空中に手書きで文字入力する指輪型デバイス、富士通研が開発
文字入力やアプリ操作ができる指輪型ウェアラブルデバイスを富士通研究所が開発した。作業現場での利用を想定し、2015年度中の実用化を目指す。
富士通研究所は1月13日、工場などの作業現場での利用を想定した指輪型ウェアラブルデバイスを発表した。数字や漢字などを空中で手書き入力したり、NFCタグリーダーでのアプリ起動、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)と連動したハンズフリーの情報表示など、作業の手を止めることなく効率的に情報操作できるという。実際の現場で検証を行い、2015年度中の実用化を目指す。
開発した指輪型デバイスは10グラム以下と軽量ながら、加速度やジャイロで指の動きを検知するモーションセンサー、NFCタグリーダーを搭載する。主な機能は(1)数字や文字の入力、(2)NFCタグの読み取り、(3)LED発光によるアラート――の3つ。作業現場で必要な情報操作をハンズフリーで可能にするのが狙いだ。
空中手書き文字入力は、体の向きを多少変えても指先の運動成分を的確に検出し、軌跡を入力・認識する技術を開発して実現した。数字や小数点は約95%の精度で入力できるという。線の起点/終点を明確にするため、本体横に親指で押せる物理ボタンを設け、スタート時にクリックする形式に。一筆書きで指先で空中に書くと、不要な連結部分を消して自動的にデータ補正する。
通信はBluetooth Low Energyで行い、スマートフォンなどを介してクラウドサーバや社内システムと連動する。HMDと併用し、カメラなどのアプリの起動、資料の表示などもできる。設備やインフラの修理・点検など、突発的な対応が必要な現場で目的の資料を取り出したり、報告書をその場で作成するなどの利用シーンを想定している。
昨年2月に発表したグローブ型ウェアラブルデバイスでは、数値入力やメモの際に作業を中断する必要があったため、指輪型デバイスを進化形として提案する。同社ヒューマンセントリックコンピューティング研究所の村瀬有一主幹研究員は「指先に付けるのは作業に支障があるという声ももちろんあり、従来のグローブ型はもちろん腕時計型などの可能性も探っていきたい」と話す。
実際の現場で検証を行い、来年度中の実用化を目指す。今後、数字以外の文字の入力精度向上や、指定の場所に来ると決められたアプリケーションと接続する仕組みの開発などを行うほか、各現場のニーズも取り込んでいく考えだ。
関連記事
- 富士通、グローブ型ウェアラブルデバイス開発 指先でNFCタグ読み取り、ジェスチャーで「異常なし」入力
NFCタグリーダーとジェスチャー入力機能を備えたグローブ型ウェアラブルデバイスを富士通研究所が発表した。保守現場など、作業中のデバイス利用が難しい環境での効率化を支援する。 - “魔法使い”になれる指輪「Ring」日本上陸 ジェスチャーでスマホや家電をコントロール
指先の動きでスマホや家電を操作できる指輪型ウェアラブル端末「Ring」の一般販売が始まった。 - アイウェア型ウェアラブル端末「Telepathy Jumper」発表 個人向けは来夏発売
アイウェア型ウェアラブルデバイス「Telepathy Jumper」が発表。ビジネス向けには来年3月、個人向けには来夏に発売するとしている。 - まるでOculusのような没入感 スマホがHMDになるSamsungの「Gear VR」を試した
SamsungとOculusと共同開発したVRヘッドセット「Gear VR」が日本でお披露目。ヘッドセット内部にスマートフォン「GALAXY Note 4」を組み込んだワイヤレスHMDで、3D映像の世界に入り込んだような感覚が楽しめる。 - エプソン、ウェアラブル端末開発に注力 「技術力への自信」で100億円規模目指す
スマートグラスをはじめ、ウェアラブル端末の開発を積極的に進めるセイコーエプソン。数年内に関連事業で100億円の売り上げを目指す。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.