イメージセンサー×AIがもたらす未来 伊藤穣一氏とソニーが見据える進化の可能性

光を電気信号に変換することで画像を捉える役割を持つ「イメージセンサー」。AIが世界を見る「眼」としてイメージセンサーが使われつつある。AIとイメージセンサーの出合いによって何が起きるのか。伊藤穣一氏と、人間の眼をも超える性能を実現した裏面照射型CMOSイメージセンサーの生みの親であるソニーの平山照峰氏がそんな未来を語る。

» 2018年02月27日 16時00分 公開
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 スマートフォンやデジカメなどで、光を電気信号に変換することで画像を捉える役割を持つ「イメージセンサー」。主に写真や動画を撮るためのものとして発展してきたが、最近、これまでとは少し異なる活躍が期待されつつある。画像処理分野でAI(人工知能)技術が成功を収めていることから、AIが世界を見る「眼」としてイメージセンサーが使われつつあるのだ。

 AIとイメージセンサーの出合いによって何が起きるのか。ソニーのストラテジックアドバイザーである伊藤穣一氏と、裏面照射型CMOSイメージセンサーの生みの親であるソニーの平山照峰氏が、「デジタルの眼がAIの未来を変える」と題した動画でそんな未来の可能性を語っている。


「人の眼の感度をはるかに超える」――進化したイメージセンサー

 かつてCCDイメージセンサーの開発に注力していたソニー。CMOSイメージセンサーの高速・低消費電力のメリットを生かしつつ、さらなる高感度・低ノイズ撮影へのニーズに対応すべく開発したのが「裏面照射型CMOSイメージセンサー」だ。

今や人間の眼の感度をはるかに超えたソニーの「裏面照射型CMOSイメージセンサー」

 「技術的な難しさから、(開発当初は)やめたほうがいいのではないかとも言われた」と平山氏は振り返る。しかし2008年に量産化に成功し、今や多くのスマートフォンやデジカメが裏面照射型CMOSイメージセンサーを採用している。中でもデジタル一眼カメラが搭載するような大型イメージセンサーは、「人間の目の感度をはるかに超えるほど」に進化しているという。

ソニー 執行役員コーポレートエグゼクティブ デバイス&マテリアル研究開発本部長の平山照峰氏

 高性能化が進むイメージセンサーに、伊藤氏も注目する。「ディープラーニングによって人工知能が人間よりも高度な画像認識をできるようになったいま、いいタイミングでこうしたイメージセンサーが出てきた」と話す。

ソニーストラテジックアドバイザーの伊藤穣一氏

イメージセンサー×AIは何をもたらすのか

 AIとイメージセンサーがもたらす未来の方向性として、平山氏が大きく注目するのは、AIの高度な画像処理性能をさらに引き立てるためのイメージセンサーのさらなる進化だ。

 「光には、大きく分けると『位置』『時間』『波動』の3つの情報が入っているが、人がものを見るためには部分的な情報しか使っていない。コンピュータやAIが(画像・映像から何かを)判断するには、人がものを見るのに使っていなかった情報も必要になる。そのためにイメージセンサーをフルに活用する進化もあり得るだろう」

光が持つ情報を人は一部しか使えていないという平山氏。2030年までにAIにより、もっと光の情報が活用されていくことを予想する

 これは、イメージセンサーが得る膨大なデータを、ディープラーニングなどを用いてさらに生かせるようになることを意味する。「(最新の)イメージセンサーを使うと桁違いに膨大な情報を得られる。この進化の方向性が2030年くらいに向けて大きく変わるところではないかと考えている」(平山氏)

 また、伊藤氏は別の進化の方向性として、イメージセンサーが「人体機能の拡張」にも役立つのではないかと指摘する。「人体とエレクトロニクスの融合というのは既に起きつつある」という伊藤氏は現在、血管から入れたナノマシンで脳を刺激する研究などを行っている。こうした人の機能拡張の領域でも、高度なイメージセンサーを活用できる可能性もあるという。

AIの進化と人・社会の未来とは

 イメージセンサーとAIの組み合わせによって、世の中はどう変わるのだろうか。

 「中央に大きな人工知能があるのではなく、個人が持っている小型デバイスに“小さな人工知能”が搭載され、それらが1つの人工知能の社会のようになる未来を構想している人工知能学者がいる。人に対して法律や政府があるように、たくさんある小さな人工知能に対しても倫理やプライバシーの課題が出てくるのではないか」(伊藤氏)

小さな人工知能が社会のようになる構想を紹介する伊藤氏

 これまで以上の膨大な画像・映像データが利用されることに不安を持つ人もいるかもしれないが、「人工知能は人間が作るものなので、どんな方向性で活用するかもコントロールできるだろう」と平山氏は話す。

 「科学者や技術者、メーカーは、自分が作った製品に責任を持たなくてはならないと思う」と伊藤氏。平山氏もこれにうなずく。

 「社会に与える影響は、当然企業は考えなくてはいけない。その結果何が起きるのかをきちんと考えて、研究開発やビジネスをしていかないといけない」(平山氏)

「製品を作る責任を考えて研究開発やビジネスをやっていかないといけない」と語る平山氏

 イメージセンサーとAIの進化が、世の中にどんなプラスの影響を与えていくのか。そうした点を考えながら、ソニーは新技術に向き合っていく。

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提供:ソニー株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2018年3月7日

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