結果は変わってくる』(立田部長)

 このように、AIは組み合わせるプラットフォームやデータによって働きは千差万別だ。企業によってはどのように組み合わせればいいのかわからない場合も多いはず。そこでソフトバンクではパートナー企業と協力し、目的を分かりやすく明確化するために個別のソリューションを用意している。

ソフトバンクが考えるAIソリューションのアプローチ

 ソフトバンクのパートナー企業が提供する、Watsonを活用したソリューションは現在4つ。このうち2つは「チャットボット」と呼ばれる仕組みを利用したものだ。

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 製薬業界向けコールセンターを運営している木村情報技術株式会社(以下、木村情報技術)が提供する「AI-Q」(アイキュー)は、AIを活用した問い合わせサービスだ。企業の総務や経理、OA部門などで社員からの問い合わせを受け付け、質問に対して最適な回答を提示する。もともと製薬業界のコールセンター向けに開発した仕組みを、他の業界でも使えるようにチューニングしたものだ。

 モバイルアプリ開発を手掛ける株式会社ジェナ(以下、ジェナ)が提供する「hitTO」(ヒット)は、チャット形式の対話型インタフェースによるチャットボットをWebサイトやアプリケーションに組み込めるサービスだ。営業支援システムのような社内向けシステムや、オンライン接客や問い合わせへの対応などにも利用できる。

 上記2つは、いずれもチャットボットのソリューションだが、提供元によってアプローチが異なる。木村情報技術はコールセンター向けのトークスクリプト構築ノウハウがあり、自然な対話を構成しやすい強みがある。さらには顧客がやりたいことを実現するためのコンサルティングも用意している。「お客さまの導入イメージが漠然としているときは、木村情報技術を紹介することが多い」と立田部長は話す。

 一方で、顧客の実現したいことがある程度固まっていて、迅速にシステムを作りたいときは、豊富なアプリ開発実績を持つジェナを紹介することが多いという。同じチャットボットソリューションでも、そういったアプローチの違いがある。

 ソリューションの3つ目、ソフトブレーン株式会社が提供する「eレセプションマネージャー for Guide」は、Pepperの法人向けモデル「Pepper for Biz」と組み合わせて活用する受付・接客用ソリューションだ。

 通常のPepperの場合、顧客が来社してPepperのセンサーが反応したときに社員録を表示することはできても、宅配便が来たときなどの“例外”には正しく応対できない。

 ここで「総務におつなぎいたします」といった適切な動作をさせるには、宅配便を受け取るべき適切な部署を考える必要がある。Watsonを活用したeレセプションマネージャー for Guideは、この“思考”のプロセスを担うという。つまり、Pepperのコミュニケーションの幅が広がるのだ。

 「分からないときは、『ごめんなさい分かりません』と答えられる。つまり、人間と同じように、内容に応じて最後までコミュニケーションができる」(立田部長)

 4つ目の、株式会社エヌ・ティ・ティデータの子会社であるエヌ・ティ・ティ・データ先端技術株式会社が提供する「Technomark Cloud+」(テクノマーククラウドプラス)は、コンタクトセンターなどで受信したメールを自然言語で解析し、その内容によって最適な回答を提案する。返信の文面案も提示できるという。

 「これらのユースケースはそれぞれ異なるが、根底には自然言語を理解できるというWatsonならではの強みがある。Watsonでできることを個別のソリューションにすることで、例えば『24時間問い合わせに対応できます』『チャットボットができます』『問い合わせメールを振り分けできます』『受付にいるPepperをもっと活用できます』などと提案できる。Watsonというサービス自体の名前を覚えてもらうのではなく、ユースケースとして何ができる、何が便利になるのかを示すことで、お客さまから『うちでも使いたい』という声を多くいただけるようになった」(立田部長)

実際に企業へ導入するにはどうすれば?

 ソフトバンクはパートナー企業と協力し、2017年3月までにWatsonを活用したAIソリューションを10まで増やす計画だ。これらのソリューションがパッケージとして用意されることで、Watson導入のハードルはだいぶ下げられたといえるだろう。では、導入を検討したい企業はどのようにして準備をすればいいのだろうか。

 「どのソリューションも、最初にお客さまの要望や悩みをヒアリングシートに記入していただき、それを基にQAデータを作っていく流れになる。例えばチャットボットを手掛ける木村情報技術なら、業務でどんなことをやりたいのかまでをヒアリングするコンサルティングを提供することも可能だ」(立田部長)

 問い合わせの時点で、QA用のデータは固まっていなくても構わないという。「お客さまが持つデータをWatsonの学習データとして使うには、大抵の場合、手を加える必要がある」(立田部長)。これを示す実例として、過去に次のような相談があったという。

 「あるお客さまの店舗開店作業が複雑で、マニュアルが約1万ページもあり、これをなんとかしたいという依頼があった。従業員が持つタブレット端末とWatsonを組み合わせて、マニュアルの内容を即座に教えてくれるようにできないかと」

 「しかし、そのときにご説明したのは、単にマニュアルのデータを流し込むだけでなく、『誰がどんな質問をするのかを特定するのが重要』ということ。既存のマニュアルにある目次をもとに質問データを作っても、それが実際に現場のスタッフから寄せられる質問と一致するかは分からない」(立田部長)

 この問題を解決するには、現場がどのような悩み(質問)を抱えているか――つまり“業務課題”を正しく理解しておく必要がある。立田部長は、企業の心構えとして「『とりあえずAIを導入したい』ではなく、まずは業務課題を見極めることが大切」と説明する。

 「重要なのは、まず業務課題を把握すること。それが分かれば、Watsonをどのように活用すれば効果的なのか見えてくる」(立田部長)

AIで産業革命が起きる

 ここまでに紹介したようなソリューションは、世の中のあらゆるシーンに浸透し、着実に人々の生活や仕事を便利にしていくだろう。今後数年でビジネスの現場はAIでどう変化していくか。日本企業のWatson導入の様子を最前線で見ている立田部長は、AIによって“産業革命”が起きると話す。

 「第1次産業革命のときに工場ができて人間の仕事が奪われたと言う説もあるが、奪われたのではなくて、人間の仕事の仕方が変わったのだと思う。それと同じことが起きる。AIが人を助けることで、よりクリエイティブな仕事をする人たちが増えていくだろう」(立田部長)

 人手だけでは賄い切れない大量の業務をなんとかしたい、自社の持つデータを活用してさらなるビジネス拡大につなげたい――そんなニーズを持つ企業は、いま一度自社の業務課題を見直した上でAIソリューションに目を向けてみてはいかがだろう。きっと、それまで諦めていた課題に対する“新たな答え”が見つかるはずだ。

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ニュース編集部/掲載内容有効期限:2017年3月31日