ネット広告業界団体IAB、“容認できる広告”の指針「L.E.A.N. Ads」プログラム立ち上げ
AppleやGoogleも参加するネット広告業界団体のIABが、最近の広告技術がネットの速度低下を招き、ユーザーの神経を逆なでしていることを認め、Light(軽く)、Encrypted(暗号化されており)、Ad choice supported(選択可能で)、Non-invasive(じゃまにならない)広告の指針プログラムを立ち上げた。
米ネット広告業界団体Interactive Advertising Bureau(IAB)は10月15日(現地時間)、ユーザーのWeb体験を損なわない広告製作の指針となる「L.E.A.N. Ads」プログラムを立ち上げたと発表した。最近の広告ブロックの動きを受けたもの。
L.E.A.N Adsは、Light(軽く)、Encrypted(暗号化されており)、Ad choice supported(選択可能で)、Non-invasive(じゃまにならない)広告を表す。
IABは「われわれはリーマン・ショック後に縮小されたパブリッシャーのマーケティング予算に対応する広告技術を構築してきたが、振り返ってみると、こうした技術はインターネットの速度低下を導いた。広告技術はネットユーザーを押しつぶし、彼らの端末(のバッテリー)を消耗させ、神経を逆なでした」と、最近の広告に問題があることを認めた。
その上で、「広告ブロックの台頭は、インターネットへの脅威であり、数社が牛耳る閉じられた世界にユーザーを導く可能性がある」とし、広告をブロックさせるのではなく、ブロックされないような広告を提供していくためのバランスを保つ必要性を訴えた。
L.E.A.N Adsの策定に当たっては、消費者団体を含むすべての関係者からの意見を取り入れていく。
L.E.A.N Adsは現在多くの消費者が受け入れている広告の標準に置き換わるものではなく、マーケター、コンテンツプロバイダー、消費者のための選択肢を提供する標準の代替になる指針という。
IABは650以上のメディアやIT企業が参加する世界最大クラスの広告業界団体。GoogleやFacebook、Twitter、そして広告ブロック技術を提供しているAppleもIABのメンバーだ。
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