「人を超えるロボット作る」 Boston Dynamicsの4足歩行ロボット「SpotMini」来日
4足歩行ロボット「SpotMini」のデモンストレーションが行われた。
「人間は、特別なことができる。山にも登れるし、人混みでぶつからないようにすり抜けて通ることもできる。人間は、手や脳みそ、視覚を使っていろんなことができる生き物だ」――そう語るのは、米Alphabet傘下のロボットベンチャーBoston Dynamicsの創立者マーク・レイバート(Marc Raibert)CEOだ。
レイバートCEOは、7月20〜21日に東京都港区で開催されている「SoftBank World 2017」の基調講演に登壇した。Boston Dynamicsは、2017年6月にソフトバンクグループが買収を発表した企業。発表会では同社が開発する4足歩行ロボット「SpotMini」(スポットミニ)が登場。機能や動きの説明と共に、デモンストレーションを実施した。
SpotMiniは、屋内での活用を想定した小型ロボット。「Spot」という名前は、「犬のようなロボット」というイメージから付けられたものだという。
SpotMiniは壇上で、多方向に動けることをアピール。前後左右に動いたり回転したりと、軽快な動きを見せた。説明によれば、動く方向やスピードはオペレーターが操作でき、SpotMiniはその入力を基に動きを決めているという。
SpotMiniの頭部には、複数の角度から同時撮影できるステレオカメラが付いており、これによって空間を立体的に認識。奥行き情報などを記録しているという。
またLiDAR(ライダー)と呼ばれる光を用いたリモートセンシング技術を採用することで、ステージ全体を把握。ステージ上のナビゲーションが可能になるという。
これらの情報をもとに、「ここから先には段差がある」ということをロボットが認識し、ステージから落ちないよう制御できる。
「セキュリティパトロール」モードに切り替えると、SpotMiniは自律歩行を開始。オペレーターは一切関与せず、ロボット自身が人間の警備員のように不審なものがないかどうかを見回る。
人を完全に見つけるところまではまだできないようだが、段差や障害物は認識可能。ステレオカメラやLiDARによって障害物を認識し、乗り越えたり、乗り越えられないと判断した場合はよけて通ったりする。
SpotMiniはアームを持っているため、プログラムをすると、何かをつかんだり動かしたりもできる。カメラが付いていることで、例えば「のどが渇いたので、そこの飲み物とってきてくれる?」というタスクにも応じることができるという。
レイバートCEOは言う――「われわれのゴールは人を超える、あるいは人と同等の運動・操作性・知覚・インテリジェンスを持つロボットを作ること。今すぐ実現できるわけではない。それは長期的な目標になる。しかし、私たちは今1ステップずつ上っている」
(太田智美)
関連記事
- ソフトバンク、ロボット企業Boston DynamicsとSchaft買収 Google親会社から
ソフトバンクグループは6月9日、Google親会社・Alphabet傘下のロボティクス企業Boston DynamicsとSchaftをそれぞれ、子会社を通じて買収すると発表した。 - 二足歩行の“下半身ロボット”「キャシー」発売へ(どつかれる動画あり)
オレゴン州立大学からスピンオフした新興企業Agility Roboticsが、二足歩行で“人間が歩くところならどこでも”歩けるというロボット「CASSIE」(キャシー)を発表した。近く“腕”も追加する予定だが、現行モデルは下半身だけが歩いているように見える。 - Boston Dynamics、ガラスのコップをくわえて運べる犬型ロボット「SpotMini」を披露
足蹴にされても踏ん張る犬型ロボット「Spot」の小型版「SpotMini」は、オプションのアーム(首に見える)でものを掴んで運んだり、バナナの皮で滑って転んでも自力で立ち上がれる(動画あり)。 - Google、“ロボットいじめ”動画で話題のBoston Dynamicsの売却検討か
Googleが、2013年に買収したロボットメーカーBoston Dyamicsの売却を検討しているとBloomobergが報じた。売却先としてAmazon.comやトヨタが候補に挙がっているという。 - ロボット犬とリアル犬がストリートファイト
「人間にいじめられる二足歩行ロボット」動画に続いて、「犬と対決するロボット犬」動画が公開された。おなじみBoston Dynamics製のSpot君だ。 - Boston Dynamicsの犬型ロボット、サンタのソリのトナカイに
犬型ロボットがトナカイの角を付けてサンタのソリをさっそうと引く動画を、Google傘下のロボットメーカー、Boston DynamicsがYouTubeで公開した。 - 有名人や故人の人格をロボットにダウンロードする時代が来る? Googleが特許取得
人格データをクラウドからダウンロードしてロボットに吹き込む──Googleがこんなシステムの特許を取得した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.