KDDI、営業益12%増でドコモ超え 「ARPU」見直し「ARPA」に切り替え
KDDIの前期は営業利益が過去最高を更新。1人が複数端末を契約する時代を迎え、端末当たりの月間売上高「ARPU」を見直し、契約者当たりの月間売上高「ARPA」に切り替える。
KDDIが5月12日に発表した2015年3月期の連結決算は、営業利益が前期比11.8%増の7412億円と、過去最高を更新し、ドコモの同期の営業益(6391億円)を超えた。スマートフォンの浸透率が上昇し、1人当たりの通信料金が拡大したことなどが貢献した。
売上高に当たる営業収益は5.5%増の4兆5731億円、経常利益は13.5%増の7524億円、純利益は32.9%増の4279億円だった。
「ARPU」ではなく「ARPA」に
今後は、1人がスマートフォンとタブレットなど複数のデバイスを持つ「マルチデバイス推進フェーズ」に入るとし、端末1台当たりの売上高を表す指標として使っていた「ARPU」(Average Revenue Per User)を見直し、契約者数1人当たりの売上高を示す「ARPA」(Average Revenue Per Account)を導入する。
1人当たりのモバイルデバイス数は、15年3月時点の1.37が16年3月には1.40に拡大すると見込む。「これまでは1台当たりの売り上げ拡大に注力していたが、マルチデバイス推進に伴い、2台目のタブレットなども加算し、契約者1人当たりの売上高拡大を目指す」と田中孝司社長は説明。auのコンテンツや金融サービスなど付加価値サービスの売上高「付加価値ARPA」も拡大していく。
16年3月期からは国際会計基準(IFRS)に移行。同期の業績見通しは、営業収益が前期比4%減の4兆4000億円、営業利益が同11%増の8200億円、純利益が同15%増の4900億円としている。
「SIMロック解除より、MVNOの方が大きなインパクト」
5月にSIMロック解除の義務付けが始まったが、KDDIとNTTドコモはSIMロック解除手続きに、「機種購入日から6カ月間はSIMロックを解除できない」とするルールを盛り込んでいる。ドコモの加藤薫社長は「端末の不正転売を防ぐため」と説明した一方で、KDDIの田中社長は「総務省のガイドラインに合わせた」と説明した。
SIMロック解除義務化スタートから2週間近く経ったが、手応えについては「始まったばかりなので現時点では何とも言い難い」とコメント。SIMロック解除義務化よりもMVNOの急速な拡大のほうが経営にインパクトが大きいと話す。
「予想よりMVNOが増えているおり、今後ますます増えるだろう。MVNOの拡大で中古端末の市場が広がり、新規端末の需要が減り、端末メーカーにインパクトがあるだろう。端末を新しく買わなくていいとなると総販売数が減り、あまり良くない」
来年4月の電力小売全面自由化を前に、大手3キャリアが東京電力と提携し、通信と電気をセット販売する協議を進めているとの報道もある。田中社長は「4月にエネルギービジネス部を作った。頑張って行こうかなと思っている」と意気込みを述べた。
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